長龍酒造 ~瓶詰め樽酒は日本初。熟成・生酒を両輪に~

酒造・メーカー紹介

長龍酒造 ~瓶詰め樽酒は日本初。熟成・生酒を両輪に~

今回は「長龍酒造」に訪問。酒造の展望と、「昇道無窮極」を掲げる日本酒造りについてお伺いしました!

 

会社設立~クラフトビール立ち上げまで

1963年に株式会社としてそのキャリアをスタートさせた長龍酒造。元々は、全国の提携酒蔵からの日本酒を、自社でブレンドして販売するところから始まりました。

ひとつ目の転機は早くも翌年に訪れます。日本で初めて、瓶詰めの樽酒を誕生させたのです。

 

日本で初めて、瓶詰めの樽酒を誕生させた「長龍酒造」

 

1979年に自社醸造を開始。2014年には、それまで南部杜氏に酒造りを委ねていた「杜氏制」を廃止して、自社の社員のみによる酒造りに移行を果たします。

その過程で、何かこれまでとは違ったものを、という想いで生まれたのが、限定醸造品の「四季咲」でした。

ビール原料の開発が目的だった

2008年に本社を奈良県広陵蔵に移設。そして2021年には、クラフトビール事業を立ち上げました。

 

2021年に、クラフトビール事業を立ち上げ

 

「飯田商事」という酒造原料を扱うグループ会社から、モルトやホップなどのビール原料も扱いたいという要望が出たのが発端。

量ではなく質、何ならオリジナル原料をセールスポイントにしてみてはどうか、という案が膨らみ、それなら自分たちで醸造してみよう! というのが、ビール事業立ち上げの経緯だそうです。

クラフトビールについては、長龍ブリューパークの紹介記事でヘッドブルワーにたっぷりとお話しを伺っておりますので、ぜひご覧ください!

長龍ブリューパーク ~CHORYO Craft Beerの魅力とは?~

樽酒をはじめ“米が活きた”銘柄の数々

では、ここからは長龍酒造の日本酒の魅力を紐解いていきます!

主眼を置いているのは、「米の特徴を活かす」こと。最も一般的な酒米である山田錦よりも、「雄町」と「露葉風」をメインに、キレがありながらも、米の旨みが感じられる酒造りをモットーにしています。

 

露葉風 純米吟醸 うすにごり 無濾過原酒

長龍ブリューパーク限定の「露葉風 純米吟醸 うすにごり 無濾過原酒」(720ml・写真右)

農産物や微生物と会話するように

農産物や微生物と会話するように

 

米は農産物なので、毎年違う。全く同じものというのは二度とないんですね。だからこそ、生産者の方々から今年の出来を聞いて、実際に見て、というのを毎年、ひたすら積み上げていくことでしか良い酒は造れないと思っています。

また、麹や酵母も生き物です。直接話しができるわけではないので、これらをどう表現してあげるのがよいのか、ということにも、常に気を配っています」

と、統括部長の吉田誠さんはお話しくださいました。

杉が爽やかに香る看板銘柄

吉野杉の樽酒

吉野杉の樽酒(720ml)

吉野杉の樽酒

 

出荷する日本酒は、「吉野杉の樽酒」系が全体の3割。少し甘めの酒に清澄な杉の香りが広がり、杉樽に由来する「コク」と「旨み」が、料理の旨みを引き出してくれる食中酒です。

吉野杉の樽は、鉄臭さの元となる釘や鋲を一切使わず、竹で締めて仕上げる伝統的な手法で作られています。そんな手間ひまかけて作られる樽を、熟成に使う回数は多くても三回、山廃仕込みの酒の場合には一度きりしか使わないなど、品質管理も徹底しているんですよ。

 

 杉が爽やかに香る看板銘柄

 

2006年頃からは、前述の酒米をフィーチャーしたシリーズにも注力し始めました。

雄町を使い低温瓶内熟成によって醸造年度ごとの“ヴィンテージ”を楽しむ「ふた穂」。地元・奈良産の露葉風を用いた「稲の国の稲の酒」。

そのほか、季節や時候を反映して年7回も限定品が登場する「四季咲」シリーズをはじめ、今後は小ロットで限定品も積極的に仕込んでいく構えなのだそうです。

“生⇔熟”という対極を両輪に

“生⇔熟”という対極を両輪に

 

さらに、フレッシュさを前面に押し出した「生酒」にも本格的に取り組む姿勢です。

先ほどの「ふた穂」だけでなく、熟成古酒の商品はこれまでにいくつも発表してきましたが、生酒にはそこまで着手していなかったのだそう。

 

日本酒刷新の輪を国内だけでなく海外にも

 

「“生⇔熟”という対極を両輪に据えて回していくことで、見えてくるものがあるんじゃないかと感じています。

異端になるのではなく、既存のものから広げていって、新しいものにたどり着くというイメージです。

生産者や地域の方々とコミュニケーションを取りながら、ここ奈良から、日本酒刷新の輪を国内だけでなく海外にも、徐々に広げていきたいですね」

 

長龍ブリューパーク

 

地元に根差して一歩一歩という精神が、長龍酒造には息づいています。

“香り”から酒の特徴をつかんで

最後に、日本酒初心者に向けてのアドバイスを吉田さんにいただきました。

 

日本酒初心者に向けてのアドバイス

 

「いきなり飲むんじゃなくて、まず香りを嗅いでみてください。好きな香りのものを見つけることが第一歩。

それで、飲んだときの味わいと、香りのイメージのギャップを感じることがあると思います。香りから入って、米の甘みをとらえていくというアプローチを、ぜひご提案したいですね。

そうして、好きな銘柄や、酒の種類を少しずつ覚えていくのがいいでしょう」

 

おすすめではなく『定番』を聞いてみる

 

「また、蔵やイベントで試飲をする機会がある場合には、おすすめではなく『定番』を聞いてみる、というのもけっこうだいじなポイントです。

おすすめを尋ねると、“今売りたいもの”を提案されてしまうことも多いので。やはり定番にこそ、酒蔵ごとの個性・エッセンスが凝縮されているんです」

 

「長龍 広陵蔵」で日本酒を買うことができる

 

「吉野杉の樽酒」は、日本酒の香りを楽しむのにまさにうってつけではないでしょうか。平日はブリューパークのすぐ隣、「長龍 広陵蔵」で日本酒を買うことができますよ。

酒造情報

 

長龍酒造 広陵蔵

 

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