日本文化を楽しむ利き酒祭り「第22回 和酒フェス in 中目黒 2023」開催! ~7月29日(土)、30日(日)~
地方創生を応援する和酒フェス実行委員会は、「第22回和酒フェスin 中目黒 2023」を東京メトロ日比谷線と東急東横線(東京メトロ副都心線直通)の「中目黒駅」に隣接する中目黒GT タワー前広場(東京都目黒区)で7月29日(土)と30日(日)の第1部は12時から14時10分、第2部は15時から17時10分に開催いたします。
本イベントは、東京圏で酒類業界、飲食業界、観光業界に関わる方々のお力になれるように、また蔵元に会いたい日本酒ファンのために開催します。
昨年夏の開催では、お客様アンケートの満足度が97.59%と非常に高く、多くの皆様に応援いただいております。

利き酒ゾーン(定額試飲会)
今回のテーマは「夏の暑さを吹き飛ばす!爽やかなお酒を探そう!夏酒、スパークリング、プレミアム酒を楽しもう!」です。
全国各地から42蔵、200種類以上の和酒が集まり、飲み比べができます。利き酒した和酒は一部即売もあり、ご自宅用やお土産用、お中元など、夏の贈り物の購入が可能です。

皆様にお勧めしたい厳選した酒蔵の和酒の飲み比べができます。利き酒した和酒は、一部即売もあり、ご自宅用やお土産用、お中元など、夏の贈り物の購入が可能です。
和酒フェス参加予定酒蔵・銘柄
※ 銘柄名(酒蔵名/所在都道府県)の順
※ 参加酒蔵の追加・変更、最新情報はWEBで
★ 和酒フェス初の出展蔵
- 一ノ蔵(一ノ蔵/宮城県)
- 米鶴(米鶴酒造/山形県)
- 六歌仙(六歌仙/山形県)
- 徳正宗(萩原酒造/茨城県)
- 開華(第一酒造/栃木県)★
- 天鷹(天鷹酒造/栃木県)★
- 水芭蕉(永井酒造/群馬県)
- 琵琶のささ浪(麻原酒造/埼玉県)★
- 天覧山(五十嵐酒造/埼玉県)
- 晴雲(晴雲酒造/埼玉県)★
- 帝松(松岡醸造/埼玉県)★
- 秩父錦(矢尾本店/埼玉県)
- 久保田(朝日酒造/新潟県)
- 今代司(今代司酒造/新潟県)
- 君の井(君の井酒造/新潟県)
- 北の庄(舟木酒造/福井県)★
- 華燭(豊酒造/福井県)
- 白馬錦(薄井商店/長野県)
- 無尽蔵(橘倉酒造/長野県)★
- 千曲錦(千曲錦酒造/長野県)
- 今錦(米澤酒造/長野県)
- 葵天下(遠州山中酒造/静岡県)
- 臥龍梅(三和酒造/静岡県)
- 四海王(福井酒造/愛知県)
- 式(河武醸造/三重県)
- 作(清水清三郎商店/三重県)
- 宮の雪(宮﨑本店/三重県)
- 唯々(竹内酒造/滋賀県)
- 日本魂(江井ヶ嶋酒造/兵庫県)
- 鳳鳴(鳳鳴酒造/兵庫県)
- 龍力(本田商店/兵庫県)
- 梅乃宿(梅乃宿酒造/奈良県)
- 七冠馬(簸上清酒/島根県)
- 五橋(酒井酒造/山口県)
- 山猿(永山酒造/山口県)
- 綾菊(綾菊酒造/香川県)
- 竹の園(矢野酒造/佐賀県)★
- 花雪(河津酒造/熊本県)
- 泰斗(千代の園酒造/熊本県)
団体ブース 株式会社山陰の蔵
フードゾーン・即売コーナー(入場無料)

フードブースでは、地域の食材を使った料理や特産品、人気飲食店の料理、和酒によく合う食事が味わえます。
ステージゾーン・イベントコンテンツ(来場者限定)
<1日目>
MC:あおい有紀(旅するフリーアナウンサー)
ステージゲスト:吉永真奈・Song(箏とヴァイオリンによる生演奏)
<2日目>
MC:島田律子(タレント、日本酒スタイリスト)
ステージゲスト:東京おとめ太鼓(和太鼓アイドルユニット)
■ゲスト
両日とも、和服で会場を彩る「2023 Miss SAKE」が登場し、会場を盛り上げます。
2023年6月23日に「2023 Miss SAKE」の結果が発表されます!
和酒フェス大賞
毎回好評の『和酒フェス大賞』を実施します。来場者の皆様に利き酒していただいた和酒の中で、お気に入りの和酒に投票いただき、「特定名称酒」「夏酒」「スパークリング」「リキュール」「お値打ち」の各部門で『和酒フェス大賞』を決定いたします。
開催概要
日時:7月29日(土)、30日(日)
- 第1部(試飲会) 12:00~14:10 (2H10M)
- 第2部(試飲会) 15:00~17:10 (2H10M) ※各部入替え制
定員:各部500名(予定)
場所:中目黒GTタワー前広場(〒153-0051 東京都目黒区上目黒2丁目1-1)
料金:3,000円(前売り制、税別) / 当日券は未定(公式サイト、PassMarketにてチケット販売)
主催:和酒フェス実行委員会
後援:国税庁・観光庁
公式:https://sakefes.com/tokyo22/
4年ぶりの開催!「SAKE COMPETITION(サケコンペティション)」が帰ってきた! ~後編~
世界一美味しい、市販の日本酒を決める品評会「SAKE COMPETITION(サケコンペティション)」。前編ではコンペの理念や審査方法といった、概要にあたる説明をしました。
後編ではいよいよ、ライターが参加した決審会1日目(5月10日)の様子をご覧いただきます。
おさらいになりますが、5月10日(水)に審査されるのは「純米吟醸 部門」「SUPER PREMIUM 部門」の2部門。会場となったのは、東京・有楽町にあるザ・ペニンシュラ東京です。
緊張感のある会場の様子と合わせて、審査基準なども解説していきます。
決審会、初日(5/10)の様子は?

前述したように、この日に審査されるのは「純米吟醸 部門」「SUPER PREMIUM 部門」の2部門です。会場内では、審査員それぞれの席が用意されています。そして室内後方をみると、アルミホイルの巻かれた日本酒が、ずらりと並びます。
日本酒の甘い香りが漂う会場ですが、場に流れる空気感は厳粛そのもの。香りと雰囲気のミスマッチに、思わず入場を躊躇ってしまうほどでした。
気になる審査の様子は…?

前編でも解説したように、「SAKE COMPETITION」は、ブランドによらず、消費者が本当においしい日本酒にもっと巡り会えるよう、新しい基準を示したい。という理念の元に誕生したコンペです。
この理念に沿って、コンペの審査員たちには飲んでいるお酒の銘柄が分からないよう、ラベルを隠すといった工夫が施されています。
純粋にお酒の味だけで受賞酒を決める日本酒コンペなので「酒蔵が有名である」「規模が大きい」といった要素は、結果に一切反映されません。どんな酒蔵にも平等に、受賞のチャンスがあるということです。
詳しい審査方法

写真は、当日審査員が受け取る評価シートです。このように審査員には、お酒の味や香り、色といった情報しか伝えられません。
審査は予審、決審と2回にわけて開催されます。完全に銘柄が隠されたうえ、並び順までもパソコンでシャッフルされるという厳正な環境下で、審査が進みます。
審査には「5点法」という独自の基準を採用。テイスティングをしたお酒が、以下の5項目のうちいずれに該当するのか、評価していきます。
- 香味の調和や特徴が清酒の品格および、飲用特性から特に良好である
- 香味の調和や特徴が清酒の品格および、飲用特性から良好である
- 香味の調和や特徴が清酒の品格および、飲用特性から普通(平均的)である
- 1~3に該当せず、やや難があるもの
- 1~3に該当せず、難があるもの
予審を通過したお酒は?
ちなみに決審会の前におこなわれた予審を通過したのは、次のとおりです。
純米酒部門は出品数273に対し、予審を通過したのは138種。純米吟醸部門は343種が出品されたのち、175種が通過しました。そして純米大吟醸部門には333種が出品され、そのうち171種が予審を通過しています。
決審会を通過したお酒は、6月14日(水)の表彰式にて発表されます。どのようなお酒が選ばれるのか、今からワクワクしますね。
受賞酒を決めるのは10名の審査員

