地産地ビールを提唱!大井川流域の魅力を発信する醸造所 ~静岡県 193 VALLEY BREWING~

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地産地ビールを提唱!大井川流域の魅力を発信する醸造所 ~静岡県 193 VALLEY BREWING~

静岡県の島田市街地からみかんで有名な神座を通り抜け、車で30分ほど山道を進んだところに位置する伊久美地区。静岡茶発展のルーツがこの小さな伊久美村から始まったともいわれており、お茶をはじめ、在来作物も残っている歴史ある地域です。

その土地の魅力に引き寄せられるようにビール造りを担うのが193 VALLEY BREWING。運営やホップ栽培を行う合同会社ビアホップおおいがわの代表小林浩樹さんにお話を伺いました。

 

193 VALLEY BREWING 代表:小林浩樹さん

193 VALLEY BREWING 代表:小林浩樹さん

 

クラフトビール王国静岡で始めるホップ栽培の魅力

ホップ収穫

 

小林代表

伊久美というのは色んな文化の集積地というのもあって、風土風習に生きる在来作物が残っています。ただ、お茶畑が広がる土地では、土壌が酸性のためホップ栽培は難しいと言われていました。ホップの栽培はアルカリ土壌を好むためです。

お茶畑以前には、焼畑によってアルカリ土壌になり、そばやあわの栽培が行われていた。それならばここでホップが作れると。当時はビールを作りたいなんて全く思っていなかったんです。クラフトビール王国の静岡でホップの需要が高いのではと考え、とにかくホップを作りたいと思っていました。

湧き上がるアイデアと地域の活性化

店内

 

2020年ホップ栽培のために合同会社ビアホップおおいがわを立ち上げた小林代表。JICA海外協力隊への参加や大久保グラススキー場の再興、地元藤枝市観光協会事務局長として尽力するなど、多くのアイデアで幅広く地域の活性化に貢献されてきた歴史があります。また、第8回志太ビジネスプラングランプリでのグランプリ受賞も一つのきっかけでした。

 

小林代表

伊久美に会社を作ったおかげで、現在の施設を利用するのはどうかと色々な人から声を掛けてもらいました。その時、クラフトビールのあり方を書かせてもらったんですけれど。

とりあえず3年後ご縁があればと伝えていましたが、ビール造りも同時に始まっちゃったって感じですね。ビール造りはやってみればやってみるほどこんな難しい飲み物はないなぁと。売り方も難しく、醸造長とも議論を重ねましたが、スタートから毎日苦労の連続でした。

醸造家一人ひとりとのコミュニケーション

ホップ 2021

 

筆者もいただきましたが、とてもそんな背景があるようには思えないほどクリアで上品な味わい。ビール造りとホップ栽培を両立している小林代表だからこそ、ホップに対する熱い思いや熱量の大きさを感じさせます。

 

小林代表

ホップを誰が使うかといったら飲み手ではなく醸造家なんです。醸造家の皆さんたちのご苦労や努力も肌身で感じているので、ホップに対して求めているレベルがものすごく高いけれど、それは当然だと思う。地の物だから使えばいいというものではない。地の物だからこそちゃんとしたものを作らないといけないと思う。

 

ラインナップ

 

こちらで作られているホップは、ゴールデンエールやHazy、IPAなどアロマホップとして香りを楽しめます。ホップ投入のタイミングは、風味や苦味などそれぞれのベストな味わいを引き出すコーヒーやお茶のブレンド技術と似ていると教えてくれました。

お茶を使用したビール!島田を五感で味わう

お茶を使用したビール!島田を五感で味わう

 

静岡らしさ、島田らしさを味わいの絶対条件に掲げる193 VALLEY BREWING。故郷の静岡へ帰ってきたなという感覚を味わってもらえるよう、同じ地区で栽培されているお茶を使用した商品に力を入れています。

 

