2023年の締めくくりに…年末年始・お正月に飲みたい日本酒6選!
酒造・メーカー紹介
もうすぐお正月です。お正月と言えば、おせちやお餅、そして美味しい日本酒が欠かせません。日本において、お祝いの席で日本酒を楽しむ習慣は、古くから存在します。
ではなぜこのような文化が根付いたのでしょうか。
この機会に、お正月と日本酒の歴史に迫ってみましょう。また後半では新年のお祝いに最適な日本酒を紹介します。おせち料理との相性も抜群なので、ぜひ参考にしてください。
コンテンツ
お正月と日本酒の関係性
古来より日本人は、お正月に日本酒を飲んでいました。初詣の際には参拝者に「御神酒(おみき)」として振る舞われるでしょう。さらに日本酒は正月だけでなく、祭りや結婚式などの祝いの機会とも、深いつながりがあります。
ここでは日本酒と祝い事の繋がりを深堀ります。
奈良時代から続く文化
日本酒が誕生したのは、およそ2000〜2500年前まで遡ります。弥生時代には、日本酒の原型となるお酒が、すでに存在していたとされています。
そして奈良時代には「造酒司(さけのつかさ)」という官庁が設立され、酒部(さかべ)と呼ばれる部署が設けられました。これにより豊作祈願などの神事で、お酒が奉納されるようになったそうです。このようにして、日本酒を神に捧げ、その後人々で分かち合うという習慣が生まれました(直会)。
直会(なおらい)は、神と人とが一体となる儀式であり、神事だけでなく、人々が集まる祭りや祝祭の中でも受け継がれてきました。祭りや結婚式、成人式、節句など、さまざまなお祝いの場で、日本酒は重要な役割を果たします。
お正月に飲まれる日本酒も、その一つと考えて良いでしょう。
無病息災を願って日本酒を飲む
新年が訪れ、人々が「あけましておめでとうございます」という言葉を交わすお正月。新しい年の始まりであり、家の先祖を祀り、その保護を願う日ともされています。日本では古くから、正月は「家の先祖・年神様を迎える日」と信じられています。
年神様とは、その家の人々を見守る先祖の霊です。古代の日本では、亡くなった先祖は山の神や田の神として存在し、新年になると年神として子孫のもとを訪れ、子孫繁栄と幸運をもたらすと信じられてきました。
年神様への供え物を「神饌(しんせん)」といいます。そして神饌には、ご飯やお菓子だけでなく、日本酒も用意されます。
お正月に飲みたい日本酒6選!
せっかくのお正月ならば、お祝いの席にぴったりな日本酒を用意したいところです。そこで本章では、お正月に飲みたい日本酒と称して、以下6つの銘柄を紹介します。
ゆく年くる年|朝日酒造(新潟県)
年初めに収穫された「五百万石」という酒米を100%使用して醸造されるのが「朝日山 ゆく年くる年」。新酒ならではの清らかな風味が感じられるお酒です。
五百万石の風味に存分に活かし、淡麗でありながらも新鮮さと力強さを感じられる味わいです。
福祝 ニコニコラベル|藤平酒造(千葉県)
厳選された酒米として山田錦や雄町、北海道の彗星などが使用された「福祝」。それぞれの品種の特徴を生かし、多様な種類の酒を提供しています。
醸造用の水源は、地元の久留里の井戸水。平成の名水100選にも選ばれており、中硬水の特性からミネラル感が強く感じられます。「福祝」という名にふさわしい、ふくよかな甘みとやさしい香りをもたらしています。
新たな年も「ニコニコ」で暮らせるようにといった願いにぴったりなラベルです。
開運 祝酒|土井酒造場(静岡県)
「開運 祝酒(いわいざけ)」は、開運シリーズの中でももっとも多く出荷されているお酒です。控えめな香りと、しっかりとした味わいが特徴。
余韻も心地よく、冷酒〜お燗まで、さまざまな温度帯で味わえるお酒です。
ダルマ正宗 干支ラベル|白木恒助商店(岐阜県)
こちらは達磨正宗(だるままさむね)の干支ラベルです。達磨正宗からは、毎年、このような干支ラベルの日本酒が登場しており、同じ干支の純米酒をブレンドして造られています。
画像は、2022年の干支である「寅(とら)」ラベル。寅年限定ブレンドは、昭和49年・昭和61年・平成10年・平成22年・平成29年の純米酒がブレンドされています。
2024年は「辰年」なので、龍の着ぐるみをまとった達磨が見られるでしょう。
久保田 萬寿|朝日酒造(新潟県)
親戚が集まるお正月には、少しリッチな日本酒を開けるのはいかがでしょうか。「久保田 萬寿」の特徴は、何といっても「深みのある味わいと香りの調和」です。麹造りの精度を向上させることで、「久保田 萬寿」ならではの豊かな味わいと柔らかな口当たりを生み出しています。
さらに、深い味わいと調和のとれた華やかな香りが、全体の風味をより引き立たせています。火入れの段階では、日本酒の温度を上げたのち、急冷し、貯蔵温度を従来よりも5℃低く保つことで、上品な華やかさを存分に感じられる仕上がりになっています。
華やかな香りと重厚な風味が調和し、複雑で奥深いテイストが感じられる純米大吟醸酒。麹から生まれる豊かな柔らかさの中で、旨味と甘味、そして酸味が絶妙なバランスで共存しています。
味わい深くも心地よい、そんな余韻が口の中に広がることでしょう。お正月にふさわしい、贅沢なひとときを演出します。
田酒 NEW YEAR ボトル|西田酒造(青森県)
「田酒 NEW YEARボトル」は、毎年多くの人に愛される特別な一本です。干支のデザインがボトルに直接印刷されているため「NEW YEARボトル」と名付けられています。写真は2020年、子年の際に筆者が味わったものです。
こちらのお酒は、精米歩合が50%の高品質な純米吟醸酒。お猪口を近づけると、フレッシュな青リンゴに、やや深みを与えるようなバナナの香りが届きます。口に含むと、わずかにとろけるような飲みごたえから、ほどよい甘みと、新酒特有の微かな酸味が感じられるでしょう。
余韻にはバナナやメロンのような香りが広がり、微細な苦みが全体の味わいを、爽やかに引き締めています。軽快で飲みやすくありながら、ほどよい甘さと余韻の苦みが絶妙に調和した1本です。少し温度が上がると、酸味がわずかに増す点も、変化を楽しむうえでは特筆すべきポイントでしょう。