「SAKE COMPETITION 2023」では、以下の10名によって受賞酒が決まります。
- 広島県立総合技術研究所食品工業技術センター 生物利用研究部長 大土井 律之
- 高知県工業技術センター 醸造技術企画監兼食品開発課長 上東 治彦
- 株式会社新澤醸造店 代表取締役 新澤 巖夫
- 来福酒造株式会社 代表取締役 藤村 俊文
- 株式会社はせがわ酒店 代表取締役 長谷川 浩一
- 磯自慢酒造株式会社 製造部頭 山田 英彦
- 月桂冠株式会社 醸造部グループリーダー 高垣 幸男
- 京都電子工業株式会社 勝木 慶一郎
- 司牡丹酒造株式会社 杜氏 浅野 徹
- 株式会社みいの寿 専務取締役 井上 宰継
近年の傾向やコンペへの思いなどを、審査員に直接伺うべく、インタビューを申し込みました。10名のなかで今回ご協力いただいたのは、株式会社はせがわ酒店の代表取締役「長谷川 浩一」氏です。
まず初めにお伺いしたのは、今年の出品酒全体を通しての感想。すると、次のようなコメントが返ってきました。
次に、今年出品されたお酒の傾向についてもお伺いしました。
長谷川氏
全体を通して、フレッシュなお酒が増えた。もちろんフレッシュなお酒は、口当たりがよく第一印象が良くなる。しかしフレッシュさだけではごまかせないのが、余韻を含めたお酒全体の風味である。この点から言っても、今年は非常にハイレベルなお酒が揃っていると感じた
また「SAKE COMPETITION」への思いを尋ねると、注目してもらいたいという気持ちが強い」とおっしゃいました。日本酒を広く知ってもらいたいという一心で、「SAKE COMPETITION」に携わっているのだそうです。
近年日本酒は、海外からも注目されているお酒ですが、国内での注目度はまだまだかもしれません。
ライターも日本酒の魅力に取り憑かれた者の一人であるからこそ、長谷川氏と同様に、きっかけさえあればもっと多くの人にその魅力が伝わると考えています。
日本酒界への入り口となるコンペ

「SAKE COMPETITION 2023」の決審会(1日目)の様子をご覧いただきました。後半では、実際に審査をおこなった長谷川浩一氏のお話も紹介しました。
日本酒は安価な銘柄も多く、ハイクオリティ=高額というわけでもありません。長谷川氏は日本酒の価格について、ニコニコと笑いながら次のように語りました。
長谷川氏
酒蔵さんは(良い意味で)価格の付け方がヘタ。だから1,000円ちょっとで良いものがいくらでも飲めるから、大金をかけなくても気軽に試せる。(日本酒は)そういうことができるお酒だ(と知ってほしい)
自分では選べない、好みがよく分からないという方は、まずは「SAKE COMPETITION」で受賞したお酒を試してみるのも一つの手です。
今回は決審会の様子を紹介しましたが、気になる2023年の受賞酒は6月14日(水)の表彰式にて発表されます。そちらの様子も公開していくので、乞うご期待ください。
4年ぶりの開催!「SAKE COMPETITION(サケコンペティション)」が帰ってきた! ~前編~
日本酒の美味しさを競い合い、順位を付ける催しは複数あります。しかし、日本酒を作る蔵元と一般消費者とで「美味しい」と感じるお酒に、差が生じることがしばしばあるでしょう。
このギャップを埋めるべく、2012年から始まったのが「SAKE COMPETITION(サケコンペティション)」。ブランドに左右されることなく、お酒の味だけを評価する点がこれまでの品評会との大きな違いです。
感染症の影響によって4年間、開催できずにいた同コンペが2023年、満を持して開催。決審会に参加したので、前後編に分けてコンペの概要や当日の様子を解説していきます。
本記事(前編)ではそもそも「SAKE COMPETITION」とは何なのか、過去にはどのようなお酒が受賞しているのかといった点を中心にお話します。
「SAKE COMPETITION」とは?

まずはコンペの理念や審査方法について説明していきます。どのような理念の元、何を目的に開催されるコンペなのか、ざっくりとお分かりいただければと思います。
「SAKE COMPETITION」の理念とは?
「SAKE COMPETITION」は、世界一美味しい市販の日本酒を決める品評会です。そして世界で唯一、消費者のために開かれる日本酒コンペであり、以下の理念を元に開催されています。
ブランドによらず消費者が
本当においしい日本酒にもっと巡り会えるよう、新しい基準を示したい
同じく日本酒のクオリティを競い合う大会には「新酒鑑評会」というものがあります。しかし新酒鑑評会の場合は、蔵の技術力をアピールできる特製の1本で順位を決めます。対して同コンペには、市販酒のみが出品されます。
つまり前者の場合は、グランプリを獲得した=技術力の高い蔵は分かるものの、実際に受賞したお酒を一般の消費者が飲むことはできません。しかし後者であれば、すでに販売されているお酒が対象となるため、受賞したお酒と全く同じものが飲めるのです。
「SAKE COMPETITION」の審査方法と部門

「SAKE COMPETITION」では、独自の審査方法を採用しています。本章ではコンペの審査方法や、審査の対象となる部門を紹介していきます。
審査方法
「SAKE COMPETITION」の審査員たちは、審査対象のお酒がどこの蔵の何の銘柄なのか分かりません。審査対象のお酒にはアルミホイルが巻かれ、完全に銘柄が隠されています。
つまり酒の中身のみで競うということ。言い換えれば、知名度があまりない酒蔵であっても、受賞のチャンスがあるのです。
さらに味や香りといった品質に加えて、飲みやすさや料理との相性なども審査基準となっています。一般消費者が楽しむお酒として優れていることが、同コンペで勝ち進む条件というわけです。
審査される4部門
SAKE COMPETITIONにて審査される部門は、大きく4つに分かれます。
開催年によって異なる場合もありますが、基本的には
|
の4部門です。
上記に加えて、日本酒ソムリエアプリ「Sakenomy」が選ぶ『Sakenomy Best Brewery of the Year』と、次世代の若き杜氏を応援する『ダイナースクラブ 若手奨励賞』そして、JAL機内酒として提供される『JAL 空飛ぶSAKE 賞』も授与されます。
各部門の対象となるお酒
では上記で解説したそれぞれの部門では、どのようなお酒が審査対象となるのでしょうか。以下の一覧をご覧ください。
- 純米酒 部門
-
- 特定名称酒「純米酒」の日本酒
- 特別純米酒や山廃純米酒、生酛純米酒も含む
- 純米吟醸 部門
-
- 特定名称酒「純米吟醸酒」の日本酒
- 山廃純米吟醸酒や生酛純米吟醸酒も含む
- 純米吟醸酒と判断できる表示でも可
- 純米大吟醸 部門
-
- 特定名称酒「純米大吟醸酒」の日本酒
- 山廃純米大吟醸酒や生酛純米大吟醸酒も含む
- 「大吟醸純米」なども出品可能
- 吟醸 部門
-
- 特定名称「吟醸」または「大吟醸」の清酒
- 山廃吟醸・大吟醸や生もと吟醸・大吟醸も含む
- SUPER PREMIUM 部門 ※1
-
- 720mlで10,000円以上のお酒
- 1,800mlで15,000円以上のお酒
- スパークリング 部門
-
- 清酒ベースのお酒
- 飲用時に炭酸ガスのある活性清酒
※概ね3.0ガスボリューム以上が目安
- ダイナースクラブ 若手奨励賞 ※2
-
- 40歳以下の最上位受賞酒蔵
- JAL 空飛ぶSAKE 賞
-
- 各部門の入賞蔵の中から厳選
※1:2016年に中田英寿の発案で設立。受賞酒は海外への輸出されるため、外国人審査員を含むゲスト審査員で評価する
※2:次世代の造り手を応援する目的で2016年より創設
受賞までの流れ
「SAKE COMPETITION 2023」は上記のようなスケジュールで進みます。5月9日(火)に予審会、5月10日(水)と11日(木)に決審会を実施。そして6月14日(水)に最終結果の発表・表彰式がおこなわれます。
筆者が今回参加したのは5月10日(水)の決審会です。この日は「純米吟醸部門」「SUPER PREMIUM 部門」の審査がおこなわれました。
ちなみに前回受賞したお酒は…

