焼酎ってどんな酒? Vol.02 「焼酎の製造工程 ~一次、二次仕込みが画期的!~」
焼酎の知識
vol.01の原料の解説に続いて、製造工程を大づかみにしていきます。今回は、内容を「本格焼酎」に絞ってお届けしますよ。
おもな工程は8ステップ。「麹〔こうじ〕を仕込み、酵母を合わせて酒母〔しゅぼ〕に。それを主原料と混ぜてアルコール発酵。蒸留をかけたあと、熟成し原酒を落ち着かせる」
重要なポイントだけ抜き出してみるとこんな流れ。ではいってみましょう!
1. 製麹〔せいきく〕
麹を仕込みます。原料は、米か麦のどちらか。この麹造りが、焼酎造りにおいて最も重要と言われています。
- ① 蒸し
- 少し精米(精麦)して表面のぬかを落としたものを、蒸していきます。
水に浸して炊くのではなく蒸すことで、酒を仕込むのに適した硬さや水分量に調整しているんです。
ここは日本酒も同じ。
- ② 製麹
- 蒸し米(または麦)に、麹菌をまぶして終わり、ではありません。
時間が経つと塊になってくるので、それを何度もほぐし、徹底した温度・湿度管理のもと、麹菌を均一に繁殖させていきます。
作業は丸二日ほどかけて行なわれます。
2. 一次仕込み
麹・酵母・水を合わせて発酵させ、酒母〔しゅぼ〕を仕込みます。つまり、“発酵の元”を造るということです。これによって、酵母のエサとなる糖の含有を主原料に頼らなくても、アルコール発酵を行なうことができるんですね。
主原料とは、芋や黒糖のように「~~焼酎」と名前に付く原料のことですよ。
3. 二次仕込み
[2. 一次仕込み] で仕込んだ、酒母と主原料を合わせて発酵させます。約一~二週間じっくりと時間をかけることで、アルコールだけでなく、主原料の風味・旨みなどの魅力が存分に引き出されるんですよ。
主原料は、あらかじめ蒸し・粉砕などの処理をしておきます。
4. 蒸留
蒸留によって、アルコール度数を高めます。
焼酎乙類(≒本格焼酎)の場合は、もっぱら単式蒸留が行なわれます。そうすることで、アルコール以外の副産物を、たくさん取り込みながら蒸留することができるんです。
つまり、味わいや風味が個性豊かになるんですね。
蒸留方法にはもう一つ、大量生産に向いた連続式蒸留があり、焼酎甲類はこの方法が採られます。一度に多量のアルコールを抽出することができますが、味わいはフラットになりがち。
5. 濾過〔ろか〕
不純物を取り除きます。蒸留直後の原酒には、高級アルコール類のひとつである「フーゼル油」をはじめ、雑味や臭いのもとになる成分が含まれています。
これらを取り除くことで、クリアで飲みやすい味わいに仕上げているんですね。あえて濾過を行なわず複雑味を残した「無濾過」や、軽く濾過をかける「荒濾過」の焼酎も存在します。
6. 貯蔵・熟成
原酒を熟成させることで、酒質をまろやかに落ち着かせます。期間は3ヵ月から3年、もしくはそれ以上。
3~6ヵ月を「初期熟成」、3年未満を「中期熟成」、3年以上を「長期熟成」と呼び、ラベルに記載されていることもあるんですよ。
“何に入れて貯蔵するのか”も重要
貯蔵する容器によっても味わいが変化します。
最も主流なステンレスタンクは、熟成によるクセの少ない仕上がりに。素焼きの甕〔かめ〕は、熟成を促進するとともに、甕の成分が溶け出して焼酎をまろやかにしてくれるんです。
木樽を用いる場合には、スモーキーさやウッディな香りなど、焼酎に樽の個性がプラスされます。
7. 調合・割り水
ウイスキーと同じく、焼酎もいくつものタンクの原酒をブレンドするのが一般的。
タンクによって熟成の進み具合などが微妙に異なるので、ブレンドをすることで銘柄の味わいを一定に保っているんです。
割り水によって、アルコール度数を調整するのも、やはりウイスキーと同様。
8. 瓶詰め
一升瓶や四合瓶、ワンカップなど、さまざまな瓶に詰めて出荷されます。
次回は、「本格焼酎って何?」
一次仕込みで発酵の元になる酒母を造ることで、主原料自身にはデンプン質や糖が少なくても発酵させることができます。
さらに、一回蒸留によって主原料の個性をしっかりと引き出す(ウイスキーは2~3回蒸留することも)。この点がやはり、焼酎の独特な点だと筆者は感じます。
さて次回は、ここまで何度か登場した「本格焼酎」とは何なのかをついに明かし、焼酎の分類をご説明しましょう。
ただカッコイイから、本格を付けていたわけじゃないんですよ。
焼酎ってどんな酒?
|