ウイスキーってどんな酒? Vol.5「ウイスキーの製造工程」

お酒の基礎知識

Vol.5「ウイスキーの製造工程」

前回の予告通り、製造工程について解説します!

製造工程を知っておくと、後にご紹介する“スコッチ” “バーボン”など「五大ウイスキー」の特色や、銘柄ごとの違いが格段にわかりやすくなりますよ。

基礎知識のおさらいとして

ウイスキーの原料と、重要な工程である熟成については、下記記事をご覧いただくと理解しやすくなります。

 

ウイスキーってどんな酒? Vol.2「原材料と熟成について」

 

また、ウイスキーの大まかな分類法についての下記記事も、ざっと目を通していただけると用語がわかりやすくなるでしょう。

 

ウイスキーってどんな酒? Vol.4 「ウイスキーの種類~モルト、グレーンetc.~」

 

ここまでを前回までのおさらいとしつつ、今回は、モルトウイスキーの製造工程を中心に解説していきます。グレーンウイスキーは工程が一部異なりますが、基本ラインは同じと考えてもらってOKです。

1. 製麦(モルティング)

製麦(モルティング)

 

大麦を「麦芽」にする。つまり、発芽させる工程です。

実は穀物は、そのままでは酵母と混ぜ合わせてもアルコール発酵を起こさないんですね。穀物に含まれるデンプンを糖に分解しておく、つまりこのあとに出てくる「糖化」が必要になるのです。製麦(モルティング)は、その前準備に当たります。

主な工程は、四ステップです。

  1. 収穫
  2. 浸麦〔しんばく〕(=水に浸す)
  3. 攪拌〔かくはん〕(=空気を送り込みながら、発芽を促す)
  4. 乾燥(=適度な頃合いで発芽を止める)

「ピート」が味わいを左右する!

「ピート」が味わいを左右する!

 

各ステップについての詳細は省きますが、最後の「乾燥」については少々しっかりめに見ておきましょう。

伝統的な乾燥手法では、網目になった床のうえに発芽した大麦を広げて、下から炭などの燃料を焚いて乾燥させます。言わば燻製のような要領で行なうので、ここでウイスキーの大きな特徴である「スモーキーな香り」が付くんですね。

で、このときに使われる燃料のひとつが、「ピート」なんです。「ラフロイグ」などのアイラウイスキーでお馴染みの、「ピーティな」と形容されるアレが、ここで登場するんですね。“正露丸のような香り”と言えば、よりわかりやすいでしょうか――。

 

スコットランドの露天ピート採掘場

 

ピートとは、「枯れた植物が堆積〔たいせき〕(=積み重なる)して長い年月をかけて炭化したもの」です。泥炭〔でいたん〕、つまり泥状をした石炭の一種なんですね。

自然界で生まれる燃料なので、ピートのなかに含まれている植物の種類や、炭化の度合いによっても香りが変化します。また、燃料中のピートの配合量(不使用の場合もある)、ピートを焚くタイミングなども重要なんですよ。

2. 糖化(マッシング)

糖化(マッシング)

 

モルト(麦芽)のなかのデンプンを、糖に変化させます。粉砕したモルトを温水と合わせて、お粥状の「マッシュ」に。これを適温の65℃程度に保ちながら軽く攪拌することで、糖化を進めていきます。

さらにそれをろ過したものが、「麦汁(ウォート)」と呼ばれます。この麦汁になってはじめて、アルコール発酵の準備が整うわけです。

3. 発酵

発酵

 

麦汁(ウォート)に酵母を投入し、発酵させます。麦汁のなかの糖を、微生物の一種である酵母が食べて、アルコールと炭酸ガスを生成するのが、アルコール発酵です。これはビールでも同様。

発酵を終えた液体は「ウォッシュ(もろみ)」と呼ばれ、この段階でのアルコール度数は約7~9%。

4. 蒸留

蒸留

 

ウォッシュのアルコール度数を上げていきます。ウォッシュは、言わば水にアルコールが溶け込んでいる状態。蒸留の仕組みについては、下記でしっかり解説しておりますので、まだ読んでいただいてない方はぜひ。

 

ウイスキーってどんな酒? Vol.1「ウイスキーは、“蒸留酒”である!」

5. 樽熟成

樽熟成については、冒頭でご紹介したvol.2『原材料と熟成について』の記事でもふれているので、ここではそのメカニズムをまとめます。

 

樽熟成

 

具体的な工程としては、アルコール度数が約65~70%の蒸留液(ニューポット)に、水を加えてアルコール63%程度に調整。そのあと樽に詰め、熟成庫に運ばれて長い時を過ごします。年数はもちろん、熟成に用いられるオーク樽の木の種類や「何に使われていたのか(ワインやビールを入れていた樽を転用することも)」など、多くの要因が仕上がりに影響を与えます。

また樽は木材でできているため、「樽が呼吸する」と表現されるように周囲の空気を取り込みます。熟成庫の周辺環境(たとえば海沿いなら、潮の香りが混じる)、同じ熟成庫であっても置く場所によってすら味わいが変わると言われているんですよ。

つまり、ひと樽ごとに、世界にひと樽だけのウイスキーになるということです。

6. ブレンド(ヴァッティング)

ブレンド(ヴァッティング)

 

複数の樽原酒を混ぜ合わせて、銘柄の味をまとめ上げます

ウイスキーは、複数の樽からブレンドして瓶詰めするのが一般的です。世界にひとつだけの味わいを、繊細に混ぜ合わせることで、銘柄の味としてブレないよう確立しているんですね。このように、複数の樽の原酒を混ぜる作業を「ヴァッティング」と言います。

このときにモルト原酒とグレーン原酒を混和するなら「ブレンディング」と呼ぶので、そのようにして生まれる銘柄は「ブレンデッドウイスキー」と分類されるのです。

ブレンド後、さらに寝かせる「マリッジ」

ブレンド後、さらに寝かせる「マリッジ」

 

また、ヴァッティングないしブレンディングしたあと、さらに別の樽に詰めて数ヶ月から1~2年ほど追加で熟成することを、「マリッジ(後熟)」と言います。

同じ樽で寝かせることで、両者ががっちりと融合してよりバランスの取れた仕上がりになるんですね。ここで、先述したビール樽など特徴的な樽を用いることで、さらに風味をプラスすることもあるんですよ。

7. 瓶詰め

瓶詰め

 

樽から中身を出し、フィルターにかけて余分な不純物を取り除きます。一般的には、ここで加水によってアルコール度数を40~43%くらいに調整して瓶詰めします。

次回からは「五大ウイスキー」編!

最後までお読みいただき、ありがとうございます。次回からはいよいよ、スコッチ、ジャパニーズなど、「五大ウイスキー」を何度かに分けてそれぞれご紹介していきます!
 

ウイスキーってどんな酒?

ウイスキーってどんな酒? Vol.5「ウイスキーの製造工程」

Tags

シェアする
前の記事

第7次ワインブームの要因は日本ワインだった! ~日本ワインの歴史~

創業120周年を迎えた、岩手県 南部美人さん「美酒の魅力を探る」

次の記事