「SAKE COMPETITION」は2012年の第1回に始まり、回を重ねるごとに規模が拡大しているコンペです。
前回(第8回目)の開催は2019年。この年は総出品数1,919点と過去最多となったと同時に、世界最大級のコンペティションともなりました。ちなみに受賞酒は、以下の通りです。
- 純米酒 部門
-
- 宝剣酒造 株式会社
- 宝剣 純米酒 レトロラベル
- 純米吟醸 部門
-
- 合資会社 廣木酒造本店
- 飛露喜 純米吟醸
- 純米大吟醸 部門
-
- 清水清三郎商店 株式会社
- 作 朝日米
- 吟醸 部門
-
- 株式会社 中勇酒造店
- 天上夢幻 大吟醸 山田錦
- SUPER PREMIUM 部門
-
- 高木酒造 株式会社
- 十四代 龍泉
- スパークリング 部門
-
- 秋田清酒株式会社
- 出羽鶴 awa 酒 明日へ
- 海外出品酒 部門
-
- Sequoia Sake Company
- Coastal Ginjo
後編ではいよいよ、審査の様子をレポ!
前編では「SAKE COMPETITION」について解説しました。
消費者のために開かれる同コンペ。ブランドに左右されず、純粋にお酒の味だけで順位を決める競技会です。
後編ではいよいよ、5月10日(水)に開催された決審会の様子をご覧いただきます。
元祖?蔵元ユニット「11PM(イレブン・ピーエム)」主催・春の唎酒会に潜入!
みなさんは「11PM(イレブン・ピーエム)」をご存じですか?
若い人はいざ知らずですが、中にはその昔、懐かしい昭和の時代の伝説的・深夜番組を思い出す方たちもいらっしゃるかもしれません(かくいう筆者もついそちらを連想してしまうのですが)…が、こちらはちょっと違います!
「11PM」とは、ユニット名。
秋田県の「NEXT5」や山形県の「山川光男」など、日本酒業界では蔵元有志が集結したユニットやプロジェクトが近年多数あり、さまざまな活動がおこなわれています。
実は「11PM」はその元祖ともいえるユニットなのです。
蔵元ユニット「11PM(イレブン・ピーエム)」とは?
「11PM」は、全国「11」蔵の「P(プロダクト)」「M(マネージャー)」が集合したユニット。ここでいうプロダクトマネージャーとは、酒蔵においての酒質設計責任者ということになります。つまり、11蔵の蔵元の集合体ということ。
2001年に結成された「有志蔵元きき酒会」が元になっていましたが、参加蔵元もその当時より増え、約5年後に「11PM」と名称を変更(蔵元たちも懐かしの番組世代ですかね)しました。
現在は…
という錚々たるラインナップの計11蔵が名を連ねています。
酒蔵同士のユニットには、合同でお酒を造ったり、交替制でユニット名義のお酒をリリースしたり、各蔵が酒を競ったりと多様な形がありますが、「11PM」は蔵同士の技術交流会などとともに、「唎酒会」と呼ばれる試飲会を定期的におこなっています。
ここ数年のコロナ禍で、オンライン開催だった年やそもそも開催ができなかった年もありましたが、2022年からは唎酒会が再開されています。
この試飲会では、毎回11蔵の厳選された日本酒や季節のお酒が並びます。
今回は、去る4月19日に新橋で開催された「2023・第39回11PM春の唎酒会」にお邪魔して、今年のお酒や今後発売になる夏酒などを味わってきました!
「11PM 春の唎酒会」に潜入!各蔵の自信作をテイスティング
春の唎酒会は、東京にて。新橋駅からすぐのアンテナショップ「とっとり・おかやま新橋館」にておこなわれました。

実はこの唎酒会、飲食店・酒販店・メディア関係者対象のもので、一般公開はされていません。そのため、通常は中の様子のレポートというものは数少なく、貴重な機会です。
ですが「一般非公開?それならば日本酒ユーザーには関係ないのか?」というと、決してそうではなく。
この会は、酒販店や飲食店のオーナーさんやスタッフさんが参加しテイスティングをすることで、これから仕入れるお酒の参考にしたり、チョイスをしたり、ということになります。
つまり、今後みなさんの手元に届き、飲んで楽しむためのお酒を提供するにあたっての大事な情報リソースになっているということ。
蔵元たちには、心を込めて造ったお酒と意気込みをユーザーに届けるためにアピールする場なのです。

定番酒から季節のお酒、新作まで
場内は各蔵がブースに分かれ、多いところでは10種類以上のお酒を提供していました。

はじめは、片っ端からテイスティングしようと張り切っていましたが、あまりにお酒の数が豊富で、すべてのお酒を唎くのはちょっと難しいほど。

新商品や試験醸造、限定酒、地元での流通がメインの酒などを中心に、なんとか数をしぼりつつ回っていきました。

同一県内のユニットなどとは違い全国から集まっていることもあり、北から南までバリエーション豊か。

飲み比べているとそれぞれの蔵や地域の個性が際立ちます。

季節のお酒を先取りして提供する蔵もあり、「月山」の島根県・吉田酒造では夏酒もお目見え。

また古酒を提供する蔵や、リキュール、クラフトスピリッツなどを扱う蔵もあるので、多彩なタイプのお酒がテイスティングできます。
「東力士」の栃木県・島崎酒造では、熟成酒の「熟露枯」が。小瓶のセットはプレゼントや外国人向けなどとしても、とても喜ばれるそうです。

栃木県・島崎酒造の熟成酒「熟露枯」
「陸奥八仙」の青森県・八戸酒造は、山椒やホップのクラフトスピリッツも登場。素材の香りがとても高く、ずらっと日本酒が並ぶ中、ちょっとしたリフレッシュにもなります。

青森県・八戸酒造の「山椒スピリッツ」「ホップスピリッツ」
「刈穂/出羽鶴」の秋田県・秋田清酒からは、「AWA SAKE」と呼ばれるシャンパーニュと同様の製法で造られるスパークリング日本酒「明日へ」が試飲できました。(画像右端)
きめ細やかな泡と繊細な米の甘味・旨味が際立ちます。

秋田県・秋田清酒のスパークリング日本酒「明日へ」(画像右端)
そして何より、大きな日本酒イベントの場合はスタッフにより対応がまちまちになってしまいがちですが、こちらの唎酒会は蔵元または蔵の従業員が対応してくださるため、テイスティングしながら蔵の思いや意図をうかがえたり、疑問に思ったことはその場で直に質問したりもできるので、わかりやすく確実でスムーズです。
蔵元たちの仲睦まじさも感じられるアットホームな唎酒会
回っていて感じたのは、蔵元同士もとても和やかなこと。
会の終了時も、撤収の号令を秋田清酒の伊藤洋平社長さん自ら場内に「すみませーん」と声がけ。志を同じくする仲間のこじんまりとした集会のようで、とても雰囲気がよくアットホーム。
お互いが楽しみながら研鑽してきていることが感じ取れます。

秋田県・秋田清酒の伊藤洋平さん
みなさんの手元へ届くのをお楽しみに!
場内は飲食・酒販関係の方が詰めかけていて、日本酒好きにもよく知られたお店の方などが多数いらっしゃいました。
この日にラインナップされていたお酒が、今後みなさんが訪れる酒屋や居酒屋などに並び、お店のスタッフが蔵元のフィロソフィーを代弁してくれることと思います。
参加蔵元のおひとり、岡山県・利守酒造の利守弘充さんからも、「店頭などで見かけたら、ぜひ手に取ったりお試しいただけたりすれば嬉しい限りです。」と、日本酒ユーザーのみなさまにメッセージをいただきました。

