ひとりでも遊べる・学べる!日本酒専門店を探訪しよう②-「和酒和食 月。」(五反田)

店舗紹介

ひとりでも遊べる・学べる!日本酒専門店を探訪しよう②-「和酒和食 月。」(五反田)

多種多様なお酒の中でも「なんだか難しそう」「本当においしいの?」と思われがちな日本酒。

そんな日本酒をもっと身近にするために「初心者でも楽しめる・女性ひとりでも入れる・お店の人と気さくに話せて学びもある」をコンセプトにして、おすすめ日本酒専門店をご紹介するこのシリーズ。

2回目にうかがったお店は、五反田にある日本酒専門店の「和酒和食 月。」

他では味わうことのできない、この店ならではのオリジナリティにあふれる体験の一部をのぞいてみましょう。

 

昭和な雑居ビル・通称「五反田ヒルズ」内に現れる正統派?

五反田ヒルズ入口

五反田ヒルズ入口

 

五反田駅西口から徒歩2分ほどの場所にある、ホテルロイヤルオークが入る通称「五反田ヒルズ」と呼ばれるビル。

この五反田ヒルズは昭和の雰囲気ただよう飲食店やスナックがひしめき、ロケ地などとしても使われる有名スポットですが、「和酒和食 月。」はこのビルの2Fに入っています。

 

店舗入口②

 

店の入口は小料理屋や割烹を思わせるような構え。ひとクセある店舗が多いビルの中で、正統派な飲食店といった雰囲気に見えます。

酒、料理、人が繋がる店を

店主の平見浩志さんは、これまで五反田エリアで「和酒バールAGI」「曲宴あぎ」という日本酒専門店を2店舗を営んできました。現在の店舗「月。」は前身「曲宴あぎ」の移転リニューアルとして2020年にオープンしています。

平見さんが日本酒専門店を始めた11年前、当時は「料理」と「お酒」両方の質が担保されている店がまだまだ少なく、「料理がきちんとしているとお酒がおざなりになる、またはその逆という店が多かった」と語ります。

その両立を目指した平見さん。また扱うお酒の蔵や、料理に使用する食材の生産者ともできる限り直に繋がり、お客さんの希望があればお客さんにも繋いであげるという生産から消費までの関係性も、コンセプトとして重視していました。

その集大成が現在の「月。」です。お酒や料理、その作り手、店に来るお客さん。モノや人、お互いの新しい出会いを大切にしています。

「一期一会」のエンターテイメント

奥には上品な座敷席も

奥には上品な座敷席も

 

まだ若いながら日本酒業界での経歴は長い平見さんですが、これまでの店舗から「月。」に至るまで、店を訪れるお客さんは、意外にもいわゆる日本酒マニア層よりも、日本酒にさほど慣れていないお客さんが多いのだそう。

 

日本酒に慣れていなくても楽しむことができるこの店の秘密は、料理長の渡邊茂さんがつくる「正統派の和食」に、店主・平見さんがペアリングさせる「エンターテイメント性を存分に打ち出した日本酒」にあります。

「意外性」が自身の得意分野であると語る平見さん。日本酒の提供には平見さんのオリジナリティがあふれます。

 

カウンター席(奥・料理長の渡邊さん/手前・店主の平見さん)

カウンター席(奥・料理長の渡邊さん/手前・店主の平見さん)

 

まずこの店の大きな特徴は「日本酒の銘柄を記載したメニューがない」こと。

そこには「人にはその日の気分があり、お酒にもコンディションがある」という考えが土台にあるそう。

常連の方にでも初来店の方にでも、まずはオリジナルの食前酒をお出ししてお客さんの反応を確認。その後は会話の中で好みや希望もうかがいながら、ひとりひとりのお客さんに向き合い、料理に合わせて即興で日本酒を提案していくスタイルが「月。」の持ち味。

「一期一会」という言葉がぴったりの、まさに「自分だけのペアリング」を楽しませてくれるのです。

ちなみに日本酒は、特別なもの以外はすべて金額を0.5合で500円(税抜き)に統一。そのため不安を感じずに提案を受けられます。

 

もちろん、目当ての銘柄を指定したい方にはショーケースも見られるようになっていますが、提供前には平見さんが必ずテイスティング。万一納得できるお酒の状態ではなかった場合は、その旨を伝え別の提案をする、という徹底ぶりです。

