困難からの復活!「美酒如日輪」太陽のような美味しいお酒になるように。-京都府 松井酒造-

酒造・メーカー紹介

困難からの復活!「美酒如日輪」太陽のような美味しいお酒になるように。-京都府 松井酒造-

松井酒造について

松井酒造」は享保11年(1726)の創業です。

当時4代目の松井治右衛門が兵庫県の香住で酒造りを行っていたという記録が現地のお寺に残されています。正確な記録が残っているのがその頃ですので、享保11年を創業年として定めています。

初代松井治右衛門が現地の村が水飢饉に陥った折に井戸を掘り、湧き出てきた水で村が救われた、そしてその水を使って酒造りを始めたのが「松井酒造」の始まりと伝えられています。現地の盆踊りの歌詞にはそのことが唄われています。

当時は造ったお酒を北前船で北海道まで運び、帰りは海産物を積んで帰ってきていたようです。北海道の目的地は千歳。創業以来の銘柄「富士千歳」の千歳は北海道の千歳から採られています。

 

創業以来の銘柄「富士千歳」

松井酒造の歴史

江戸の後期に京都に出てくることになります。最初は河原町竹屋町のあたりで酒造りを行っていました。禁門の変で蔵が焼けたり、様々な苦難があったようです。

大正時代に入り、京都市に市電が開通することになり、道路の拡幅工事のために現在の左京区吉田河原町に移転しています。

さらに、今から40年ほど前、近隣で地下鉄の工事が行われることになります。当時は15mほどの浅井戸を使っていましたが、そのくらいの深さでは水が出なくなるかもしれない、出たとしても水質は変わるだろうということを言われたそうです。

 

その当時は様々な洋酒が輸入されるようになり、日本酒の地位が相対的に弱まってきた頃だと言われています。先々代は当地での酒造りを断念し、似た境遇の酒蔵が合同会社を作り、伏見で酒造りを続けることになります。

そんな中、先代が「松井酒造」復活に動き出します。休造期間中に蔵はマンションに建て替わりました。1階部分は電機資材会社に借りて頂いていたので、比較的広いスペースが空いています。

「ここで松井酒造を復活させる」という先代の熱い想いに引っ張られるように、皆がその目標に向かって動き始めました。

2009年、「松井酒造 鴨川蔵」は約40年ぶりに復活することになりました。その時にできた銘柄が「神蔵 Kagura」です。

 

約40年ぶりに復活した「松井酒造 鴨川蔵」新たに完成した銘柄「神蔵」

松井酒造の目指す酒

復活当初は最新の設備をそろえた酒蔵として様々なメディアでご紹介いただきました。中にはあたかも全自動でお酒が出来るような印象を与えるものもありました。しかし、酒造りは決してそのように簡単なものではありません。

松井酒造」は品質が向上するための機械化であれば積極的に導入しようと考えています。言い換えれば酒造りはサイエンスであると考えています。

ただ、同時に酒はエモーショナルなものであるという確信も持っています。何しろ、「酔う」わけですからこれ以上に感情に訴えかけるものはないわけです。だからサイエンスに立脚しながらも、蔵の想いを商品に宿すよう、手造りを大切にしています。

 

酒造りはサイエンス

 

温度管理をはじめ、機械が得意なところは機械に、それ以外のところは徹底的に人の手が入ります。

酒としては香りと味わいが高次元で調和するようなものを目指しています。

酒造りは精米を経て仕込みに入ります。香りを求めて精米を重ねると味わいを犠牲に、逆に味わいを求めて精米をせずにいれば香りが犠牲になります。「松井酒造」の目指す酒は香り高い純米酒、味わい深い大吟醸酒なのです。

どの酒も香り豊かで甘酸辛苦渋の五味がうまく調和した酒を造ることが「松井酒造」の目指す酒です。

 

酒造りはサイエンス

松井酒造の取組み

かつて私たちは都市化の波の中で酒造りを断念することになりました。

都市部で酒造りを続けることの大変さは身に沁みて感じています。伝統産業であることは自然環境保護に消極的であっていい理由にはなりません。そういう考えから「松井酒造」では2009年の蔵の復活当初から、使用する電力の約6割は太陽光発電を使用しています。

「美酒如日輪」太陽のような美味しいお酒になるように日々取り組んでいます。

また、最近では脱プラスチック、再生紙の積極的な使用にも会社として取り組んでいます。

伝統とは革新的であり続けた結果、醸成されるものです。変えてはならない幹の部分をしっかりと太くしながら、自由に枝葉を伸ばし大樹となるように努力しています。

 

文:日本酒鑑定士協会 瀧村健治
編集:LIQLOG

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