「酒一筋/赤磐雄町」岡山県・利守酒造の利守弘充さん
ぜひこの記事を読んでくださった方は、お近くの酒屋や飲食店に足を運び、11PM のお酒に触れてみてください。
お酒+思いは、単なる1+1=2ではなく、もっともっと飲む楽しさを広げてくれるはずです。
「11PM」Facebookページ
「日本一美酒県 山形フェア 2023」山形県内の酒蔵&ワイナリーが大集合!6月3日(土)・4(日)に山形県総合文化芸術館前特設広場で開催!
山形県内の酒蔵&ワイナリーが大集合!
やまがたが誇る美酒を心ゆくまでお楽しみください。
https://bisyuken-yamagata.club/fair/
イベントガイド

開催日時
2023年6月3日 <土>
2023年6月4日 <日>
両日とも
第1部/11:00 ~ 14:00 <13:30にサーブ停止>
第2部/15:00 ~ 18:00 <15:30にサーブ停止>
※両日とも各回上限を2,000名とし、入替時間で会場内の消毒を実施します。
会場
山形県総合文化芸術館<やまぎん県民ホール>前 特設会場(屋外)
〒990-0828 山形県山形市双葉町1-2-38 JR山形駅から徒歩約1分
チケット
日本酒・ワインの試飲は、チケットをお買い求めください。
※試飲チケットをお求めでない方は入場することができません。(ノンアルコールドリンクや食品もチケットにて購入可能です。)
※未就学児(小学校入学前)の入場は無料です。(ただし、保護者の同伴が必要です。)
公式サイト:https://bisyuken-yamagata.club/fair/ticket/
【前売券】3,000円 (税込)
- 10チケット分
- やわらぎ水付
【当日券】3,500円 (税込)
- 10チケット分
- やわらぎ水付
【おかわり券】1,000円 (税込) ※前売り券/当日券をお持ちの方のみ購入いただけます。
- 5チケット分
| ■ご注意 ※1杯約40ml分を目安にお注ぎいたします。 ※日本酒とワインのグレードにより、1杯辺り1~3チケット分が必要となります。 ※試飲酒は数量限定のため、無くなり次第、順次提供を終了する場合があります。 |
酒蔵一覧
| 酒造名 | 所在地 | 銘柄 |
| 羽根田酒造 | 鶴岡市 |
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| 六歌仙 | 東根市 |
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| 古澤酒造 | 寒河江市 |
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| 菊勇 | 酒田市 |
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| 若乃井酒造 | 飯豊町 |
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| 松山酒造 | 酒田市 |
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| 小屋酒造 | 大蔵村 |
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| 出羽桜酒造 | 天童市 |
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| 高木酒造 | 村山市 |
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| 小嶋総本店/東光の酒蔵 | 米沢市 |
|
| 鈴木酒造店 長井蔵 | 長井市 |
|
| 米鶴酒造 | 高畠町 |
|
| 杉勇蕨岡酒造場 | 遊佐町 |
|
| 冨士酒造 | 鶴岡市 |
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| 後藤酒造店 | 高畠町 |
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| 錦爛酒造 | 高畠町 |
|
| 渡會本店 | 鶴岡市 |
|
| 奥羽自慢 | 鶴岡市 |
|
| 加藤嘉八郎酒造 | 鶴岡市 |
|
| 秀鳳酒造場 | 山形市 |
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| 佐藤佐治右衛門 | 庄内町 |
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| 竹の露 | 鶴岡市 |
|
| 麓井酒造 | 酒田市 |
|
| 東北銘醸 | 酒田市 |
|
| 月山酒造/設楽酒造店 | 寒河江市 |
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| 水戸部酒造 | 天童市 |
|
| 香坂酒造 | 米沢市 |
|
| 加茂川酒造 | 白鷹町 |
|
| 鯉川酒造 | 庄内町 |
|
| 朝日川酒造 | 河北町 |
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| 亀の井酒造 | 鶴岡市 |
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| 寿虎屋酒造 | 山形市 |
|
| 酒田酒造 | 酒田市 |
|
| 男山酒造 | 山形市 |
|
| 高橋酒造店 | 遊佐町 |
|
| 楯の川酒造 | 酒田市 |
|
| 桜川酒造 | 小國町 |
|
| 樽平酒造 | 川西町 |
|
| 新藤酒造店 | 米沢市 |
|
| 中沖酒造店 | 川西町 |
|
| 和田酒造 | 河北町 |
|
| 長沼 | 長井市 |
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| オードヴィ庄内 | 酒田市 |
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| 千代寿虎屋/虎屋西川工場 | 寒河江市 |
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| 東の麓酒造 | 南陽市 |
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色の網掛けのお酒は当日販売いたしません。
※試飲酒は変更になる場合があります。
ワイナリー一覧
| 酒造名 | 所在地 | 銘柄 |
| 高畠ワイナリー | 高畠町 |
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| 大浦葡萄酒 | 南陽市 |
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| Yellow Magic Winery | 南陽市 |
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| 紫金園 須藤ぶどう酒 | 南陽市 |
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| 東根フルーツワイン | 東根市 |
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| ベルウッドヴィンヤード | 上山市 |
|
| ドメーヌ ケロス | 天童市 |
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| 月山トラヤワイナリー | 西川町 |
|
| ウッディファーム&ワイナリー | 上山市 |
|
| グレープリパブリック | 南陽市 |
|
| 天童ワイン | 天童市 |
|
| 酒井ワイナリー | 南陽市 |
|
| HOCCAWINERY | 鶴岡市 |
|
| タケダワイナリー | 上山市 |
|
| 金渓ワイン佐藤ぶどう酒 | 南陽市 |
|
| PINO COLLINA MATSUGAOKA | 鶴岡市 |
|
| 朝日町ワイン | 朝日町 |
|
| 月山ワイン山ぶどう研究所 | 鶴岡市 |
|
色の網掛けのお酒は当日販売いたしません。
※試飲酒は変更になる場合があります。
主催
「日本一美酒県 山形」フェア実行委員会〈山形県産業労働部 県産品流通戦略課〉
〒990-0023 山形県山形市松波2丁目8番1号 TEL:023-630-3316
山形県酒造組合
〒990-0041 山形県山形市緑町1丁目7番46号 TEL:023‐641‐4050
100蔵が六本木に集結!CRAFT SAKE WEEK 2023(クラフトサケウィーク)~後編~
4月21日から30日までの10日間で開催された『CRAFT SAKE WEEK 2023 at ROPPONGI HILLS』。前編では、26日に登場した酒蔵について解説しました。そして後編では、いよいよ当日(26日)の様子を紹介していきます。
100蔵が六本木に集結!CRAFT SAKE WEEK 2023(クラフトサケウィーク)~前編~
飲んだ日本酒はもちろんのこと、会場全体の雰囲気もお伝えするので、前編に引き続きお楽しみください。
まずは『クラフトサケウィーク 2023』のおさらい!

今回、4年ぶりの開催となった『クラフトサケウィーク 2023』。六本木ヒルズにて開催されたこちらのイベントでは、10日間日替わりで10蔵ずつ、合計100蔵の日本酒が楽しめます。
イベントの三本柱は「酒」「食」「匠」。全国各地の日本酒が六本木で味わえるだけでなく、人気店の屋台やアーティスティックな会場も魅力です。

建築家「田根 剛」氏
イベントの三本柱の一つ「匠」とは、会場全体のインテリアのことです。建築家「田根剛」氏によって作られた会場には、無数の「枡」が並びます。
オブジェを含めて3,000個の「枡」が使われた会場は、どこからともなく檜の香りが漂ってきました。木の温もりに包まれながら、日本酒を堪能できる夢のような空間が広がっています。

入場してすぐ右手に見えるのが、大本命である日本酒ブース。1箇所に10蔵すべてが集まっているので、会場内であっちに行ったりこっちに行ったりすることはありません。
では早速、当日味わった日本酒たちを紹介していきます。
トロピカルなのにすっきり爽快な「三芳菊 綾音」

三芳菊酒造といえば、他ではなかなかお目にかかれない、ユニークなラベルデザインが魅力ですよね。イベントで出会った「三芳菊 綾音」も、透明ボトルに凝ったデザインが目を引く1本でした。

飲む前にまず感じるのは、南国を思わせるトロピカルな香り。飲んでみるとパイナップルのような香りと瑞々しさが、口いっぱいに広がります。
しかし決して甘ったるいわけではなく、後味はなんともすっきり。少し若く、シャキシャキとした食感のパイナップルといった表現がぴったりな1杯でした。
深いコクがじんわり広がる「酒一筋 時代おくれ」

