焼酎ってどんな酒? Vol.03 「本格焼酎って何?~焼酎甲類と乙類~」
焼酎の知識
焼酎には、「焼酎甲類」と「焼酎乙類」の二種類があります。そして、焼酎乙類のうち、さらに設けられた基準をクリアしたものだけが、「本格焼酎」を名乗れるんですね。
というわけで、まずは甲類と乙類のご説明からはじめましょう。
特徴が大きく異なる甲類・乙類
焼酎は、酒母〔しゅぼ〕と主原料を合わせてアルコール発酵させてから、「蒸留」によってアルコール度数を高めているのでした。
前回の、製造工程の記事をご覧になっていないという方は、読むとここからの話が入ってきやすくなると思います。
蒸留方法の違いで甲類・乙類を分類
焼酎甲類・乙類の違いは、ずばり「蒸留方法の違い」が一大要因です。アルコール度数の差異や、別名などと合わせて下記にそれぞれまとめました。
焼酎甲類(連続式蒸留焼酎)
大量生産に向いた、連続式蒸留を採用。比較的新しい製法なので、「新式焼酎」と呼ばれることもあります。蒸留機のなかで繰り返し蒸留が行なわれるので、手間ひまをかけずに高アルコールの原酒ができるんですね。
その反面、原料の風味が飛んでしまうので個性は出にくいという側面も。クリアでクセのない味わいなので、チューハイなどとして割って飲んだり、カクテルのベースとして用いられることが多いんです。
主原料は糖蜜(さとうきびの搾りかす)や、とうもろこしが一般的。アルコール度数は、36%未満に調整して出荷されます。
焼酎乙類(単式蒸留焼酎)
一度に蒸留できる量の少ない、単式蒸留を採用。昔ながらの製法で、「旧式焼酎」と言われてきた背景があります。“ポットスチル”とも呼ばれる壺のような蒸留器で、一回だけ蒸留をかけるのが一般的。
それによりアルコール分だけでなく、その他の多くの成分を一緒に抽出することが可能。原料や仕込みによる個性を、いかんなく発揮することができるんですね。
大量生産に向かずコストはかかりますが、たとえば同じ芋焼酎でも、飲み比べると多彩な個性が実感できます。
主原料は芋・麦・米などがメジャーですが、日本全国で50種類以上存在。アルコール度数は45%以下に調整されます。
できるだけ対比させつつ書いてみました。それぞれの定義・特徴を、おわかりいただけたでしょうか? 各々を一文でまとめると、
- 「甲類は大量生産に向きクセがなく、割って飲んだりカクテルベースとして用いる」
- 「乙類は製造にコストがかかるものの、個性豊かな味わい」
このようにとらえておくとよいでしょう。
「混和焼酎」も存在
また、甲類と乙類をブレンドした「混和焼酎」も造られています。原料の個性がほどよくなじみ、飲みやすく仕上げられているものが主流です。価格を抑えるというねらいもあります。
ブレンドの割合によって、甲類が半分以上なら「甲類乙類混和」、乙類のほうが半分以上なら「乙類甲類混和」と呼称されます。“多いほうが前にくる”ということですね。
本格焼酎 ≒ 焼酎乙類
では、いよいよ「本格焼酎」とは何かを明かしましょう。注意してもらいたいのは、本格焼酎とは、そのままイコール焼酎乙類ではない、ということ。
甲乙をつける、というのが“物事の優劣をつける”という意味にもなるので、乙類が甲類に劣っているような印象を避けるため、「本格焼酎」という呼び名が生まれたという経緯もあります。
本格焼酎の定義
それではまずは定義から。
- 単式蒸留器で蒸留。
- 米や麦などの穀類、芋類、清酒粕、黒糖。主原料と麹はこの4品目がメジャーで、さらに49品目の主原料が認められている。
- 水以外の添加物を使用しない。
以上の三つが、本格焼酎の定義です。「焼酎乙類のうち、添加物不使用のもの」という覚え方でも、ほとんど問題ないと思います。
次回は、メジャーな焼酎5種を解説!
今回はこれまで。本連載では、バラエティ豊富な「本格焼酎」をおもに扱っていこうと考えています。
そんなわけで次回は、メジャーな主原料とご紹介した品目のうち、米と麦を分け、芋、黒糖、加えて泡盛――5つの焼酎の特徴をまとめます!
焼酎ってどんな酒?
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