元祖?蔵元ユニット「11PM(イレブン・ピーエム)」主催・春の唎酒会に潜入!
イベント情報
みなさんは「11PM(イレブン・ピーエム)」をご存じですか?
若い人はいざ知らずですが、中にはその昔、懐かしい昭和の時代の伝説的・深夜番組を思い出す方たちもいらっしゃるかもしれません(かくいう筆者もついそちらを連想してしまうのですが)…が、こちらはちょっと違います!
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「11PM」とは、ユニット名。
秋田県の「NEXT5」や山形県の「山川光男」など、日本酒業界では蔵元有志が集結したユニットやプロジェクトが近年多数あり、さまざまな活動がおこなわれています。
実は「11PM」はその元祖ともいえるユニットなのです。
蔵元ユニット「11PM(イレブン・ピーエム)」とは?
「11PM」は、全国「11」蔵の「P(プロダクト)」「M(マネージャー)」が集合したユニット。ここでいうプロダクトマネージャーとは、酒蔵においての酒質設計責任者ということになります。つまり、11蔵の蔵元の集合体ということ。
2001年に結成された「有志蔵元きき酒会」が元になっていましたが、参加蔵元もその当時より増え、約5年後に「11PM」と名称を変更(蔵元たちも懐かしの番組世代ですかね)しました。
現在は…
という錚々たるラインナップの計11蔵が名を連ねています。
酒蔵同士のユニットには、合同でお酒を造ったり、交替制でユニット名義のお酒をリリースしたり、各蔵が酒を競ったりと多様な形がありますが、「11PM」は蔵同士の技術交流会などとともに、「唎酒会」と呼ばれる試飲会を定期的におこなっています。
ここ数年のコロナ禍で、オンライン開催だった年やそもそも開催ができなかった年もありましたが、2022年からは唎酒会が再開されています。
この試飲会では、毎回11蔵の厳選された日本酒や季節のお酒が並びます。
今回は、去る4月19日に新橋で開催された「2023・第39回11PM春の唎酒会」にお邪魔して、今年のお酒や今後発売になる夏酒などを味わってきました!
「11PM 春の唎酒会」に潜入!各蔵の自信作をテイスティング
春の唎酒会は、東京にて。新橋駅からすぐのアンテナショップ「とっとり・おかやま新橋館」にておこなわれました。
実はこの唎酒会、飲食店・酒販店・メディア関係者対象のもので、一般公開はされていません。そのため、通常は中の様子のレポートというものは数少なく、貴重な機会です。
ですが「一般非公開?それならば日本酒ユーザーには関係ないのか?」というと、決してそうではなく。
この会は、酒販店や飲食店のオーナーさんやスタッフさんが参加しテイスティングをすることで、これから仕入れるお酒の参考にしたり、チョイスをしたり、ということになります。
つまり、今後みなさんの手元に届き、飲んで楽しむためのお酒を提供するにあたっての大事な情報リソースになっているということ。
蔵元たちには、心を込めて造ったお酒と意気込みをユーザーに届けるためにアピールする場なのです。
定番酒から季節のお酒、新作まで
場内は各蔵がブースに分かれ、多いところでは10種類以上のお酒を提供していました。
はじめは、片っ端からテイスティングしようと張り切っていましたが、あまりにお酒の数が豊富で、すべてのお酒を唎くのはちょっと難しいほど。
新商品や試験醸造、限定酒、地元での流通がメインの酒などを中心に、なんとか数をしぼりつつ回っていきました。
同一県内のユニットなどとは違い全国から集まっていることもあり、北から南までバリエーション豊か。
飲み比べているとそれぞれの蔵や地域の個性が際立ちます。
季節のお酒を先取りして提供する蔵もあり、「月山」の島根県・吉田酒造では夏酒もお目見え。
また古酒を提供する蔵や、リキュール、クラフトスピリッツなどを扱う蔵もあるので、多彩なタイプのお酒がテイスティングできます。
「東力士」の栃木県・島崎酒造では、熟成酒の「熟露枯」が。小瓶のセットはプレゼントや外国人向けなどとしても、とても喜ばれるそうです。
「陸奥八仙」の青森県・八戸酒造は、山椒やホップのクラフトスピリッツも登場。素材の香りがとても高く、ずらっと日本酒が並ぶ中、ちょっとしたリフレッシュにもなります。
「刈穂/出羽鶴」の秋田県・秋田清酒からは、「AWA SAKE」と呼ばれるシャンパーニュと同様の製法で造られるスパークリング日本酒「明日へ」が試飲できました。(画像右端)
きめ細やかな泡と繊細な米の甘味・旨味が際立ちます。
そして何より、大きな日本酒イベントの場合はスタッフにより対応がまちまちになってしまいがちですが、こちらの唎酒会は蔵元または蔵の従業員が対応してくださるため、テイスティングしながら蔵の思いや意図をうかがえたり、疑問に思ったことはその場で直に質問したりもできるので、わかりやすく確実でスムーズです。
蔵元たちの仲睦まじさも感じられるアットホームな唎酒会
回っていて感じたのは、蔵元同士もとても和やかなこと。
会の終了時も、撤収の号令を秋田清酒の伊藤洋平社長さん自ら場内に「すみませーん」と声がけ。志を同じくする仲間のこじんまりとした集会のようで、とても雰囲気がよくアットホーム。
お互いが楽しみながら研鑽してきていることが感じ取れます。
みなさんの手元へ届くのをお楽しみに!
場内は飲食・酒販関係の方が詰めかけていて、日本酒好きにもよく知られたお店の方などが多数いらっしゃいました。
この日にラインナップされていたお酒が、今後みなさんが訪れる酒屋や居酒屋などに並び、お店のスタッフが蔵元のフィロソフィーを代弁してくれることと思います。
参加蔵元のおひとり、岡山県・利守酒造の利守弘充さんからも、「店頭などで見かけたら、ぜひ手に取ったりお試しいただけたりすれば嬉しい限りです。」と、日本酒ユーザーのみなさまにメッセージをいただきました。
ぜひこの記事を読んでくださった方は、お近くの酒屋や飲食店に足を運び、11PM のお酒に触れてみてください。
お酒+思いは、単なる1+1=2ではなく、もっともっと飲む楽しさを広げてくれるはずです。
「11PM」Facebookページ
https://www.facebook.com/11pmkura/