利守酒造さんのブースで選んだのは「酒一筋 時代おくれ」です(中央)。
飲んで最初に感じるのは、バナナに近い香り。その後、山廃仕込みならではの酸味が、ゆっくりと広がっていきます。どこまでも深いコクがじんわりと身体に流れていき、飲んでいてほっと一息つけるような味わいでした。
見た目とのギャップがすごい「多賀治 純米大吟醸 朝日」

十八盛酒造さんの「多賀治 純米大吟醸 朝日」は、白ワインのような日本酒でした。ボトルの印象から、どっしりとした骨太な日本酒をイメージしていただけに、良い意味で裏切られたお酒です。
開花するように、口のなかでパッと甘さが弾ける感覚は、飲んだ人にしかわからない驚きを与えてくれます。
夏にまた飲みたくなる大嶺酒造の「Ohmine 夏純かすみ」

続いて紹介するのは、大嶺酒造さんの「Ohmine 3grain 夏純かすみ」です。夏純と名付けられているだけあって、青みがかった透明なボトルがなんとも涼しげ。
飲んでみるとシャープな旨みが広がり、思わず「夏になったらまた飲みたい」と感じてしまいます。厳しい暑さが続く日に、キンキンに冷えたこの1杯が飲めたら、この上ない幸せだなと感じる仕上がりでした。
ラストを飾るのはどこまでも華やかな「長陽福娘」

イベントの締めくくりに選んだのは、岩崎酒造さんの「長陽福娘 純米大吟醸」です。しかしお酒の風味を解説する前に、まずは裏ラベルをご覧いただきたい。

特筆すべきは、何よりも精米歩合です。35%まで磨き上げられた日本酒というのは、普段あまりお目にかかれないものですよね。筆者も思わず「え、すごい」と言葉を発してしまったほど…。
限界まで磨かれた米が使われているだけあって、仕上がりはとにかく華やか。フルーティーさと豊かな吟醸香のコラボレーションは、イベントの締めにぴったりな味わいでした。
三本柱の最後は「食」

『クラフトサケウィーク 2023』の三本柱、最後に紹介するのは「食」です。
日本酒を楽しむうえでアテである「食」にもこだわるのは、日本酒ファンにとってもはや常識でしょう。もちろん同イベントは、この点についても抜かりありません。
イベントには国内外で高い評価を受ける銘店が集まっており、日本酒に合わせたさまざまな料理を提供しています。また酒蔵だけでなく、これらの名店も日にちによって入れ替わります。25日から29日までの期間で味わえたのは、以下5店舗の料理たち。
- 酒井商会
- 焼鳥 おみ乃
- 焼肉ジャンボはなれ
- 銀座 串かつ凡
- La BOMBANCE(ラ ボンバンス)

多数の名店が並ぶなかで、筆者が選んだのは『焼鳥 おみ乃』。
写真のメニューは日替わり炭火串焼きであり、この日はハツでした。こちらのお店は2018年から毎年、食べログ100名店に選ばれている超人気店です。
予約困難なお店の一品を味わえることも、同イベントの魅力でしょう。
お酒だけじゃない…イベントのスゴいところ!

日本酒イベントと聞くと、アルコールが飲めない人には関係のないイベントと思われがちです。しかし『クラフトサケウィーク 2023』では、ノンアルさんにも嬉しい配慮がたくさんあります。
そのひとつが日本茶。イベントでは日本酒だけでなく、さまざまな日本茶も用意されています。
その数は全11種類。お茶と食を楽しむグルメイベントとして参加するのも楽しそうですよね。また「NIHONMONO STORE」というショップもあり、日本各地の伝統工芸品も販売されています。

ショップで購入できるのは、写真のような食品の数々。お酒のアテにぴったりなものも、多数販売されていました。

伝統工芸品も多く、写真のような器や酒器などが購入できます。自宅に帰ってからイベントの余韻に浸りつつ、戦利品の酒器を傾ける…そんな時間も良いですよね。
「酒」「食」「匠」の全てがつまったイベント

東京にいながら、全国各地の日本酒を味わえるイベント『クラフトサケウィーク2023』。
美味しいお酒が味わえるのはもちろんのこと、最高の料理や、見ているだけでも楽しい芸術的な会場など、どの角度からも楽しめるイベントです。
今回は4年ぶりの開催でしたが、ぜひ来年も開催してほしいと心底感じたイベントでした。
100蔵が六本木に集結!CRAFT SAKE WEEK 2023(クラフトサケウィーク)~前編~
関東圏に住む日本酒ファンなら、もはや誰もが知るイベント『クラフトサケウィーク』。例年、六本木に居ながら全国各地の日本酒を味わえるイベントですが、ここ数年は開催されていませんでした。そんな人気イベントが今年、満を持して復活。もちろん筆者もこの機を逃すなとばかりに、参加してまいりました。
『CRAFT SAKE WEEK 2023 at ROPPONGI HILLS』は、4月21日から30日までの10日間で開催。1日10蔵ずつ、合計100蔵の酒蔵が六本木に集結しました。本記事では、前後編に分けてイベントの魅力をじっくり解説します。
4/21~ クラフトサケウィークが4年ぶりに開催!

『クラフトサケウィーク 2023』には、10日間で計100蔵の酒蔵が集まりました。ひとつの酒蔵から3銘柄ずつ提供されるため、銘柄数はイベント全日で300種にものぼります。
イベントの参加費(スターターセット)は3,600円であり、飲食用コイン11枚に専用グラスが付きます。もちろんコインが足りなくなれば、追加購入も可能。
1日30銘柄が揃うので、いくらコインがあっても足りないくらいです。ちなみにイベントに参加する酒蔵は、以下の通り。
毎日足を運びたいところですが、そうもいかず…。筆者は26日のみ参加しました。前編ではここから、26日の10蔵について解説していきます。
26日(中国・四国の日)に登場する10蔵とは?
『クラフトサケウィーク2023』には、日ごとにテーマがあります。例えば初日(21日)は“AWA SAKEの日”であり、スパークリング日本酒が多数登場。最終日(30日)は“チーム十四代の日”となっており、十四代の蔵元である高木酒造を筆頭とした10蔵が登場しました。
筆者が参加した26日のテーマは“中国・四国の日”です。テーマの通り、中国・四国地方の酒蔵から厳選された10蔵が出店。本章では、26日のイベントに登場した各酒蔵について解説します。
獺祭・文佳人・多賀治の酒蔵

まずは、超有名銘柄である獺祭の蔵元「旭酒造」をはじめ、文佳人の株式会社アリサワと多賀治の十八盛酒造の3蔵を紹介します。
獺祭(旭酒造株式会社/山口県)
日本酒ファン以外にも広く知られている獺祭。このお酒を醸すのは、山口県にある旭酒造です。
こちらは1948年創業以来「酔うため、売るための酒ではなく、味わう酒を求めて」というスローガンを元に、上質な日本酒を作ってきた酒蔵です。
代表銘柄はもちろん「獺祭」であり、最大144時間にわたる精米を経て作られています。
文佳人(株式会社アリサワ/高知県)
1877年創業の株式会社アリサワは、すっきりと清涼感のある日本酒を作る酒蔵です。飲み飽きしない美酒を目指しています。
全国新酒鑑評会では金賞を4年連続受賞といった、たしかな実績があります。代表銘柄は「文佳人」や「鳴子舞」です。
多賀治(十八盛酒造株式会社/岡山県)
十八盛酒造は、1785年に創業した岡山県の酒蔵です。
より良い食中酒を作るにあたっては、穏やかな香りと豊かな米の旨み、そして呑み飽きしないキレの良さといった3本柱を大切にしているのだそう。代表銘柄は「多賀治」や「十八盛」です。
亀泉・月山の酒蔵

