ビールってどんな酒? vol.02 「製造工程をざっくり解説」

ビールの知識

ビールってどんな酒? vol.02 「製造工程をざっくり解説」

ビールの基礎知識を解説していく本連載、第二回は、製造工程をざっくり解説します!

そんなマニアックなことまで知りたくない。と思われる人もいるかもしれません。でも、ここを読んでいただければ、次に紹介する「ビールの種類」をより深く理解してもらえるはずです。

どんなふうに出来上がるのかを知れば、次に飲むビールがいっそう美味しく感じられるかもしれませんよ?

前回の第一回目の記事で、ビールの原材料をはじめ、苦み、泡はどこからくるのかなど、このお酒の特色を大づかみにできる内容を上げております。

ぜひそちらも併せて読んでみてください。

ビールってどんな酒? vol.01 「麦芽とホップと水と。」

 

①製麦(モルティング)

製麦(モルティング)

 

厳選した麦を、まずは発芽させます。あとに登場する酵母は、発芽した麦の糖が大好きなんです。

A.浸麦〔しんばく〕、発芽

麦の粒を約二倍になるまで水に浸し、室温15℃前後に保った発芽室で発芽を促します。期間は、4~6日ほど。

B.焙燥〔ばいそう〕

焙燥〔ばいそう〕

 

麦芽(モルト)に熱風を当てて乾燥させます。麦がこれ以上発芽するのを止めると同時に、保存性も高める工程です。

このときの温度によって、チョコレート麦芽や黒麦芽というように、同銘柄の大麦からでも多彩な麦芽を作ることができます。ビールの種類にかかわる、重要な工程。

C.除根・粉砕

不要な芽や根を取り除きます。この部分に、雑味やえぐみのもととなるタンパク質や脂肪が多く含まれているんですよ。除根を行なった後で、麦芽を粗挽き程度に粉砕します。

②仕込み

さあ、ビールを仕込んでいきましょう!

A.糖化(マッシング)

糖化(マッシング)

 

粉砕した麦芽を温水と混ぜます。60℃~80℃くらいの温度で1~2時間かけて行なわれ、この工程を経てやっと、酵母が働いてくれる糖化液(マイシェ)というつまり原液のようなものが完成します。

B.ろ過・煮沸

ろ過・煮沸

 

糖化液(マイシェ)をろ過して固形物を取り除いたあと、いよいよビールの主原料のひとつ「ホップ」を加えて煮沸〔しゃふつ〕(沸騰させること)します。

1~3時間ほど熱を入れることで、麦汁の殺菌などを行なうほか、香りや苦みといったホップの成分が引き出されるんですよ。

③冷却・発酵

冷却・発酵

 

ホップなどに由来する固形物を取り除き、酵母がよく働く温度まで冷却。発酵タンクに移し、酵母を加えて約1週間かけて発酵させます。酵母が麦汁に含まれる糖を食べて、アルコールと炭酸ガスを吐き出すのです。

この時点の糖の濃度が高いほど、酵母の働きが活発になるのでアルコール度数が高くなります。こうして度数を調整しているんですね。

発酵には主に二種類の方式がある!

発酵には主に二種類の方式がある!

 

酵母にもさまざまな種類があるのですが、その性質の違いによって、発酵は二種類の方式に区別されています。発酵が進むと、麦汁の上部に浮き上がってくる酵母を用いるのが、「上面発酵式」。逆に、タンクの底に沈殿していく酵母を用いるのを「下面発酵式」と呼んでいます。

上面発酵ビールはエール、下面発酵ビールはラガーといったように、ビールの種類(スタイル)に大きく影響してくる要因のひとつなので、ぜひ頭の片隅にメモしておいてください。

④熟成(貯酒)

発酵を終えたビールは「若ビール」と呼ばれます。これを貯酒タンクに移し、0℃くらいの低温で数十日かけてゆっくり熟成。こうして、調和のとれた味と香りが生まれます。

⑤ろ過・容器詰め

ろ過・容器詰め

 

ここまでで、だいたい2~3ヵ月ほどかかります。最後にもう一度ろ過され(最近は無ろ過ビールもある)、ビンや缶、樽に充填されます。

次回はビアスタイルを解説!

次回はビアスタイルを解説!

 

今回も、お読みいただきありがとうございます。専門用語や化学成分の話を入れだすとどんどん複雑になるので、できるだけ使わないようにしながら、とにかく最後までたどり着きました。「ビールができるまで」のイメージをざっくりつかんでいただけましたでしょうか?

では次回からはいよいよお待ちかね、「ビールの種類(スタイル)」についてです!黄色いだけがビールじゃない、日本の「とりあえず生」は、だいたいラガーですから!

ぜひご期待ください。
 

ビールってどんな酒?

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