日本酒ってどんな酒? Vol.15 「“浅野日本酒店”の代表に、日本酒の愉しみ方を聞きました!」

日本酒の知識

日本酒ってどんな酒? Vol.15 「“浅野日本酒店”の代表に、日本酒の愉しみ方を聞きました!」

初心者入門としてお届けした「日本酒ってどんな酒?」第一部のラストは、実際にお店の方にお話しを伺います。

今回は、京都・梅田・浜松町・神戸三ノ宮に現在4店舗を展開する「浅野日本酒店」の浅野洋平さんにご協力いただきました!

 

浅野日本酒店

画像出典:浅野日本酒店 SANNOMIYA|ちょい飲み手帖
https://choinomi.jp/kobe/8553/

 

「純米酒」をセレクトしてみて

「純米酒」をセレクトしてみて

 

浅野さん

まず前提として、日本酒の豊かな個性を味わいたいなら「純米酒」から入ることをおすすめします。頭に“純米”と付いているものを選んでみましょうということですね。

これは醸造アルコール無添加で、米と麹、酵母、水のみで造られた日本酒のことを指します。醸造アルコールを添加した本醸造や普通酒にも、美味しいものはたくさんあります。

しかし、原料や製法による個性をわかりやすく、ダイレクトに感じてもらえるのは、純米酒だと思います。

“好みの味”の指標として「唎酒師の味の4分類」を活用

浅野さん

好みの味のイメージをご自身のなかで固めていくうえでは、「唎酒師の味の4分類」が役に立つでしょう。これは日本酒の味わいや香り、風味を大きく4つのカテゴリに分類したもの。

目の前の酒はこのうちのどれに当たるのか? を理解しながら飲めば、要素が複雑だと思われがちな日本酒の味が、ぐっと整理しやすくなると思いますよ。

 

日本酒の味わい4カテゴリ

 

こちらは過去記事でも解説したことがあるので、図表を再掲しておきましょう。それぞれのカテゴリについて簡単にまとめた文も記しておきます。

爽酒〔そうしゅ〕
軽快で、クセが少なくすっきりとした味わい。普通酒、本醸造酒、生酒などが当てはまることが多い。
薫酒〔くんしゅ〕
「吟醸香〔ぎんじょうか〕」が立ったもの、つまり吟醸酒系がカテゴライズされます。華やかで、フルーティーな香りが一番の特長。
醇酒〔じゅんしゅ〕
米本来のコクと旨みが最も活きたカテゴリ。純米酒系をはじめ、無濾過生原酒や、生酛・山廃系もここに入ることが多い。
熟酒〔じゅくしゅ〕
芳醇な甘み・酸味などをはらんだ、複雑で濃厚な味わい。おもに熟成酒・古酒がカテゴライズされる。

 

もう少し詳しく知りたい、という方は、下記の記事を参照してみてくださいね。

日本酒ってどんな酒? Vol.11 「おつまみ・料理との合わせ方 ~日本酒のペアリング基礎編~」

甘口・辛口、すっきり・しっかり

唎酒師の味の4分類を理解するうえで、少しだけ補足を。

日本酒ではよく「辛口」という表現を目にします。お店でおすすめをもらいたいときにも、「甘い・辛い、すっきり・しっかり」を尋ねられることが多いです。

日本酒におけるこれらの言葉のとらえ方は、どのようなものなのでしょうか?

 

甘口・辛口、すっきり・しっかり

 

まず、日本酒の「辛口とは、比較的甘みが少ないことである」と理解しておくとよいでしょう。刺激的な辛みがあるから、辛口と表現されるわけではありません。

では、“甘みが少ないこと”でどういった味わいが立ち上がってくるのか? 酸味や渋み、苦み、アルコール刺激などの印象が強く、甘いという感じが弱い。ひとまずはこのくらいの認識でいいと思います。

ひとつ重要なのは、「辛口=すっきり。ではない」ということ。誤解されることが多いポイントなので、ここはおさえておきましょう。

「すっきり」は爽やかさや軽み。「しっかり」は複雑味やボリューム感。こう言い換えることもできます。

このようにとらえると、甘口ですっきり、辛口でしっかり、というのもイメージしやすいのではないでしょうか。

 

このあたりも過去記事で解説しているので、気になった方はこちらもどうぞ。

日本酒ってどんな酒? Vol.04 「日本酒の“辛口”って何? ~日本酒度、酸度、アミノ酸度~」

“同じ蔵の酒”を飲み比べて

浅野日本酒店、店内

 

浅野さん

「唎酒師の味の4分類」のうち、自身の好みがつかめてきたら、次は「米の品種、精米歩合、酵母の種類、生か火入れか」に注目してみてください。と言っても、それぞれをつかんでいくにはそれなりの経験値が必要です。

なのであまり難しく考えずに、同じ蔵で、上述のいずれかを統一した酒を飲み比べてみるのがいいと思います。「まずはピンと来た蔵の酒を、いくつか飲み比べる」ということをおすすめしたいですね。たとえば当店では、同じ蔵の酒を3種類比べてもらえる「利き酒セット」をご用意しています。

日本酒業界の今後

最後に、日本酒業界の今後の展望についてもお伺いしました。

 

浅野さん

業界全体の売上や、日本酒を飲む人口自体が少なくなるのは、避けられないことだと思います。ただ、広く浅くよりも狭く深くと言いますか、日本酒文化そのものは、どんどん奥深く魅力的なものになってきていると実感しています。

特にいまやプレミアム酒の筆頭となった「新政」や、既存の定義にとらわれない酒種の「クラフトサケ」など、若手の力には目を見張るものがあります

 

ショップカード

 

浅野日本酒店では、ショップカードを吊り下げて収納し、見やすく、取りやすくしてあります。

 

個人的には、飲食店よりもむしろ個性的な“酒屋”が増えたほうが面白くなるかなと考えています。たとえば京都には、昨年末から新しい酒屋が4軒も増えました。

日本酒とクラフトビールが店内で飲めて、それぞれ量り売りもしてくれる「角打ち あさくら」。発酵食をメインにした料理家の方が、日本酒購入・試飲と、発酵アテのマリアージュを提案してくれる「発酵室 よはく」など、本当に四者四様なんですよ。

 

新しい酒屋も増加

 

つまり、確かなモノづくりをしていたり、信念を持って取り組んでいる蔵や店は、新しいファンを取り込みつつ成長を続けているということです。そういうところ同士が、ライバルというよりも互いに手を取り合って、一緒に盛り上がっていけるといいですね。

浅野日本酒店のお店紹介記事は、こちらからチェックしてみてください。

“全種試飲可能” でまだ見ぬ日本酒を体験!「浅野日本酒店」

お話を伺ったのはこの方!

浅野日本酒店 代表:浅野洋平 氏

浅野日本酒店 代表:浅野洋平 氏

 

2016年2月に「(株) 浅野日本酒店」を設立。「買えるし、飲める店」をコンセプトに、酒屋をメインとしながら、店内のほぼ全日本酒を試飲可、角打ち、昼飲み営業など斬新な取り組みを実践している。

2014年のUMEDAを皮切りに、2016年にKYOTO(2022年に移転オープン)、2020年にHAMAMATSUCHO、2022年にはSANNOMIYAと、現在4店舗を展開。今後も各地の大都市を中心に、店舗数を拡大していく構え。

 
日本酒ってどんな酒?

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