続いては、CELで人気を博す亀泉と、月山でお馴染みの吉田酒造について解説します。
亀泉(亀泉酒造株式会社/高知県)
亀泉酒造は1897年に高知県で誕生した酒蔵です。地元の米や酵母、水にこだわる酒蔵であり、香り高くキレの良いお酒を醸しています。
ワインのようにフルーティーな香りを感じられる銘柄が多く、女性にもおすすめ。代表銘柄は「亀泉(CEL)」です。
月山(吉田酒造株式会社/島根県)
島根県にある吉田酒造は「革新の積み重ねが伝統となる」をモットーにした酒蔵です。
蔵では毎年、新たな試みがされており、挑戦の積み重ねによって作られる今までにはない日本酒が魅力です。代表銘柄としては「月山(がっさん)」が挙げられます。
三芳菊・OHMINE・酒一筋の酒蔵

ここからは後半戦です。三芳菊酒造・大嶺酒造・利守酒造の3つを紹介します。
三芳菊(三芳菊酒造株式会社/徳島県)
徳島県を代表する酒蔵である三芳菊酒造は、どのタイプにも当てはまらない個性抜群な日本酒を醸します。
風味はもちろんのこと、ユニークなラベルも特徴のひとつであり、目で見ても楽しめるお酒が多数、誕生しています。
代表銘柄は「三芳菊」。独特な甘さを存分に感じられることでしょう。
Ohmine(大嶺酒造株式会社/山口県)
大嶺酒造は1922年に創業した酒蔵です。
しかし1960年以降の約50年間、酒蔵は休暇状態であったそうです。そこから近年、復活した酒蔵というだけあって、若い蔵人が集まる蔵として知られています。
酒造りの方針は古典レシピを尊敬しつつも、現代の技術を駆使した日本酒を作るというものだそうです。
代表銘柄である「Ohmine」を飲めば、きっと伝統と新しさが融合した風味を体感できることでしょう。
酒一筋(利守酒造株式会社/岡山県)
1868年創業の利守酒造は、幻の酒米「雄町」を復活させた酒蔵として知られています。
酒に使用する米は、自社栽培にこだわっており、米作りから一貫した酒造りをおこなっていることが特徴です。
代表銘柄は「酒一筋」。米の栽培から酒造りが始まる、利守酒造らしいネーミングですね。
長陽福娘・極聖の酒蔵

最後の2蔵は、岩崎酒造と宮下酒造。両酒蔵の酒造りのこだわりについて解説していきます。
長陽福娘(岩崎酒造株式会社/山口県)
岩崎酒造は、寄り添うお酒をコンセプトに掲げる酒蔵です。飲む人はもちろんのこと、お酒と一緒に味わう料理にも寄り添った日本酒を作っています。
優しい味わいのお酒が多く、飲めばほっと安らぎを感じられるでしょう。代表銘柄は「長陽福娘」です。
極聖(宮下酒造株式会社/岡山県)
宮下酒造は1915年に創業した、岡山県の酒蔵です。現在は伝統技術を継承した、若手杜氏が酒造りをおこなっています。その若さを発揮した、新しい日本酒に出会えます。
代表銘柄は、全国新酒鑑評会において3年連続金賞を受賞した「極聖」です。
いよいよ後編では、イベント当日の様子をご紹介!
10日間開催された『クラフトサケウィーク 2023』。4月26日に登場した酒蔵について、基礎知識にあたる内容をそれぞれ紹介しました。
後編ではいよいよ、イベント当日に飲んだお酒についてや会場の雰囲気などをレポートしていきます。ぜひそちらもチェックしてください。
3年ぶりに集った笑顔。福岡県「城島酒蔵びらき」体験レポート
福岡県久留米市の城島地区は、筑後川の豊かな水と米に恵まれた全国有数の酒どころ。この地で毎年開催されているのが、8つの蔵元が一堂に会する「城島酒蔵びらき」です。
例年、約10万人が訪れますが、去年・おととしは新型コロナ対策のため「ドライブスルー方式」での開催となりました。
2023年は、3年ぶりの通常開催! 久しぶりの酒蔵びらきにワクワクしながら参加してきましたので、その体験レポートをお届けします。
まずは、前日の作戦会議から!
城島酒蔵びらきはメイン会場のほかに、旭菊・池亀・筑紫の誉・花の露・比翼鶴・萬年亀・瑞穂錦・杜の蔵でも蔵びらきが同時開催されています。
1日ですべての蔵をまわるのは、時間とアルコールキャパシティの面からかなり難易度が高い。そのため、事前に行きたい蔵を選び、効率よくまわる作戦を立てておくとスムーズです。
最寄り駅は、JR荒木駅もしくは西鉄三潴駅。ここから駅、蔵、メイン会場をつなぐ無料シャトルバスが運行されます。
その順路に沿ってまわるのがオススメ。今回は、三潴駅から[杜の蔵 → 旭菊 → 池亀 → 花の露 → メイン会場]の順にまわります。
酒蔵びらき当日の2月18日(土)、10:15に三潴駅到着。雨の予報でしたが、駅のホームはすでに多くの人で賑わっています。

お酒呑みに雨は関係ないのだ。

駅を出ると、8蔵の酒樽が出迎えてくれました。早速、最初の蔵「杜の蔵」に向かいます。
食と体になじむ旨い酒「杜の蔵」
「杜の蔵」は1898年創業。“食と体になじむ、しみじみと旨い酒”を目標に、現代の食にあわせて楽しめる酒造りに取り組んでいます。

駅から歩いて、3分ほどで杜の蔵に到着。

この先から、なにやら歌声が聞えてきます。

これか! 先輩方による酒造りの歌。お客さんもみんな手拍子で盛り上がっています。

会場には、おでん、串焼き、もつ煮などの屋台が出店。みなさん、朝から好きなおつまみと新酒で一杯やっています。
うぅ、はやく飲みたい。

販売会場も大賑わい。一番人気は「蔵びらき限定 純米吟醸酒 2本セット」でした。

杜の蔵 蔵びらき限定 しぼりたて 純米生原酒
ここでようやく一杯目。
「杜の蔵 蔵びらき限定 しぼりたて 純米生原酒」をいただきます。
飲み口は穏やかで、中盤のふくらみがとっても豊か。これはうまい!

早速1本購入! 目の前で瓶詰めしてもらいました。
ちょっと寄り道「三潴ちょいのみ横丁」
杜の蔵から少し歩いたところに、シャトルバスのりばがあるのですが、そこに「三潴ちょいのみ横丁」というブースがあったので寄りました。

三潴ちょいのみ横丁
「ちょいのみセット」のチケットを購入すると、8蔵自慢のお酒から1杯と地元居酒屋3店が提供するおつまみから1皿が選べます。

筑紫の誉 無ろ過生原酒
まずは、お酒から。ここでは「筑紫の誉 無ろ過生原酒」を選びました。
甘味、旨味が豊かで濃厚な味わいです。

おつまみには、「こんにゃく串」をチョイス
こんにゃく串は、よ〜く出汁が染みていて筑紫の誉との相性は120点。想像の上をいくおいしさでした!

ここからシャトルバスで、「旭菊」を目指します。
朝日が昇る勢いと日本花の菊「旭菊」
1900年創業の「旭菊酒造」では、”食事に合うお酒” をモットーに、米の旨味にこだわった酒造りを行っています。

蔵の入り口付近には、あざやかなお雛様がずらり。

旭菊では、おちょこを購入すると3種類の新酒が試飲できるようになっていました。

本醸造 旭菊
「本醸造 旭菊」は、酸が立っている! お燗がおいしそう。

左「旭菊 銀生にごり」、右「旭菊 しぼりたて生原酒」
「旭菊 銀生にごり」は、甘口だけどすっきり飲める。
「旭菊 しぼりたて生原酒」 は、アルコール19度で濃厚な味わい。

蔵内には販売・飲食スペースがあり、みなさんゆっくりと新酒を味わっていました。
バスで次の蔵、「池亀酒造」に移動します。
雫しぼりの大吟醸が絶品「池亀酒造」

1875年創業の「池亀酒造」は、伝統の技と独自の技術で個性的な酒を造っている酒蔵。黒麹で仕込んだ純米吟醸酒やゼリー状の梅酒など、めずらしいお酒もあります。

入ってすぐのところに、新酒の販売試飲コーナーが!

