酒米「雄町」の誕生地…。”岡山県”の日本酒5選を紹介!
酒造・メーカー紹介
吉井川や旭川、高梁川といった三大河川から清らかな水が流れ、酒米の栽培に最適な豊かな土壌を持つ岡山県。酒造りに適した米「雄町(おまち)」の故郷でもあります。この雄町米を使用した、豊かな味わいと深い風味が人気で、さらに「オマチスト」という言葉まで生まれました。もちろん「山田錦」や「五百万石」も生産されています。
岡山の日本酒を楽しみたいけれど、全国的に評判の高い銘柄が多く、どれを選べばいいのか悩む方もいらっしゃるでしょう。今回は、岡山の日本酒のおすすめ銘柄やエリアごとの特徴について紹介します。
コンテンツ
エリアで選ぶ岡山の日本酒
岡山は米や水、技術に恵まれ、40以上の酒蔵が点在しています。自分の好みに合った日本酒を見つけるために、ますます多くの酒蔵や銘柄を調査することが重要です。特にエリアごとの特長は、押さえておくべきでしょう。
備前エリア
日本酒ファンにとっては、酒造好適米「雄町」は広く知られています。この米は備前エリアで広く栽培されており、特に赤磐市の雄町は特別視されています。もし「赤磐産の雄町」を使用した日本酒を満喫したい場合、備前エリアにある酒蔵がおすすめです。
その中でも「利守酒造」という酒蔵は、「雄町」を復活させたことで知られてる酒蔵です。「赤磐雄町 純米大吟醸」というお酒は、同社の代表的な銘柄となっています。また、備前エリア中央に位置する岡山市には、名水百選にも選ばれた「雄町の冷泉」と呼ばれる清水があります。岡山県最古の酒蔵である「室町酒造」では、地元の赤磐産の雄町を原料とした「雄町の冷泉」を用いて醸造される、高品質な日本酒が誕生しています。国内外で高く評価されているお酒なので、ぜひトライしてみてください。
備中エリア
岡山県西部に位置する、備中エリアにある酒蔵もおすすめです。このエリアは、岡山県内の酒蔵のほぼ半数が立地し、それぞれの蔵が独自のこだわりと個性を持っています。酒づくりの競争がおこなわれていることもあり、非常に注目のエリアといえるでしょう。
例えば、主力銘柄である「燦然」を醸す「菊池酒造」では、酒造りの際にモーツァルトの楽曲を流すユニークな試みをおこなっています。社長兼杜氏は、現役の指揮者でもあり、音楽に深い造詣を持っていることにも驚きです。そのため特有の技術が、酒造りにも生かされています。
美作エリア
これまで未体験の日本酒をお求めの方におすすめしたいのは、岡山県北部に位置する美作エリアで製造される酒です。美作エリアは、酒造りに適した寒冷な気候と自然の恵みに恵まれた場所です。エリアの名前自体が「うまい酒」を指すことからもわかるように、美作エリアの酒は格別です。伝統を大切にしながらも、新たな挑戦に取り組む酒蔵が点在しています。
岡山の酒造好適米といえば「雄町」
岡山特有の日本酒を探している方にとって、注目すべきは、岡山で生産された日本酒の中でも「雄町」を使用した銘柄です。酒造好適米と聞くと、多くの人が兵庫県の「山田錦」や新潟県の「五百万石」などを思い浮かべるでしょう。
これら有名な「山田錦」や「五百万石」の誕生に大いに貢献したのは、酒造好適米として長い歴史を持つ「雄町」です。雄町は、日本酒製造に最適な酒造好適米の一つですが、山田錦や五百万石に比べて栽培が難しく、収穫量も制限されています。しかし驚くべきことに、その収穫の9割が岡山県産です。そのため、岡山の日本酒を楽しむ際に、雄町は無視できないでしょう。
雄町で醸造された日本酒は、野生の風味と複雑さが調和し、しっかりとした旨味があります。雄町を愛する人々は、しばしば「オマチスト」とも呼ばれます。この機会に「オマチスト」の仲間入りしてはいかがでしょうか。
岡山県のおすすめ銘柄5つ
ここからは、岡山県の日本酒の中から、筆者が特におすすめしたい5つの銘柄を紹介します。以下の銘柄を紹介していくので、気になる方はチェックしてください。
燦然 特別純米酒|菊池酒造
豊かなお米の香りに、ややオイリーなニュアンスが広がっています。口に含むと、穏やかな甘みと滑らかな旨味が広がります。優れた調和を魅せる、心地よい酸味が顔を出します。テクスチャは非常に細かく滑らか。後半になるとわずかな苦味が感じられ、クリーンなフィニッシュが訪れます。
このお酒は、常温でも燗でも楽しめます(筆者としては、お燗がおすすめです)。ふくよかな旨味が最大限に引き立ちますので、ぜひお試しください。
嘉美心 冬の月|嘉美心酒造
岡山県で採れた新鮮なアキヒカリのお米を贅沢に使用し、岡山白桃酵母で醸造されたのが「冬の月」です。このお酒は「嘉美心酒造」の独自の製法により、お米の本来の美味しさを最大限に引き出し、純米吟醸無ろ過生原酒として作られています。
また上槽の際に圧力を最小限に抑えた方法を使用しており、お米の自然な優しさを「美味しさ」として体験できるようにしています。お米の美味しさを濃縮した風味と、滑らかでシルクのような口当たりが特徴です。
喜平 本醸造 ひやおろし|平喜酒造
「ひやおろし」とは春に収穫された日本酒の原料を搾り、秋までの期間を蔵で静かに寝かせ、熟成を深めた特別な日本酒です。この季節になると、夏の間に酒が熟成し、その旨味が一層増しています。
夏を越えることで、味わいの荒々しさがなくなります。柔らかな甘味が広がり、秋の豊穣な季節に相応しい味わいが楽しめます。秋刀魚などの秋の食材と一緒に楽しんで、季節感を存分に堪能してください。
大典白菊 Maybe|白菊酒造
伝統の日本酒の風味を超えて、新しい味のジャンルを創り出すという思いで名付けられたのが、こちらのお酒です。
これまでの日本酒にはあまり見られない、甘味と酸味が絶妙に組み合わさったお酒です。冷やしていただいても、キリッとし過ぎず、しっかりとした味わいを楽しむことができます。このお酒のラベルの背景には、アザラシと氷の結晶がイメージされており、そのほわんとした甘味と美しい酸味を連想させます。
多賀治 純米大吟醸 朝日|十八盛酒造
こちらの酒は、備前赤磐赤坂産の朝日米を100%使用。穏やかな香りと、朝日米特有の柔らかくふくよかな旨味が、酸味と共に口の中でキレます。飲み続けても、飽きのこない一杯です。冷やして、食事と一緒に楽しんでください。