小林代表

お茶の淹れ方と同じようにビールの仕込みをしています。100度で淹れれば苦味の強いお茶になるし、温度を下げれば香りの高いお茶になるし、低いところで入れると水出し煎茶のようになるし。ホップをどこで入れるか、温度をどのくらいで入れるかもすごく大切。

お茶へのリスペクトです。開拓地の先駆者として静岡全域に広がり、江戸時代末期から煎茶の製品化が始まって世界に向けて輸出されていた。この土地から静岡茶が始まったと云われているので、やはりそれだけの大切な気持ちでやらせてもらっています。

同じ水と同じ土で育った農産物とのペアリング

小林さんと工房内

 

料理人のように感性をフル稼働させながら、丁寧に真面目にビール造りと向き合う小林代表。「生産者の皆さんからお預かりしている農産物なので、絶対に粗相のないようにしたい。」と謙虚な姿勢で取り組んでいらっしゃいます。

 

小林代表

ビールもある意味で伊久美を発信している一つの手段ですが、あくまでそこはゴールではないというところがある。今の時期だと通り沿いに神座みかんが出たり、自分の大好きなトマトの無人販売があったり、いちごの販売店があったりと行く途中がデパートみたいな感じなので!ここに来てもらうことが一番想いが伝わると思うんです。

伊久美地区を訪ねる面白さをブルワリーから発信!

樽生ポップアップ

 

小林代表自身、ご当地グルメの立役者として数多くのイベントを盛り上げてきた実績がある方。そこで気になるのがブルワリーで催されるイベントの数々です。車中泊ができる専用駐車場をはじめ、焚き火イベントや月替わりの飲み放題など様々なアイデアで溢れています。

 

小林代表

ビールは飲んだら食べたくなるし、また飲みたくなるし、という横にも縦にも広がる。イベントともすごく相性が良いので、食イベントやマルシェも開いているし、もっと相性が良いのは音楽、もっと言うとお笑いや落語やお芝居。ビールを通じて何かできることは常に考えていて、その中でも「場づくり」をものすごく大切にしています。

 

カウンター

 

小林代表

自分は物語、ストーリーを作っているんです。物語って一人では絶対にできない。どれだけ多くの人が一緒に携わるかによって物語の厚みが増す。それがミュージカルになるかもしれないし、演劇になるかもしれないので。色んな人達とストーリーを語り合いたいなぁとものすごく思っています。カッコつけちゃった笑?

守りたいもの、チャレンジしたいこと

醸造所風景

 

小林代表

この土地で造ることを大切にしたい。これからもそれを想い続けたい。クラフトビールであり、地ビールであるということは忘れずに。ビールを通じて、この地から笑顔を広げていきたいです。

チャレンジは、ずっとチャレンジなのでブラッシュアップしていきたい。それとスポーツとビールという相性抜群なものをこの土地で広められたらなぁと。実は、10数年前に地ビール造りたいというのがあって、法律的なハードルの高さに諦めようかなと思っていたんです。

 

スポーツとビール

 

小林代表

ところが、50歳を過ぎて人生やり残したことがないかなと思い返したら、あの時のビール造りやってないなぁと思って。ハードルが高いのを知っていたので、まずホップを作って、ホップを通じてビール産業に携わろうという気持ちだった。そこから2019年、日本で開催されたラグビーワールドカップが自分の背中を押してくれたんです。

あれほどビールを飲みながらスポーツを楽しむんだというのを直接肌で感じたんですね。達成感や爽快感を味わった後にビール!そういう部分でサイクルツーリズムの企画もやっていきたいですね。

静岡県島田市伊久美地区で育った上質なかぶせ茶とビールのコラボ!

シマダペールエール

シマダペールエール

 

ビールを通じて、色彩豊かな夢が広がる小林代表渾身の「シマダペールエール」をご紹介。島田市伊久美地区で栽培された無農薬有機の上質な茶葉をまるごと使用。ひと手間かけて作られるかぶせ茶とエール系の組み合わせは、上品な香りと爽やかなお茶の旨みが楽しめますよ。

193 VALLEY BREWING

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