池亀 純米 しぼりたて
ここで試飲したのは、「池亀 純米 しぼりたて」。
しっかりとした酸、味わいも豊かです。

直売所のなかは、有料試飲・販売コーナーになっていました。

右から「亀印 大吟醸」「蓑亀(みのかめ) 特別純米酒」「純米吟醸 はなの酒」「純米吟醸 無濾過無加水」
有料試飲ができるのは、上の写真の4種類。ここでは「亀印 大吟醸」を選びました。

池亀 亀印 大吟醸
香りがすごい! バナナやリンゴのようなフルーティーで華やかな香り。口当たりはさらっと軽やか。それでいて、旨味もしっかりある。
池亀の大吟醸は、圧力をかけずに自然の力で滴り落ちるしずくを集める「雫しぼり」を採用しています。
美酒の代名詞「花の露」
創業から270年以上もの歴史を持つ「花の露」。
軟水仕込みから生まれるきめ細やかな酒質が特徴で、代表銘柄の「花の露」は中国の古詩で美酒を讃えるのに使用される「花露」の雅語に由来します。

「花の露」の文字が、かっこいい!

蔵の入り口付近には、立派な鬼瓦。城島町は瓦製造業が盛んで、日本三大産地に数えられています。

敷地は圧巻の広さ。国道の反対側まで続く。

会場に入るとお祭りムード全開! おつまみから小石原焼きや錫器などの工芸品まで、出店が所せましと並んでいます。

花の露 しぼりたて 純米大吟醸 生原酒
試飲したのは「しぼりたて 純米大吟醸 生原酒」。
華やかな香り、ふくよかな旨味。しっかりとしたエキス分を感じました。
メイン会場はすぐそばなので、歩いて移動します。
8蔵40種類の日本酒が試飲できるメイン会場

いよいよメイン会場に到着!
受付で「飲みくらべチケット」と、おちょこを購入します。

試飲できる日本酒は全部で40種類!
お酒のランク別に、チケットの必要枚数が異なります。

会場に入ると、雨にもかかわらずこの盛況ぶり。

やっぱり、お酒呑みは雨なんか気にしない。

比翼鶴 今朝しぼり 純米吟醸酒
早速、試飲コーナーに向かいます。1杯目は「比翼鶴 今朝しぼり 純米吟醸酒」。
しっかりした旨味、飲み応えあります。

数ある出店のなかでおつまみに選んだのは「からいち」さん。からあげグランプリ「連続金賞受賞」にひかれました。

唐揚げはしっかり味が染みていて、まろやかさもあって、めちゃくちゃうまい! 豊潤な味わいの比翼鶴が、唐揚げをしっかり受けてくれます。

花の露 純米大吟醸
次は「花の露 純米大吟醸」。やさしい飲み口から、ふわっと広がる甘味。スルスルと飲めちゃいます。

独楽蔵 特別純米
こちらは、有料の角打ちコーナーで飲んだ「独楽蔵 特別純米」。やさしい香りと旨味。お燗にもぴったりの一本です。
ようやく戻ってきた日本酒の「わ」
おいしい日本酒を飲み、笑顔になっているみなさんを見ていると、ようやくこの光景が戻ってきたんだなと、しみじみ嬉しくなりました。
人と人をつなぐ日本酒の「わ」が、これからも広がっていくことを願っています。
湘南唯一の酒蔵・熊澤酒造の「蔵フェス」を満喫 ~後編~
前編に引き続き、後編ではいよいよ熊澤酒造で開催された“蔵フェス”について、当日の様子を紹介します。イベントが開催されたのは、4月15日・16日の2日間。
イベントはチケット制であり、チケットの料金は事前予約の場合5,500円、当日予約の場合は6,000円でした。この料金には、ドリンク&フードチケットとグラスが含まれています。ではさっそく、イベントの様子をご覧ください。
※熊澤酒造について、詳しく知りたい方は、前編から読むのがおすすめです!
さっそく、会場に入ってみよう!

入り口付近でまず目を引くのが、こちらの看板。手書きの文字とイラストがなんとも可愛らしく、訪れた人のなかには、看板と一緒に記念撮影をする方もたくさんいらっしゃいました。
ちなみに熊澤酒造は、ただの酒蔵ではありません。敷地内にはレストランやベーカリー、ギャラリーが併設されています。イベント当日は、それら全ての施設が会場となっており、スポットごとに味わえるお酒や料理が異なる仕組みです。

入場すると、写真のようなセットを受け取ります。ドリンクとフードをチケット制にするという方法は、さまざまな日本酒イベントで採用されているため、もはやお馴染みかもしれませんね。
ここでまず驚くのが、ドリンクに必要なチケットの枚数。多くのイベントでは、1枚で1杯飲める銘柄はあるものの数が少なく、ほとんどが2枚以上のチケットを必要とします。希少なお酒ともなると、1杯で3〜4枚のチケットが必要となるケースも珍しくありません。
しかし本イベントは、基本的に1杯1枚。イベント限定のお酒でも、ほとんどが2枚までとなっています。チケットの枚数は全部で10枚以上あり、1枚のお酒ならば10杯は飲めるのです。
そのうえ提供されるグラスが、かなり大きいことにも驚きです。後日、自宅で分量を確認したところ90〜100ml(およそ半号)入ることがわかりました。最大5合前後飲めるので、ベロベロになること必至ですね。

大きめなグラスへ、たっぷりお酒を注いでくれるものだから、思わず口元が緩んでしまうのも仕方ありません。
会場ではどんな日本酒が味わえる?

会場では熊澤酒造が醸す、実にさまざまな日本酒が味わえます。「せっかくならば今日しか飲めないお酒を」という気持ちから、杜氏おすすめ秘蔵酒として並ぶ、この5銘柄を中心に味わいました。
ちなみに熊澤酒造では写真の「天青」以外にも、かっぱシリーズがあるため、そちらも後ほど解説します。
会場で飲んだ日本酒を一気に紹介!
ではさっそく、イベント当日に味わったお酒を順に紹介していきます。定番でありながら一般には流通していないレアな天青や、可愛いラベルが目を引くかっぱシリーズなどに出会えました。
天青|純米吟醸千峰|生酒

記念すべき1杯目は、天青の千峰(生酒)。蔵元さんのイチオシとあって、即決しました。こちらはさまざまな風味へと変化する「熊本九号酵母」を使ったお酒です。5年間熟成されており、味わいはかなりどっしりとした印象でした。

しかしお酒を見てみると、熟成酒とは思えない透明感のある色に驚くことでしょう。この色からも連想できるように、どっしりとした旨みの後は、すっきりと引いていきます。
米の旨みはしっかりと感じながらも、決して飲み疲れはしない。細部までこだわり抜かれた風味に、思わず「1杯目にぴったりだ!」と一人、訳知り顔で頷いてしまいました。
天青|朝しぼり

2杯目に味わったのは、令和四年十二月に仕込まれた天青(朝しぼり)です。朝しぼりならではの爽快感が特徴的でした。
全体的にバランスが取れていて、非常に綺麗なお酒という印象が強かった1杯です。直前にどっしり系を飲んでいたため、風味の違いがよりしっかりと感じられました。
天青|純米吟醸千峰|酒未来

こちらは美山錦と山酒4号を掛け合わせた「酒未来」というお米を使ったお酒です。
風味の特徴は、全体的にフルーティーでワインのよう。後味がすっきりとしているため、ゴクゴク飲めてしまいます。
かっぱの純米吟醸

『MOKICHI TRATTORIA(モキチトラットリア)』で飲んだのは、茅ヶ崎の地に伝わる“かっぱ徳利伝説”に由来したお酒です。材料(米、水、酵母)は全て地元・茅ヶ崎のものを使用しています。
自社酵母(BK5)の力を、限界まで発揮させることに挑んだお酒なので、ラベルには「蔵人チャレンジ」と書かれています。また今までにはない「辛口」を目指したことも、理由なのだとか。
イベントでは屋台も出店!