「わたしだけ」を堪能できる魔法の日本酒ペアリング

「月。」の個性は、それだけではありません。この店で提供される日本酒の最大の魅力は「平見流アレンジ」にあります。

日本酒を冷酒や燗酒などの温度調整で楽しませるだけでなく、フルーツや野菜のピューレなどを混ぜたり、複数の日本酒をその場でブレンドしたり、はたまたコーヒーやお茶などと組み合わせたり、という予想もしないような日本酒アレンジが飛び出してくるのが、何よりの「月。」らしさです。

そのために自ら、お酒以外の飲料についても専門家から学び、研究と研鑽を続けているそう。

 

今回はぜひその貴重なアレンジを味わいたくお願いしたところ、ご提案くださったのがこちら。

 

食前酒は「いちごとオレンジ白菜の食前酒」

日本酒にプラスして通常の白菜よりも甘味のあるオレンジ白菜といちごを生で使用し、少量のトニックウォーターを加えているとのこと。初めは葉野菜のフレッシュな青っぽさ。後半には爽やかないちごの香味を感じ、口に含んだ10秒ほどの間で変化が感じられるお酒。野菜や果物のジュースなどよりもさらっとしていて食前に嬉しい味わいです。

 

オレンジ白菜といちごを使用した食前酒

オレンジ白菜といちごを使用した食前酒

 

そしてアラカルトとして出していただいたペアリングが「米沢豚肩ロースの西京焼き」×「『燗』コーヒー」

燗コーヒーというのは字のごとく燗酒とコーヒーの組み合わせ。ですが、抽出したコーヒーと燗酒を混ぜるのではなく、なんと!燗をつけながら日本酒でコーヒーを抽出するのです。

 

燗コーヒー①

 

この日、ベースとして使用した日本酒は千葉県・寒菊銘醸の「電照菊 無濾過生原酒」をメインに、同じく「電照菊」の「おりがらみ生原酒」を少量足したブレンド。

寒菊は、甘味が強くグラマラスなボリュームもある生酒の得意な蔵。「生酒を燗つけするの?」と思う人もいるかもしれませんが、そこには確固たる理由が。

 

寒菊銘醸・電照菊2種類をブレンドして、燗酒に

寒菊銘醸・電照菊2種類をブレンドして、燗酒に

 

まず、コーヒーのような苦味を感じさせるものには甘味のあるものを合わせるのが、相性がいいという点。今回に限らず、食中酒のようなお酒よりしっかりと甘さを残した日本酒をいつもチョイスしているそうです。

そして、生酒のフレッシュ感は同時に出来立てのお酒の荒さでもあります。この荒さがこの後ペアリングさせる豚肉の油分によって包まれ、まろやかになるのです。

 

ふわりと香りの立ち上る「燗コーヒー」

ふわりと香りの立ち上る「燗コーヒー」

 

「燗コーヒー」だけでいただくと、温めたことでふんわりと立ち上るコーヒーの香りと、フレッシュさを残しつつも加熱することによってほんのりと香ばしくなった甘いお酒が気分をリラックスさせてくれます。

 

対して、米沢豚の西京焼きは奇をてらっていないスタンダードな一品。個性的なお酒に対して料理が正統派なのも、この店の特徴です。

 

米沢豚肩ロースの西京焼き:600円(税抜き)

米沢豚肩ロースの西京焼き:600円(税抜き)

 

この豚の西京焼きと合わせると、西京味噌の甘味・塩味、豚肉の脂といった厚みのある味わいが、無濾過生原酒でつけた燗コーヒーの濃さとベストなバランスの力関係に。

皿に添えられた柚子胡椒を混ぜた辛子をつけて食べると、キリっとした爽やかなアクセントも加わります。

思わず顔がほころんでしまう魔法のようなペアリングです。これが自分だけのものだと思うと嬉しさもひとしお。

たった一組の料理とお酒で、絶大な満足感が得られます。

 

米沢豚西京焼き②

お酒と人の「ペアリング」を目指す

店主・平見さんのお話をうかがって、一番印象に残ったのが「“料理とお酒のペアリング”というよりも“お酒と人のペアリング”を目指している」という言葉。

その日、その時間、そこにいるお客さん、そこにあるお酒、完成された料理とその作り手。

このすべてが揃うことで初めて成立する「月。」のもてなしには、人、モノ、コトをどれも置き去りにせず大切に扱う気持ちが表れています。

 

みなさんが店を訪れることで、ぜひ「月。」の魔法を完成させてみてください。

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和酒和食「月。」

 

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