ワインってどんな酒? Vol.08 「フランスワイン ~独自の法律で最高級品を保証~」

ワインの知識

ワインってどんな酒? Vol.08 「フランスワイン ~独自の法律で最高級品を保証~」

今回からは産地編。まずはフランスからいってみましょう!

同じブドウ品種でも、村単位、もっと言えば畑単位でかなり印象の違うワインが造られる場合もあるのですが、それでも、産地ごとの特色を少しでも知っているだけで、ワインにアプローチする導線がひとつ増えます。

これが想像以上にワインの楽しみを拡げることに結びつくんです。丸ごと覚える必要は全くないので、印象に残った事柄に思いを馳せながら、その産地で造られたワインを味わってみてください!

 

産地の個性を、国の法律で保全

産地の個性を、国の法律で保全

 

なぜフランスが「ワインの聖地」と呼ばれるのか? フランスワインのクオリティは、地方ごとに内容が定められた厳しい法律に支えられているんです。

フランスでは1935年に、A.O.C(Appellation d‘Origine Contrôiée=アペラシオン・ドリジーヌ・コントローレ)が制定されました。これは何なのかというと、産地ごとの個性を守るため、ワインにおける法律を国が定めているんですね。

その内容はまず、産地ごとに使用できるブドウ品種が決まっているということ。品種だけでなく、規定はブドウの剪定方法にまで至り、ワインの醸造法や最低アルコール度数など細かい規準がたくさんあるんです。

2009年にはEU諸国全体のワイン法としてA.O.Pが制定されましたが、現在もなおフランス独自のA.O.Cに則った、格式高いワイン造りを行なう醸造家も多いんですよ。

多彩なテロワール(自然条件)

多彩なテロワール(自然条件)

 

北部や山岳地以外の、フランスのほとんど全土でワイン造りが行なわれています。地域の自然条件などに応じたワインの造り分けが、非常に細かいのがフランスの特徴なんです。

たとえば「ブルゴーニュ地方」とひと口に言っても、そのなかにシャブリやボージョレなど、個性の全く異なる産地がたくさん含まれているんですよ。

では下記から、フランスの主要な4地方をご紹介します!

ボルドー ~しっかりボディの赤ワインなら~

ボルドー ~しっかりボディの赤ワインなら~

 

フランス南西部に流れる3つの川に抱かれた産地。温暖な海洋性気候が特徴です。「赤ワインといえばボルドー!」というくらい、世界随一の赤ワインの銘醸地として知られています。

その特長は、骨太で芳醇な味わい。脂がしっかり乗った肉と、ボルドーの赤の渋み・苦み(タンニン)が溶け合う甘美なマリアージュは、ひとたび味わえば忘れられない体験になりそうです。

ブドウ品種は、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、カベルネ・フランのブレンド比率を、その年の出来によって変えるのが主流。

造り手を5つの等級に格付け

また、ボルドーの造り手の大半は「シャトー(Château)」と呼ばれているのもポイント。

シャトーは“城”という意味で、自社畑を持ち栽培から、ワイン醸造、瓶詰めまでを一貫して行なう造り手のことです。このシャトーは、「グラン・クリュ」という格付けによって1~5級まで等級が付いています

“五大シャトー”という言葉を聞いたことはないでしょうか? このグラン・クリュの1級に格付けされた5つのシャトーが、五大シャトーと呼ばれているというわけ。

ブルゴーニュ ~テロワールを感じる単一品種~

ブルゴーニュ ~テロワールを感じる単一品種~

 

ボルドーに続いておさえておきたいのがこの産地。フランス中東部に、細長く約280kmにわたって連なります。

全体的に夏は暑く冬は寒い気候ですが、南北に長いので地区によって自然条件が異なります。このことが、畑ごとのテロワールを色濃く反映したワイン造りに結びついているんですね。

ブドウの出来によって味わいが毎年変わる

冒頭にもある通り、ブルゴーニュ地方のワインは単一品種で仕上げられるものがメジャー。赤ワインはピノ・ノワール、ガメイ、白はシャルドネが主要品種となっています。ブドウの味わいがダイレクトに表現されるので、年ごとのブドウの出来によって味わいに違いが出やすいんです。「毎年違う味わいに出会える」というのも、ブルゴーニュワインの特色のひとつと言えるでしょう。

地域ごとに非常に多彩なワインがあるので、味わいを端的に言い表すのは困難です。特に有名なものを挙げておくと、まず最北部の「シャブリ」で造られるシャルドネの白。すっきりとした辛口に定評があります。

最南部の「ボージョレ」も、9月に収穫したブドウをわずか2ヵ月で仕込み、フレッシュさを前面に押し出した「ボージョレ・ヌーボー」で良く知られています。

シャンパーニュ ~「シャンパン」の銘醸地~

シャンパーニュ ~「シャンパン」の銘醸地~

 

日本では、スパークリングワインの代名詞的存在。冷涼な気候と、“白亜質”という保湿性の高い独特の土壌が、ここでしか造れない発泡性ワインを育んできました。シャンパーニュ地方の特定地域で造られ、かつ“シャンパーニュ方式”と呼ばれる製法に則ったものだけが、シャンパンと名乗ることを許されています。

使用されるブドウ品種は3種類のみ。白ブドウのシャルドネと、黒ブドウのピノ・ノワール、ピノ・ムニエです。ワインの色は果皮から出るものなので、皮を除けば黒ブドウを使っても白ワインの色になるんですね。

3種のブドウを全てブレンドするのが最も一般的で、大手のワイナリーほど、違う年に出来た原酒をブレンドすることが多いのも特徴です。瓶内二次発酵により、総じて発泡性が高い傾向にあります。

味わいは非常に幅広いですが、指標としてラベルに甘辛表示が付されています。

ローヌ ~南北で異なるキャラクター~

ローヌ ~南北で異なるキャラクター~

 

フランス第二位の経済力を持つ都市・リヨンの南を通り、地中海まで注ぐローヌ川流域に広がる地方。全体的に日差しに恵まれた地域ですが、北部と南部で自然条件に隔たりがあるのが一番のポイントです。

北ローヌは単一品種のワインが多く、シラー主体の濃密な赤、ヴィオニエを使った甘口の白が有名。いっぽう南ローヌは瓶詰め前にブレンドするのが定番で、複数品種を一緒に発酵させる「混醸ワイン」もよく知られています。

グルナッシュ主体でやわらかいニュアンスの赤が代表的。

次回は「イタリア」!

今回はここまで。次回はフランスと並び立つワインの二大巨頭・イタリアを解説します!

 
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