ウイスキーってどんな酒? Vol.07 「スコッチウイスキー その② ~6大産地と蒸留所~」

ウイスキーの知識

ウイスキーってどんな酒? Vol.07 「スコッチウイスキー その② ~6大産地と蒸留所~」

スコッチウイスキーの後編。「6大産地」を、その代表的な蒸留所と合わせてご紹介します! ひと口にスコッチと言っても、産地ごとでまた違った特色があるので、ぜひ参考にしてみてくださいね。スコットランド国内には、厳しい法律をクリアした蒸留所が、約150ヶ所もあるんですよ。

なお、下記からはじまる各地域の解説は、[A. 産地の概要] [B. 産地のウイスキーの特色] [C.代表的な蒸留所] の順番で、小見出しを立ててまとめていきます。

 

1. スペイサイド〔Speyside〕

A. 国内一の生産量!

スコットランド北部のハイランド地方の北東部に流れる、全長約160㎞のスペイ川流域の地域。スペイ川のほとりだから、スペイサイド。わかりやすいですね。

実はここが、スコットランドのなかでも最大のウイスキー生産地。国内の約半数におよぶ蒸留所が、この地域に集結しているんですよ。大麦の一大生産地であることに加え、樽熟成に適した冷涼な気候、川の良水と、まさにウイスキー製造の理想郷なんです。かつては密造の中心地でした。

B. フローラルで華やかな味わい

蒸留所が多いことからその味わいは多彩ですが、花や蜂蜜を思わせる、エレガントでバランスの良い銘柄が多い傾向にあります。フルーティーで飲みやすくもあり、初心者にもおすすめしやすいと言えるでしょう。

C. 代表的な蒸留所

グレンフィディック
「シングルモルト」と冠した商品を業界で初めて発表した、シングルモルトウイスキーのパイオニア。洋ナシを思わせるフレッシュな香りと、花の蜜の甘みを併せ持ち、爽やかな飲み心地。初心者にもおすすめです。

グレンフィディック 12年

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マッカラン
シェリー樽での熟成にこだわり抜いた、リッチな味わいの銘柄が揃います。シェリー酒さながらの芳醇な香りや、ドライフルーツのような濃密なコクを持つ。木樽の余韻も感じられます。

マッカラン 12年

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2. アイラ〔Islay〕

A. ピートに愛された孤島

本州の西岸に連なるインナー・へブリディーズ諸島の南端にあたる島。約1/4が“ピート”に覆われた湿原。蒸留所は2022年時点で9つしかないにもかかわらず、「スコッチと言えばピーティなアイラ」を連想する人も少なくないでしょう。

B. スモーキーで薬品のような「ピート香」

製造されるウイスキーは、燻製のような芳しさや、正露丸を思わせる個性を持つ、「ピート香」が一番の特徴です。

C. 代表的な蒸留所

ラフロイグ
「アイラモルトの王」と評される。ピートのなかでも、“ヨード香”“メディシナル”などと呼ばれる、正露丸や薬品的な香りが特に印象に残ります。スモーキーさと甘みも併せ持っているので、ここからアイラウイスキーにハマる人も多いようです。

ラフロイグ10年

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ボウモア
こちらは「アイラモルトの女王」。ピートの個性はしっかりとありながら、フローラルで繊細なニュアンスや、コクも感じられます。ボディが重くなく、スムースで意外と飲みやすい印象も。

ボウモア 12年

3. ハイランド〔Highland〕

A. スコットランド最大の地域

スコットランド北部を占める、本国最大の地域。国内の蒸留所の約1/3がここにあります。面積が広大なため、東西南北に分けて特徴をまとめることも。キルトや楽器のバグパイプといった、世界的に有名なスコットランド伝統文化の発祥地でもあります。

B. やや落ち着いた風味か

東西南北それぞれに多彩な蒸留所が点在しているため、地域の特徴を表現するのは困難。ただ、北ハイランドに名の通った蒸留所が揃っており、特徴を強いて挙げるなら「比較的落ち着いた風味」と言えるでしょうか。

