日本酒ってどんな酒? Vol.11 「おつまみ・料理との合わせ方 ~日本酒のペアリング基礎編~」

日本酒の知識

日本酒ってどんな酒? Vol.11 「おつまみ・料理との合わせ方 ~日本酒のペアリング基礎編~」

日本酒は、単体で味わいをじっくりと堪能するのもいいですが、おつまみや料理と合わせる「食中酒」としての魅力にもあふれたお酒です。

味の濃すぎないものであれば、それなりに何でも合わせられてしまうのが日本酒の懐の深いところ。でも今回は、「日本酒のペアリング」の基礎的な考え方を知っておくことで、より効果的な酒選び・料理選びができるようになることを願って、記事をまとめました。

自分が美味しいと感じる組み合わせが何よりもベストですが、その判断材料や基準として、役立ててもらえれば幸いです!

 

日本酒の”味わいカテゴリ”ごとのペアリング

日本酒の"味わいカテゴリ"ごとのペアリング

 

ではさっそく実践! とその前に。日本酒は、これまでの連載で見てきた原料や工程による違い以外に、味わいでカテゴリ分けされることもあるんですね。明確な基準があるわけではなく、あくまで目安ですが、知っておくと好みの味わいがイメージしやすく、また絞り込みやすくなるでしょう。

下記の図も参照してみてください。

 

日本酒の味わい

 

ペアリングにおいては、この区分で見ていくとわかりやすいので、

  • それぞれのカテゴリの[概要]
  • [ペアリング]においての特徴
  • 料理やアテなどの[メニュー例]

の順でまとめました。

A. 爽酒〔そうしゅ〕

概要
軽快で、クセが少なくすっきりとした味わい。普通酒、本醸造酒、生酒などが当てはまることが多いです。
ペアリング
酒自体が淡麗で、食中酒向きと言えます。薄味の料理と特に好相性。逆に料理が濃厚すぎると、酒がかすんでしまうことも。
メニュー例
  • 冷奴
  • 白身魚の刺身
  • 天ぷら

B. 薫酒〔くんしゅ〕

概要
「吟醸香〔ぎんじょうか〕」が立ったもの、つまり吟醸酒系がカテゴライズされます。華やかで、フルーティーな香りが一番の特長。
ペアリング
同じく香り高い料理を選ぶのがおすすめです。ハーブや柑橘類とも相性がよいので、ぜひ洋系のメニューとも合わせてみて。
メニュー例
  • 魚介のカルパッチョ
  • チキンの香草焼き
  • シュウマイ

C. 醇酒〔じゅんしゅ〕

概要
米本来のコクと旨みが最も活きたカテゴリ。純米酒系をはじめ、無濾過生原酒や、生酛・山廃系もここに入ることが多いです。
ペアリング
酒自体に旨みがしっかりとあるため、濃淡問わずさまざまな料理の名サポート役に。ご飯のお供を選ぶような感覚で、気軽にペアリングしてみるとよいでしょう。
メニュー例
  • おでん
  • いかの塩辛
  • グラタン

D. 熟酒〔じゅくしゅ〕

概要
芳醇な甘み・酸味などをはらんだ、複雑で濃厚な味わい。おもに熟成酒・古酒がカテゴライズされます。
ペアリング
冷奴などアテが薄味だと、酒が勝ちすぎてしまいます。酒質と同じく、濃いめの味付けのメニューがおすすめ。スパイシーな料理やデザートと合わせても。
メニュー例
  • 豚の角煮
  • ブルーチーズ
  • ドライフルーツ

日本酒とチーズは相性がいい!

 

日本酒とチーズは相性がいい!

 

意外と相性が良いのがこの組み合わせ。特に、まったりとしたクリームチーズはカテゴリを選ばずおすすめです。

酒の味わいが軽すぎなければ、スモークチーズも合わせやすいでしょう。淡白でミルキーなモッツァレラチーズは、爽酒や薫酒など酒質がライトなものとベストマッチ。

まずは気軽に買える6Pチーズなどで試してみても。

「ペアリング」の考え方3選

最後に、ここまで書いてきた具体的な実践を補足しておきましょう。日本酒と関連が深い項目に絞り、すぐにでも取り入れやすい知識・考え方を3つご紹介します。

ペアリングはあらゆる酒に存在し、奥が深いので、また別の機会に詳しく解説できればと思っています。

味わい・香りの濃さを合わせる

味わい・香りの濃さを合わせる

 

これが最も意識しやすいのではないでしょうか。日本酒と料理の、それぞれの味わい・香りの濃さをざっくりでいいのでイメージしてみましょう。

焼き鳥なら、タレにするか塩にするかを合わせる酒によって変えてみる、というのも立派なペアリングの発想です。

産地を合わせる

産地を合わせる

 

日本酒は「地酒」の文化がさかんなので、地元や旅先の店で日本酒を味わうときには、自然とこの組み合わせになっていることも。

家飲みする場合には、産地に気を配るだけでもペアリングがぐっと向上するはずです。

対照的なものを合わせる

対照的なものを合わせる

 

これはちょっと上級者向け。たとえば、天ぷらの油分を爽酒でさっぱりさせる「重⇔軽」の合わせ方。ピリ辛のエビチリに、米の甘みが活きた醇酒を合わせる「辛⇔甘」などです。

次回からは「代表的な酒蔵・銘柄」ガイド!

いかがでしたか? ここに書いた知識は、あくまで“きっかけ・足がかり”だと思ってください。難しく考える必要は全くなくて、まずは酒とアテを選んで、一緒に味わってみる

アテを口に運んでから酒を飲んだり、酒を飲み下してからその余韻でアテを食べるなど、前後、タイミングによっても感じ方が変わってきます。ペアリングという発想を頭の端に留めておくだけでも、楽しみがぐっと拡がりますよ。

さて次回からは3回にわたり、初心者のための有名銘柄・酒造ガイドをお届けします!

 
日本酒ってどんな酒?

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