本イベントの魅力は、たくさんの日本酒が味わえるだけではありません。普段からレストランの運営もしている酒蔵ならではの料理も、お楽しみポイントのひとつです。さらに屋外には屋台も出店されており、もつ煮・干物といった料理やヒレ酒が味わえます。
当日私が選んだのは、定番の「もつ煮」。大きめにカットされたゴロゴロ野菜がたっぷり入っており、非常に美味でした。体の内側からじんわりと温まるメニューは、屋外で味わうにはもってこいです。
お土産をゲットして自宅で余韻に浸る…

イベントを堪能したあとは、お土産コーナー(ショップ)へ。日本酒だけでなく、湘南ビールも販売されています。こちらのショップは、通常時からオープンしており、店内では試飲もできるそう。立ち寄った際はぜひ試してみてください。

この日、私が購入したお土産はこの2本。小瓶で持ち帰りやすく、少量ずつ違った味を楽しめます。イベントの余韻に浸りながら、自宅でじっくり楽しみたいところです。
熊澤酒造に対する「皆の愛」を感じたイベント

イベント全体を通して、まず感じたのが「いかに熊澤酒造が地域の人に愛されているのか」ということ。当日はあいにくの雨であり、気温もやや低めであったにも関わらず、設置されたテント内やレストラン内はほぼ満席でした。
そして一人一人を写せないのが勿体無いと感じるほど、みなさま良い表情をしていたことも印象に残っています。それぞれが浮かべる表情こそ、酒蔵はただお酒を造るだけの場所ではなく、お酒によって人と人とを繋ぐ場所という蔵元の思いが、しっかりと届いている証拠であるように感じます。
長年愛される酒蔵の姿を見ることができ、身も心もほっこりと温まった1日でした。
湘南唯一の酒蔵・熊澤酒造の「蔵フェス」を満喫 ~前編~
みなさんは天青(てんせい)という日本酒をご存じでしょうか。
「神奈川県のお酒といえば?」という質問には、かなり上位にその名が挙げられる、地元で人気の銘柄が天青なのです。
そんな天青を醸すのが、神奈川県茅ヶ崎市にある熊澤酒造。その熊澤酒造が4月15日・16日に蔵フェスを開催。「これは行くしかない」とばかりにすっ飛んで行っちゃいました。
せっかくイベントを楽しんだのだから、その様子を少しでも多くの方に伝え、熊澤酒造について知ってもらえればと考え、今回は当日の様子や飲んだお酒のレポをしていこうと思います。
とは言っても、いきなりイベントの情報だけをお伝えしても、正直「へぇ〜」で終わってしまうでしょう。そこで今回は前編と後編に分け、前編では熊澤酒造について知ってもらうべく、じっくりその魅力を解説していきます。
熊澤酒造ってどんな酒蔵?

熊澤酒造(くまざわしゅぞう)は、神奈川県茅ヶ崎市にある酒蔵です。現時点(2023年)では、湘南エリアで唯一の酒蔵として知られています。
また熊澤酒造で醸すのは、日本酒だけではありません。湘南の人ならみんな大好きな湘南ビールも、ここ熊澤酒造で作られているお酒なのです。
ここでは熊澤酒造の特徴について、詳しく解説していきます。
湘南エリア唯一の酒蔵の特徴とは?
湘南エリア唯一の酒蔵として知られる熊澤酒造ですが、いったいどのような蔵なのでしょうか。ここではその歴史や、酒造りのこだわりについて解説していきます。
150年の歴史をもつ酒蔵
熊澤酒造は明治5年の創業以来150年、酒造りをおこなってきた歴史ある酒蔵です。湘南に残されたただひとつの蔵元であり、長きにわたってお酒の力で人々に幸福を届けてきました。
熊澤酒造を語るうえで欠かせないのが「かっぱ伝説」です。酒蔵の敷地内には、写真のような看板がいくつか立てられており、茅ヶ崎の地に伝わる伝説が記されています。
いわく茅ヶ崎は、昔からかっぱが住むと伝えられるほど、水の綺麗な地であったようです。しかし高度経済成長によって、美しい水田は姿を消してしまいました。熊澤酒造は失われた水田を復活させるかのように、かっぱをシンボルとした酒造りをおこなっているのです。
熊澤酒造は酒造りだけじゃない!
熊澤酒造がおこなっているのは、酒造りだけではありません。酒蔵の敷地内にはレストランやベーカリーなどが立ち並び、地元の食材を使った料理や酵母を活かしたパンを提供しています。もちろんそれらの料理と合わせるのは日本酒です。

築450年の古民家を移築した「MOKICHI TRATTORIA(モキチトラットリア)」
古民家を改装して作られた『MOKICHI TRATTORIA(モキチトラットリア)』では、イタリアンと日本酒という、一風変わったマッチングが堪能できます。これらは全て、酒蔵はただお酒を造るだけの場所ではなく、お酒によって人と人とを繋ぐ場所であるといった蔵元の考えに起因しています。

敷地内で醸造している湘南ビール、日本酒と合わせてイタリア料理が落ち着いて頂ける。
酒造りのこだわりとは?
日本酒ファンにとって、酒蔵について最も気になるのは「どのような酒造りをしているのか」という点でしょう。
熊澤酒造は、手作りかつ少量生産にこだわる酒蔵です。少量ずつ出荷される日本酒は、いずれも良質なものばかり。どれをとっても手作りだからこそ実現できる、クオリティの高さを実感させられます。
また熊澤酒造が目指すのは、湘南の食文化を象徴するような酒造りです。
湘南エリアに暮らす人々は、都会的なライフスタイルを好み、和洋中にこだわらず多様な食事を楽しむ傾向にあります。ニーズに合わせて、どのような料理にもマッチしやすい酒造りをおこなっています。
蔵元が運営するレストランにイタリアンがあったり、ベーカリーがあったりするのもこのためでしょう。

酒蔵についてもっと知るなら『熊澤通信』
熊澤酒造株式会社の社訓は「よっぱらいは日本を豊かにする」です。初めて聞いた人が「ふふっ」と笑顔になってしまう、ユーモラスな社訓ですよね。飲み助なら思わず「よく言ってくれた」と歓喜することでしょうし、事実、私もその一人です。
そんな熊澤酒造は、たくさんの人にもっと酒蔵を知ってもらうため『熊澤通信』というものを発刊しています。蔵元で日々おこなわれる試行錯誤の積み重ねが記された『熊澤通信』。積極的に情報を発信する姿勢こそ、酒蔵と私たち消費者との相互理解を促しているのです。
ちなみに熊澤酒造ではInstagramも運営しています。日々の酒造りの様子が見れるため、ぜひチェックしてください。
kumazawa_photo(https://www.instagram.com/kumazawa_photo/)
熊澤酒造の代表銘柄は「天青」

熊澤酒造の代表銘柄は、冒頭でもご紹介した天青(てんせい)です。銘柄の名前は、中国の故事に記された「雨過天青雲破処」から付けられています。
「雨過天青雲破処」とはどこまでも透き通った神秘的な空という意味。言葉のように、突き抜けるような涼やかさと潤いに満ちた味わいを目指すという意味で、天青と名付けられました。
全4種類の天青には、それぞれに異なる意味が込められています。一つ目は上記の意味から『雨過天青』。二つ目は“雨上がりの山頂と交わる青空”という意味の『千峰』であり、三つ目は“木々の緑と交わる空”の『吟望』。最後は“風そよぐ大地と交わる空”という意味の『風露』です。

前述したように、熊澤酒造では日本酒だけでなく「湘南ビール」も造られています。湘南ビールの特徴は無ろ過、そして非加熱処理がされていることです。加熱しないからこそ酵母が生きたまま瓶詰めされます。
だからこそ、いつでもフレッシュな状態で楽しめるというわけです。
酒蔵が運営するレストランでも、この湘南ビールを提供しています。また写真のように、ショップでの販売もおこなっているので、酒蔵を訪れた際は、お土産にいかがでしょうか。
そんな熊澤酒造が「蔵フェス」を開催!

熊澤酒造は湘南の地に残された最後の酒蔵であり、150年の歴史が支える、確かな技術と経験をもっています。それだけでなく、常に「より良いお酒」「人と人とを繋げるお酒」を目指す姿勢もまた、人々に長く愛される理由でしょう。
そんな熊澤酒造のお酒を満喫するのにぴったりなイベントが、今回ご紹介する「蔵フェス」なのです。後編の記事では、いよいよ当日の様子を紹介していきます。引き続き、後編もご覧ください。




長谷川氏
実は去年のお米は、豊作とは言い難い出来だった。しかしいずれのお酒も、そのことを一切感じさせない、素晴らしい仕上がりだったように思う。これは偏に、酒蔵の努力の賜物でしょう