焼酎ってどんな酒? Vol.10 「初心者におすすめの黒糖焼酎&泡盛 10選」
焼酎の知識
奄美諸島で造られる黒糖焼酎と、沖縄特産の泡盛。その入門銘柄を合わせて10点ご紹介します!
銘柄・商品名と酒造名、そのあとにデータとして、「アルコール度数/麹(麹菌の色)/常圧蒸留or減圧蒸留/熟成期間」を記載しました。
並び順は、ベーシックなものから下にいくにつれ個性的な銘柄を配置してあります。上から順に読むもよし、気になったものにジャンプしてみるもよし。カタログ感覚で、気軽に眺めてみてくださいね。
泡盛は、熟成が3年未満の銘柄と、3年以上の古酒を分けて紹介しています。
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おすすめの黒糖焼酎 4選
サトウキビを原料にしていながら、意外と甘みはしつこくないのが特徴。米麹を加えることにより、コクと旨みがぐっと際立った味わいです。
喜界島 25°(喜界島酒造/鹿児島県大島郡)
【度数:25%/米麹(白)/常圧蒸留/熟成:1年以上】
常圧蒸留と最低一年以上の熟成が身上。旨みがしっかりしつつもやさしい口当たりと、ほんのりと広がる甘みが印象的です。
複雑味を残しながら丸みのある、絶妙なバランスが初心者のみならず、焼酎ファンの愛飲酒としても親しまれています。
愛称は「くろちゅう」。瓶だけでなくお手軽な紙パックや、持ち歩きしやすい200mlペットボトルもありますよ。
れんと(奄美大島開運酒造/鹿児島県大島郡)
【度数:25%/米麹(白)/減圧蒸留/熟成:約3ヵ月】
名前の由来は音楽用語で“ゆるやかに、ゆっくりと”を意味する「Lento」から。貯蔵タンクを音響振動させることで熟成を促す「音響熟成」が特色です。
モーツァルトやベートーヴェンなどのクラシック音楽に育まれた焼酎は、繊細な喉ごしと香り高さを両立。ロックで香りをストレートに楽しむもよし、水割りやソーダ割りなら心地よい軽みを帯びた味わいに。
まんこい(弥生焼酎醸造所/鹿児島県奄美市)
【度数:30%/米麹(白)/常圧蒸留/熟成:3年】
樫樽での長期熟成により、スモーキーなフレーバーをプラス。バニラ香も相まってさながらバーボンのような風味を、黒糖焼酎特有の旨みとコクが下支えします。
「まんこい」とは奄美の方言で手招きのことで、迎え入れる、千客万来などの意味。ロックや水割りのほか、「レモンサワーにすると日本一おいしい」とも謳われているのでぜひお試しあれ。
昇龍 赤ラベル(原田酒造/鹿児島県大島郡)
【度数:30%/米麹(白)/常圧蒸留/熟成:5年以上】
長期熟成酒を代表銘柄に据える酒造は、黒糖焼酎では珍しい存在。さらにステンレスタンクでなくオーク樽で熟成を行なうことで、角の取れた香味と深いコク、エレガントな香りを実現しています。
ロックでシンプルに味わうほか、ソーダ割りにしてフィナンシェなどの焼き菓子と合わせるのもおすすめです。ハイグレード版の「三種の神氣」シリーズも要チェック。
おすすめの泡盛 3選
細長い形状のインディカ米を主原料に、黒麹による全麹仕込みで造られます。米焼酎とはまた違った香味を感じてもらえるはず。
瑞泉 御酒〔ずいせん うさき〕(瑞泉酒造/沖縄県那覇市)
【度数:30%/米麹(黒)/常圧蒸留/熟成:5ヵ月】
琉球王朝時代の「焼酎職」をルーツとする、首里城にほど近い伝統ある酒造。豊富なストックを活かした古酒にも定評があります。
セレクトしたのは、戦前から生き続けていた黒麹菌を用いた発酵を、奇跡的に成功させた一本。通風製麹法と低温発酵による、白梅香を思わせる芳しさと、クリアな飲み口が持ち味です。初心者にもぜひ試してほしい飲みやすさ。
玉の露 30°(玉那覇酒造/沖縄県石垣市)
【度数:30%/米麹(黒)/常圧蒸留/熟成:3~12ヵ月】
直釜式蒸留と全工程手作業による、昔ながらの手法を継承。石垣島を中心とする八重山諸島で、最古の酒造です。
米由来の甘みとまろやかさを感じる味わいなので、ドライで辛口な泡盛はちょっと苦手、という方もトライしてみて。ストレートやロックで飲むのはもちろん、甘さを活かしたカクテルベースとしても重宝します。
カリー春雨(宮里酒造所/沖縄県那覇市)
【度数:30%/米麹(黒)/常圧蒸留/熟成:2~3年】
「カリー」とはカレーのことではなく、沖縄弁で「めでたいこと」の意味で、乾杯の発声としても定番。
温度をはじめ、徹底したデータ管理のもと造られる酒は、カカオやナッツのような香りをまとっています。そうした複雑味と濃厚さがありながらも、アルコールを感じさせない柔らかな口当たり。古酒のラインナップも充実しています。
おすすめの泡盛 古酒〔クース〕 3選
3年以上熟成させた泡盛は「古酒〔クース〕」と呼ばれます。寝かせることによる深い旨みとまろやかさ、独自の甘やかな香味を堪能してみて。
久米仙 古酒ゴールド 30度(久米仙酒造/沖縄県那覇市)
【度数:30%/米麹(黒)/常圧蒸留/熟成:3年】
泡盛の代表的な酒造のひとつ。ビギナーにやさしい銘柄から玄人に愛される逸品まで、新酒・古酒問わず幅広くラインナップしています。
今回選んだのはクースの入門編。度数が高すぎず、アルコールなどの角立った香味を感じさせない、バランスに優れた一本です。価格もリーズナブルなので、気軽にトライしてみてください。
松藤 3年古酒 30度(松藤 旧:崎山酒造廠/沖縄県国頭郡)
【度数:30%/米麹(黒)/常圧蒸留/熟成:3年】
通常2日間の麹造りを、3日かけて行なうことで長期熟成にもたえる酒質に。豊かな旨みとコクがあり、喉元を過ぎたあとにも深い余韻に浸れます。
また濾過を最小限に留め、奥行きがありながらナチュラルな風味に仕上げているのも特長。ストレートかロックで、その魅力をじっくりと味わって。
珊瑚礁 10年古酒(山川酒造/沖縄県国頭郡)
【度数:43%/米麹(黒)/常圧蒸留/熟成:10年】
1946年の創業以来クースにこだわり続け、今では「古酒のやまかわ」と名を馳せる存在に。
15年未満の熟成酒は「珊瑚礁」、それ以上熟成したものは「かねやま」という、おもに2つのブランドを展開しています。最長では50年古酒も!
セレクトしたのは主力商品で、甘い熟成香がふくよかに立ち上がり、ボリューミーな味わいはスイーツとも好相性。
次回は「珍しい原料の焼酎」10選
初心者におすすめの焼酎銘柄を、数回にわたってご紹介してきました。主原料がメジャーな焼酎はここまでで、次回は「珍しい原料の焼酎」と題して、国税庁が定めた53種の原料を使ったものから選りすぐります。
おすすめ焼酎銘柄シリーズは次回でラスト!
焼酎ってどんな酒?
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