日本ワインはどんなブドウから造られている? ~ワインの味の違いのもと、ブドウの話①~
ワインの知識
ワインの味の違いは何でしょう?ワインの味は基本的にワインを造っているブドウによって大きく変わります。
もちろん、製造方法によっても味は変わります。製造方法については、こちらもご覧ください。
まずは、自分の好きなブドウ品種が分かれば、ワインが選べるようになります。
今回は、日本ワインの原料になっているブドウをご紹介していきます。
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そもそもブドウとは?
皆さんはブドウといえば、何をご存じでしょう。巨峰、シャインマスカットなど。食べて美味しいですね。
では、「シャルドネ」「ピノ・ノワール」。これは食べたことはないですかね。これはワイン用のブドウです。これらはどう違うのでしょうか?
ブドウは植物学的に言うと、「ブドウ科・ブドウ属、冬季落葉性」。つまり、冬には葉が落ちる、つる性の植物です。
ブドウ属には多くの種が含まれて、原産の地域によって性質が異なります。ですから多くのブドウは地域ごとに分類されています。
欧・中東系品種(ヴィティス・ヴィニフェラ Vitis Vinifera)
中近東原産のブドウで、おもにワイン専用種です。
「ヴィティス・ヴィニフェラ」という言葉は「ワインを造るブドウ」という意味があります。
ワイン用ブドウです。先ほどあげた、「シャルドネ」や「ピノ・ノワール」。他にも「メルロー」や「ソービニヨン・ブラン」など主なブドウ品種はこれに含まれます。
ワイン用ブドウは分かっているだけでも1000種ほどあります。その中でワインになっているのは100種ほど。100種でも世界中で造られているわけですから、ワインのすべてを飲むのは難しそうですね。
ただし、この種類は乾燥した地域に適し、雨が多い気候には弱いです。
そしてブドウの三大病虫害の一つ、フィロキセラに耐性がありません。ちなみフィロキセラとは、ブドウの木の根を食い荒らす虫です。
近年日本でも、欧・中東系品種は醸造量が増加していますが、日本の気候では、病気に弱いのが難点です。
アメリカ系品種(ヴィティス・ラブラスカ Vitis Labrusca)
北米大陸を原産とし、生食用として造られることが多いです。湿った気候にも強く、耐病性にも強いです。
フィロキセラにも耐性をもっています。ですから、ヨーロッパでも台木はアメリカ系品種で、それに欧・中東系品種を接ぎ木して栽培しています。
生食用だけでなく、ワインもたくさん造られていて、「ナイアガラ」や「デラウェア」、「キャンベルアーリー」などがあります。
東洋系品種
日本固有の土着品種や中国原産の品種です。
「甲州」が代表的ですが、甲州は欧・中東系品種であるヴィティス・ヴィニフェラの遺伝子を引き継いでいることも分かっています。
特に山梨県では、ワインを創り出した明治期、欧・中東系品種が病気に弱く、栽培に苦労しました。そのため、以前から食用として造られていた甲州でワイン造りが進められてきたのです。
その甲州が欧・中東品種の遺伝子も引き継いでいた!美味しいワインが造りやすかったのは、そのせいかもしれませんね。
日本野性ブドウ
日本に自生している野性のブドウです。「山ぶどう」という総称で呼ばれています。あくまで総称なので、かなりの種類があると予想されています。
日本特有の交雑/交配種
日本の気候に合わせた品種を探し求め、開発されました。
明治時代にワイン造りが始まった頃、ブドウの苗木は欧米からもたらされました。しかし日本の気候に合わず、フィロキセラやその他の病害は、特に欧・中東系品種に多かったのです。
そこで日本の気候に合ったものを探し求め、以前から造られていた甲州や交雑/交配による開発がすすめられたのです。
「マスカットベリーA」がその代表格です。大半が川上善兵衛という人が開発しました。
ちなみに、交雑と交配の違いを説明しておきます。
- 交雑
- 別の品種を掛け合わせること
(例)欧・中東系品種×アメリカ系品種
- 交配
- 同一品種を掛け合わせる
(例)欧・中東系品種×欧・中東系品種
まとめ
代表的なブドウを品種別にまとめてみました。
欧・中東系品種 | アメリカ系品種 | 東洋系品種 | 日本野性ブドウ | 日本特有の交雑/交配種 | |
黒ブドウ | メルロー、ピノ・ノワール | コンコード | – | 山幸、小公子、ヤマブドウ | マスカット・ベーリーA |
白ブドウ | シャルドネ、ケルナー | デラウェア、ナイアガラ | 甲州、善光寺 | – | サンセミヨン |
次回からそれぞれのブドウの特徴を説明していきますね。