ワインってどんな酒? Vol.12 「新世界(ニューワールド)ワイン ~リーズナブル&高品質!~」
ワインの知識

フランス、イタリア、スペイン、ドイツなどワイン造りの歴史が長い国々を「旧世界」と呼ぶことがあります。それに対して、歴史が比較的浅い国々は、「新世界(ニューワールド)」と呼ばれます。
今回は、カリフォルニア州(アメリカ)、チリをはじめとする、新世界(ニューワールド)ワインの魅力に迫ります!
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自由な発想で、低価格&高品質を両立
低価格で、質の高いワインが飲める――実は、まさにワイン入門にうってつけなのが「新世界(ニューワールド)ワイン」なんです。
その理由のひとつに、いわゆる旧世界に比べて「法律による縛りがゆるい」ことが挙げられます。フランスなどでは、たとえば手摘みによるブドウの収穫をはじめ、厳格に定められた伝統的な造り方をしなければ、その産地のワインであると名乗れないという法律があります。
新世界の諸国にも、そういった決まりはないわけではないのですが、旧世界よりも自由な発想や技術によるワイン造りが可能なんですね。
そういった背景もあり、新世界ワインは同じボトルを大量生産することで、安価で提供できるというわけ。伝統的な方法は、えてして効率や生産コストを度外視していることが少なくありません。
新世界では、旧世界では採用できない方法も取り入れられるので、斬新なワインが登場することもあり、価格だけでなくそのクオリティにも注目が集まっているんですよ。
日本では新世界ワインと言えば、温暖な気候のなかしっかりと熟したブドウを使った、果実の凝縮感のあるパワフルなワインが主流とされてきました。
現在もその傾向はあるものの、近年では、辛口かつ上品なワインも増えてきているんですよ。
ブドウ品種がラベルで分かる
もう一点、全体に共通する特徴を挙げておきましょう。上記の画像はイメージですが、新世界ワインのラベルにはブドウ品種がはっきりと書いてあることが多いのも特徴です。
旧世界では産地ごとに使えるブドウ品種が定められていることもあり、ラベルには産地名しか書かれていない場合がままあります。
ラベルでブドウ品種を確認しながら選べるのは、新世界ワインが初心者にもやさしいポイントのひとつと言えるでしょう。
新世界ワインを代表する国々
ではここから、新世界ワインを代表する国々の紹介に移ります。
カリフォルニア州(アメリカ)~パワフルな赤に定評あり~
まずはアメリカワイン全体の9割を生産する「カリフォルニア州」です。
太平洋側の大部分を占める州。でも実は、海沿いのほうが気候は冷涼で、内陸ほど暑いのが特徴なんですよ。アメリカ国内で人口が最大の州でもあります。
注目したいのは、アルコール度数高めで濃厚な赤ワイン。高級赤ワインとして有名な「オーパスワン」は、カリフォルニア北部のナパヴァレーで造られています。
とはいえ高級品だけでなく、安価なワインまで幅広くラインナップされています。カベルネ・ソーヴィニヨンやメルローを採用した、フランス・ボルドーに近い味わいの赤ワインが、リーズナブルに取り引きされていることもあるんですよ。
そのほか、代表的な黒ブドウ品種には「ジンファンデル」が挙げられます。
チリ ~本場にひけを取らない赤ワインを安価で~
南米の太平洋沿岸に、縦に細く延びるチリ。日照時間や温暖な気候に恵まれ、しっかりと熟したブドウが獲れる自然条件が整っています。
それを求めて、フランス・ボルドーの五大シャトーやそのほかのヨーロッパ各国、アメリカなどの著名な造り手が次々と進出したのが、チリワイン発展の由縁なんですよ。
加えて、比較的物価が安い国でもあることから、高品質のワインがリーズナブルな価格で取り引きされています。さらに、日本とチリのあいだには自由貿易協定が結ばれ、現在、ワインにかんしては無関税で輸入することができます。日本国内の輸入量は、フランスとトップを争うほどなんですよ。
特に「カベルネ・ソーヴィニヨン」を代表品種とする赤ワインは、フランスにも劣らないくらいのクオリティのものが、本場よりもかなり安く飲める場合が多いので注目してみてくださいね。
オーストラリア ~初心者におすすめのスクリューキャップ~
ヨーロッパの総面積よりも広大なオーストラリア。おもに南部と西部の、自然条件の異なる地域で多数のヨーロッパ系品種を栽培しています。
代表的な黒ブドウ品種「シラー」(現地ではシラーズ)は、果実味を押し出した力強い味わいで、コショウなどのスパイスのニュアンスが感じられることも。
また、コルクではなくスクリューキャップのボトルが多いのも特徴です。保存への配慮が少なくてすみ、ラクラク開栓できるので、初心者のはじめの一本にもうってつけなんですよ。
ニュージーランド ~トロピカルな「ソーヴィニヨン・ブラン」~
ヨーロッパで言うとドイツにも似た冷涼な気候。代表品種は、白ブドウ品種「ソーヴィニヨン・ブラン」です。
若葉やハーブを思わせる香りと活き活きとした酸味に、トロピカルな甘いフレーバーが重なります。黒ブドウの代表品種は「ピノ・ノワール」。
新世界のなかでは比較的、繊細な味わいのワインが多いと言えるでしょう。
南アフリカ共和国 ~赤白ともに高品質&リーズナブル~
アフリカ大陸の最南端。白ブドウ品種「シュナン・ブラン」は栽培面積世界一を誇り、果実の凝縮感と、きりっとした爽快感を兼ね備えた辛口の味わいに定評があります。
また、ピノ・ノワールとサンソーという品種を独自に交配した黒ブドウ「ピノタージュ」にも注目。
ドライフルーツを思わせるような濃密な果実感が印象的です。
アルゼンチン~オリジナリティを感じる赤と白~
チリの隣国であるアルゼンチン。アンデス山脈に沿うように国土が延び、乾燥した土壌で個性的なワインが造られています。
黒ブドウ品種「マルベック」は、ベリー系の香りにスパイス感が絡み、なんともいえないコクを醸し出します。
白ブドウ品種「トロンテス」も、柑橘類やマスカットのような爽やかさと、フレッシュな酸味の辛口に定評があります。
次回は「日本ワイン」!
次回はついに産地編のラスト、「日本ワイン」を解説します!
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