秋だ!ひやおろしだ!コンプリートしたい銘柄20選 ~後編~
酒造・メーカー紹介
前編では、ひやおろしの概要や10種のおすすめ銘柄について解説しました。後編では引き続き、残りのおすすめ銘柄10種を紹介します。また最後には、月ごとに呼び方が異なるひやおろしの特長についても触れていくため、参考にしてください。
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ひやおろしのおすすめ銘柄、後編の10選!
後編では、以下10銘柄を解説していきます。同じひやおろしであっても、それぞれ異なる特長を持ちます。ひやおろしを探している方は、本章をチェックしてください。
手取川 ひやおろし 無濾過生原酒|吉田酒造
こちらの山廃純米は、秋にもっともふくよかな味わいが楽しめるよう、濾過せずに生詰めされたお酒です。
穏やかな甘みと酸味が調和し、濃厚な旨みが感じられる、心地よいコクがあります。もちろんキレも抜群です。さらにわずかながら、華やかな香りも感じられます。
山廃純米らしい芳醇で深い味わいの辛口に仕上がっています。15度前後に冷やすか、ぬる燗にすると、芳醇な香りが一層引き立つでしょう。
小左衛門 ひやおろし|中島醸造
上立香は、ライチの芳香を感じつつも、まるで和梨をかじったかのような新鮮な風味と軽快さが広がります。
角の取れた滑らかな口当たりから、じわっとした旨味が喉を潤すように広がっていくでしょう。冷やして楽しむのも良し、温かい燗で楽しむのも良しです。
神渡 ひやおろし|豊島屋
こちらは厳しい寒さが訪れる季節に、蔵人が心を込めて造った純米酒です。その酒は蔵の中で夏を通じて熟成が進み、深みを増しています。
季節限定の純米原酒であり、新鮮な荒々しさはなく、穏やかな香りと深い旨味、滑らかな口当たりが特徴です。透明感のあるキレもお楽しみいただけるでしょう。
AKABU 純米ひやおろし|赤武酒造
こちらのお酒のテーマは「秋の食事と共に楽しむ癒しの日本酒」です。旬の食材が盛りだくさんの季節に合わせて、食事を引き立てる日本酒に仕上がっています。
微妙な香りを備えており、心地よい酸味を感じられるでしょう。鋭いキレのある口当たりです。ぬる燗でも楽しめるよう、旨みが保たれる仕様となっています。疲れた心身を優しく癒す、心地よい余韻を追求したお酒です。
川口納豆 ひやおろし|金の井酒造
川口納豆というのは、宮城県栗原市に位置する納豆専門のお店のことです。近頃全国的に注目を集めるお店「川口納豆」が、自社の畑で育てた美山錦という米と、宮城酵母を用いて醸したお酒です。
こちらのひやおろしは、夏を越えて熟成されたことで豊かな香りが加わり、芳醇な味わいが特徴となっています。
大関 門傳 ひやおろし|門傳醸造・萩野酒造
こちらのお酒は、販売元が門傳醸造、製造元は萩野酒造です。「ほでなす」という銘柄で人気の酒蔵から誕生したもう一つの銘柄「門傳」は、地元でもなかなか流通しにくいレア物。
写真は辛口のひやおろしバージョンとなっています。秋の美味しい食べ物と一緒に楽しみたいお酒です。
大倉 秋あがり|大倉本家
秋に向けてじっくりと熟成された結果、お米の良さが存分に引き出され、甘みと旨味が豊かに宿った日本酒に仕上がっています。質素でありながらも深みがあり、心地よい印象を与えてくれるお酒です。秋の味覚が集まる食卓にも、相性抜群でしょう。
冷やして楽しむのはもちろん、お好みによっては熱燗やぬる燗で楽しむのもおすすめ。さまざまな温度帯に変えて、異なる表情を楽しんでください。
庭のうぐいす ひやおろし|山口酒造場
夏を乗り越えて、新酒特有の荒々しさが和らいだのが、庭のうぐいすのひやおろしです。香りが洗練されており、非常に穏やかな口当たり。まろやかでありつつ、深みがあります。フレッシュな要素を残しつつ、わずかに熟した果実の香りと滑らかな味わいが広がります。
「フレッシュなまろやまさ」という対照的な味わいが、お酒の魅力をうまく表現しており、奥深さを感じられます。ボトルのラベルは、灼熱の夏から初秋の涼しさへと季節が移り変わる風景を、大分県九重の色合いをベースに描かれています。何度もリピートしたくなる酒を造るという、蔵のモットーを追求した結果、完成した逸品です。
南 ひやおろし|南酒造場
山形県内で広く知られている「出羽燦々(でわさんさん)」という米を使用した「南」のひやおろしです。こちらはほどよい香りと、まろやかな米の風味が感じられる特別純米酒です。
もちろん「南」ならではの切れ味はそのまま感じられます。辛口と旨口の特性が共存しており、一見矛盾しているように感じられる、2つの要素が同時に感じられるでしょう。「南」のブランドに出羽燦々の米、そして熟成という要素を組み合わせることで、実現されています。
日本酒の新しい風味のスタイルとも言われている「淡麗旨口」の魅力を余すことなく楽しめるお酒です。
白龍 ひやおろし|白龍酒造
夏季に低温で熟成された、豊かな風味を持つ白龍のひやおろし。香りが高く、爽やかな辛口のお酒となっています。新潟産の五百万石米を100%使用しており、元日に初しぼりしたものと同じ基準で醸造された純米吟醸酒です。
「秋の夜長」を連想させるラベルデザインにも注目してください。涼しい夜風を感じながら、しっとり味わいたいお酒です。
「秋の酒」は月ごとに呼び方が違う!?
秋に出荷されるお酒は、月ごとに呼び方が異なります。9〜11月に出荷されるひやおろしは、それぞれ下記のような名前で知られています。
- 9月出荷は「夏越し(なごし)酒」
- 10月出荷は「秋出し一番酒」
- 11月出荷は「晩秋旨酒」
9月に出荷されるお酒は、夏を越したばかりの「夏越し酒」と呼ばれます。熟成による滑らかさと軽快な味わいを併せ持っています。
10月には「秋出し一番酒」と呼ばれるお酒が出荷されます。ひやおろしも一層熟成し、まろやかさと豊かな風味を楽しめるでしょう。
11月に出荷される「晩秋旨酒」は、深い旨味を楽しめるひやおろし。完熟に達して、たっぷりと旨みを含んだお酒を堪能できます。
熟成期間が長い=コクが深まることを前提に、どのタイミングのひやおろしが自分の好みなのか探してみてください。