日本酒ってどんな酒? Vol.14 「日本酒銘柄・酒造ガイド入門編 その③ ~関東・東海・中国地方などの銘柄10選~」
日本酒の知識
銘柄ガイドも今回でラスト。入門編ということで、ご紹介する数を、全部で30銘柄・酒造とかなり絞り込みました。多すぎると、目移りしてけっきょくどれからトライすればいいかわからないですよね。
特筆すべき酒造が多いと感じる東北、近畿はそれぞれでまとめましたので、よろしければ下記リンクからご覧くださいませ。それ以外を、その他地方として大胆にひとくくりにした内容を今回はお届けします!
日本酒ってどんな酒? Vol.12 「日本酒銘柄・酒造ガイド入門編 その① ~東北地方の銘柄10選~」
日本酒ってどんな酒? Vol.13 「日本酒銘柄・酒造ガイド入門編 その② ~近畿地方の銘柄10選~」
コンテンツ
関東・東海・中国地方などの銘柄10選
ではまいりましょう! 下記、銘柄の五十音順で並べています。
酒造を代表する一本は、一部プレミア品を除き価格面なども考慮して選定し、特定名称と日本酒度(甘辛の指標)、アルコール度数を記載しています。
天吹 純米吟醸 いちご酵母 生(天吹酒造/佐賀)
【特定名称:純米吟醸/日本酒度:+1.5/度数:16.5%】
特定名称酒には全て「花酵母」を用いる酒造りが、世界的にも注目を集めています。
セレクトした一本は、天然花酵母である「いちご酵母」を使い、日本酒でイチゴの味わいを表現することを目指した意欲作。肉料理やチーズなどコクのあるものとよく合います。
そのほか、バナナやりんご、ひまわりなど、花酵母を用いた酒を十数種ラインナップしていますよ。
磯自慢 特別本醸造 特撰(磯自慢酒造/静岡)
【特定名称:特別本醸造/日本酒度:+4~6/度数:15~16%】
北海道洞爺湖サミット、伊勢志摩サミットの乾杯酒を提供。
その完成度と存在感は、新政の現蔵元が初めに影響を受けた酒として名前を挙げるほど。白桃や完熟バナナ、マスクメロンのようなフルーツを思わせる豊潤な香りが一番の特色です。
セレクトした一本は特別本醸造とは思えない凛とした香りで、自然なフルーティーさが、和洋問わず料理とも好相性。
義侠 純米吟醸原酒 40%(山忠本家酒造/愛知)
【特定名称:純米吟醸/日本酒度:非公開/度数:16~17%】
コンテスト向けではなく、「飲んで旨い酒」がコンセプト。
看板銘柄「義侠」は、酒の価格が高騰した時代に契約通りの価格を貫き通したことから、小売商から名前を贈られたというエピソードも。最高級山田錦の、米の凝縮感と奥行きが存分に感じられます。
酒銘に込められたストーリーさながらの、硬派で芯の通った味わいです。
黒龍 いっちょらい(黒龍酒造/福井)
【特定名称:吟醸/日本酒度:+5.5/度数:15.5%】
江戸時代の1804年(文化元年)創業。皇室御用達の酒として有名で、現在の令和天皇陛下が、ご成婚時の内宴の儀でこの蔵の酒を用いたことでも知られています。
定番の「いっちょらい」は、仕事の丁寧さが光るクリアな味わいと、バランスの良さを感じてもらえるはず。
最高級品の「石田屋」などプレミアム銘柄も複数あるので、機会があればぜひトライしてみてください。
シン・ツチダ(土田酒造/群馬)
【特定名称:純米/日本酒度:-11~15/度数:16%】
米の旨みや複雑味を引き出すため、群馬県産のあえて食用米を採用。しかもそれをほとんど精米せずに使用し、蔵棲みの乳酸菌や微生物を信頼した「生酛造り」を貫いています。
添加物不使用ながら、骨太な味わいが印象的。麹歩合と米の種類だけを変えた比較醸造や、インディカ米由来の中長粒米で醸造するなど、前衛的な「研究醸造」シリーズも要チェック。
酔鯨 特別純米酒(酔鯨酒造/高知)
【特定名称:特別純米/日本酒度:+7/度数:15%】
食中酒の高みを目指す蔵。たんに料理の邪魔をしないということではなく、食材の旨みをふくらませる「五味(甘み・苦み・酸味・塩味・旨み)のバランス」がコンセプトです。
特別純米酒は、精米歩合55%で米のふくよかな旨みを引き出し、独特の酸味が和の食材を特に引き立ててくれますよ。
“大酒飲み”を意味する鯨をあしらったボトルデザインもキュート。
仙禽 オーガニック ナチュール(せんきん/栃木)
【特定名称:純米/日本酒度:非公開/度数:14%】
超自然派日本酒「ナチュールシリーズ」が目を引きます。
米・米麹・水のみを使う完全無添加で、蔵付き酵母による自然発酵。そのほか、生酛酒母、木桶仕込みなど、「超古代製法」と名付けられた酒造りで独自の地位を確立しています。
使用する米も、現代の米の祖先とされる古代米「亀ノ尾」をリバイバル。ブドウのようにジューシーな果実香が印象的です。
獺祭 純米大吟醸 45(旭酒造/山口)
【特定名称:純米大吟醸/日本酒度:非公開/度数:16%】
今や最も有名な日本酒のひとつと言って差支えないでしょう。安倍元首相がオバマ元大統領に贈った酒としても有名です。
杜氏制ではなく自社社員による製造や、一年中生産できる環境整備により、「山田錦の純米大吟醸」という、王道の特定名称酒のリーズナブルな提供を実現。フルーティーで驚くほど飲みやすく、初心者入門としてもうってつけですよ。
真澄 純米吟醸 辛口生一本(宮坂醸造/長野)
【特定名称:純米吟醸/日本酒度:+4前後/度数:15%】
現在、最も採用されることが多い「きょうかい7号酵母」の生みの親。香り華やかで、どんな味わいにもマッチさせやすいのが特長です。また、蔵で用いる米は全て、新米を玄米の状態で仕入れて自家精米するというこだわりも。
セレクトした一本は常飲酒としても購入しやすく、吟醸酒ながら米の穏やかな香りと自然な甘みが感じられます。ぬる燗にしても美味。
水芭蕉 純米吟醸辛口 スパークリング(永井酒造/群馬)
【特定名称:純米吟醸/日本酒度:+8/度数:15%】
スパークリング日本酒に定評あり。蔵元は、awa酒協会の理事を務めています。
水芭蕉 スパークリングは、シュワシュワと爽やかな発泡と、米の味わい深さを両立した一本です。
和食に限らず、フレンチなど洋食にもぜひ。シャンパンの技法を応用した、本格的な瓶内二次発酵によって醸されるエレガントな銘柄「MIZUBASHO PURE」も。
次回は、日本酒専門店にインタビュー!
銘柄リスト入門編、いかがでしたか?リストに挙げた一本を飲んでいくだけでも、日本酒の多様性がある程度わかっていただけると思います。気になったものがあれば取り寄せるか、せめて名前だけでも憶えておいてもらえれば幸いです。
さて次回は、本連載「日本酒ってどんな酒?」第一部のラスト。最後はやはり、専門店の方に直接お話しを伺いますよー! お楽しみに。
日本酒ってどんな酒?
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