秋だ!ひやおろしだ!コンプリートしたい銘柄20選 ~前編~
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これから訪れる秋に、日本酒ファンが熱望しているのは「ひやおろし」ですよね。ひやおろしは、春に仕込まれた日本酒を夏の間じっくりと熟成させ、秋になってから出荷される日本酒のことです。熟成による深みある風味と、円熟のあるまろやかな味わいが魅力。
本記事では「ひやおろし」がどのようなお酒なのか、また「秋あがり」との相違点を解説したうえで、前後編に分けて合計20種のおすすめ銘柄を紹介します。
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そもそも「ひやおろし」って?
通常の日本酒とは異なる特徴を持つのが「ひやおろし」です。初めに「ひやおろし」の性質を理解するため、製造方法や風味の特徴、起源などについて紹介します。
「ひやおろし」とは?
「ひやおろし」とは、春に搾られたお酒を一度だけ加熱処理し、その後夏の間に熟成させてから出荷するお酒のことを指します。通常、日本酒は貯蔵前と出荷前の2回、火入れと呼ばれる加熱処理をおこないます。
一方で「生酒」や「生貯蔵酒」など、名前に「生」が含まれるお酒も存在します。これらのお酒はみずみずしさやフレッシュさが特徴です。
ひやおろしは、春に一度火入れを行い、その後の貯蔵期間中には再び火入れをおこなわずに出荷される「生詰め酒」の一種。2回目の加熱処理をおこなわないことで、お酒本来の風味を存分に楽しめます。
「秋あがり」との違い
「秋あがり」という名前を耳にしたことがある方も多いでしょう。基本的には「ひやおろし」と同じ意味で使用されており、その違いがややわかりにくいと感じている方もいらっしゃるでしょう。
秋あがりという言葉は、特定のお酒の種類を指すのではなく、お酒の状態を表す表現です。春に造られたお酒が夏を通じて秋に向かう過程で、味わいが向上する状態を指して「秋あがり」と呼ばれます。
一方、熟成がうまく進まず、美味しい状態にならなかった場合には「秋落ち」と表現されるようです。
ひやおろしのおすすめ銘柄、前編の10選!
前編では、以下10銘柄のひやおろしを紹介します。秋のお酒を選ぶ際には、ぜひ参考にしてください。
仙禽 ひやおろし|株式会社せんきん
仙禽のひやおろしは、山田錦と亀の尾、雄町という3つの酒米を組み合わせたお酒です。このアッサンブラージュによって、深みと奥行きのある味わいを引き出しています。
芳醇な旨味が際立っており、その熟成は10月頃がピーク。もっとも美味しくなるタイミングで味わってみてください。
にいだしぜんしゅ 秋あがり|仁井田本家
「にいだしぜんしゅ」を醸す仁井田本家は、日本で初めて自然酒を発売したパイオニア的な存在として知られています。無農薬の米を使用する、自然志向の酒蔵です。2014年以降は、より手間をかけた「生酛造り」と呼ばれる製法を採用しています。
穀物の風味が程よく溶け込んだ甘口であり、自然界の豊かな収穫の風景が思い浮かぶような味わいです。甘さが滑らかに広がり、生酛特有のしっかりとした酸味が感じられます。
阿部勘 秋あがり|阿部勘酒造
阿部勘酒造は地元・宮城県産の米を使い、手間を惜しまず丹精込めた酒づくりをおこなう酒蔵です。米の豊かな旨みを保ちつつ、飲んだ後の余韻はスッキリ。飲みやすさ重要な仕上がりです。
低温で時間をかけてじっくりと熟成させることで、円熟味豊かな風味が特長。辛さと旨味が絶妙なバランスで調和し、心地よい口当たりが魅力です。
一ノ蔵 ひやおろし|一ノ蔵
これまでの一ノ蔵(ひやおろし)は、通常の酒「特別純米 辛口」の貯蔵タンクから、秋になると、もっとも熟成が進んだものを「ひやおろし」として出荷してきました。
しかし現在は、ひやおろしの品質をさらに向上させるため、最初からひやおろし向けに酒を醸造しています。
秋の食材との相性を考慮し、熟成の程度などさまざまな要素が計算されたお酒です。
喜平 ひやおろし|平喜酒造
新進の酒蔵「平喜酒造」は、小規模ながらも徹底した品質管理と丹精込めた酒造りをおこなう酒蔵です。
伝統的な杜氏の技術に加えて、最新の技術である空調設備やタンクなどを駆使している点も、特筆すべきポイントです。
熟成によって荒々しさが和らぎ、潤い豊かな甘みが表れています。落ち着いた風味を楽しめるでしょう。
月の輪 秋あがり|月の輪酒造
月の輪酒造の周辺には、大萱生(おおがゆ)金山の坑道跡が広がっています。この坑道はかつての面影を色濃く残しつつも、今もそのまま残っており、年間を通じて平均気温が約13℃と一定しています。
お酒を貯蔵するのに適した環境と言えるでしょう。写真の秋あがりは、全体を引き締める酸味が特長です。
甲子 秋あがり|飯沼本家
甲子の秋あがりは、豊かな熟成された甘さが感じられる「とろり」とした味わいが広がります。新鮮さや華やかな香りが、見事に調和された逸品です。時間の経過とともに、まろやかさが増す様を楽しんでください。
残草蓬莱 ひやおろし|大矢孝酒造
長野県産の美山錦を100%使用し、一度火入れされたひやおろしです。軽やかな旨みとみずみずしい酸味が調和した、魅力的な甘酸っぱさが楽しめます。
さわやかな苦みが心地よく、キレのある引き締まった味わいが広がります。ビタースウィートな余韻を堪能してください。
四季桜 ひやおろし|宇都宮酒造
春に搾られたお酒は秋になると、よりまろやかな味と豊かな香りを持つお酒へと変化します。「四季桜 秋」はこれからの秋のひとときに、美しい風景を眺めながら味わいたいお酒です。
冷はもちろんこと、少し温めた状態(ぬる燗)で味わうのもおすすめです。
七賢 ひやおろし|山梨銘醸
七賢のひやおろしは、白州の銘水の源、南アルプス甲斐駒ヶ岳の地下水を使用して造られた数量限定の純酒です。春に仕込まれた純米酒を低温でじっくりと熟成させることで、フレッシュさを保ちつつも、温和な口当たりが楽しめます。
フルーティーな香りとひやおろし特有の穏やかなお米の風味が調和しています。余韻の爽やかさは、涼しい秋の夜風を思わせます。
冷はもちろん、常温やぬる燗にも適しており、自分好みの温度帯で堪能できるでしょう。