C. 代表的な蒸留所

グレンモーレンジィ
「スコットランドで最も飲まれている」と言われる、人気の高いシングルモルト。一度熟成させた原酒を、シェリーやマデイラなどのワイン樽に移し替えて追加熟成する、「ウッドフィニッシュ」と呼ばれる技法に定評があります。バランスのよい、洗練された味わい。

グレンモーレンジィ オリジナル

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オールドプルトニー
北部の北海に面した港町に蒸留所を構え、「海のモルト」と呼ばれることも。爽やかな潮の香りと、オイリーな味わいが特徴です。

オールドプルトニー12年

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4. アイランズ〔Islands〕

A. 広範囲にまたがる島々の総称

スコットランドの北岸から西岸にかけて点在する、アイラ島を除く島々の総称。具体的には、オークニー諸島やスカイ島など、6つの島に蒸留所があります。自然が多く人口が少ない島がほとんどで、それぞれ異なる文化や産業を育んでいます。

B. 島育ちの伝統が息づく

自然環境や風土が異なるため、ここも一概に特徴を言い表すことが難しい地域です。強いて言うなら、海辺の蒸留所が多く自然豊かなことから、島育ちの、土着的な印象を受けるウイスキーが多いと言えそうです。

C. 代表的な蒸留所

タリスカー
口の中で爆発するような黒コショウのピリピリとした風味は、他に類を見ません。ピートと潮風を感じる、力強い味わいに虜になるファンも。

タリスカー 10年

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ハイランドパーク
かつてはヴァイキングの拠点だった、大小70超の島々が集まるオークニー諸島を代表する蒸留所。味わいはリッチかつスイート。甘み、辛み、酸味の絶妙なハーモニーが体感できます。

ハイランドパーク 12年

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5. ローランド〔Lowland〕

A. グレーンウイスキーの発祥地

本州の南側を占める、ハイランドに次ぐ広大な地域。イングランドとの国境に接しており、古くから大資本が参入しやすかったこともあって、初期費用の高い連続式蒸留機がいち早く導入されました。そのため、「グレーンウイスキー発祥の地」としてよく知られています。モルトとグレーンを混ぜた、ブレンデッドウイスキーもこの地域の蒸留所が先駆けです。

B. 繊細かつライトなモルトウイスキー

ローランドモルトの特徴は、なんと言ってもその「ライトさ」。ボディが軽いぶん、麦芽のやさしい香りを感じることができます。2回がメジャーな単式蒸留を、あえて3回行うことで磨き抜かれた味わいに仕上げる伝統を持つ蒸留所もあるんですよ。

C. 代表的な蒸留所

オーヘントッシャン
ライトなボディで、麦芽やハーブを感じる可憐な印象。伝統の3回蒸留によって、雑味のないクリアな味わいに仕上げられています。

オーヘントッシャン 12年

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6. キャンベルタウン〔Campbeltown〕

A. かつてのウイスキーの都

ハイランド地方の南端に垂れた、アーガイル地方キンタイア半島の小さな港町。かつては「ウイスキーの都」と称賛され30を超える蒸留所があり、ニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝(『マッサン』でお馴染み)が研修で滞在した都市です。しかし現在残っている蒸留所は、わずか3つだけ

B. 「塩辛さ」が代名詞

麦芽の風味のなかに混じった、「ブリニー」と称される塩辛さが独特。潮風の影響をダイレクトに受けた、港町を感じさせてくれる味わいです。

C. 代表的な蒸留所

スプリングバンク
1828年の創業から、伝統を守り続ける。「モルトの香水」とも表現される、柑橘やメープルシロップのような芳香の後から、ピリッとした塩味の刺激が訪れます。

スプリングバンク 10年

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次回は「アメリカン」!

次回は、バーボンを擁する「アメリカンウイスキー」を紐解いていきます。お楽しみに!

 
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