ウイスキーってどんな酒? Vol.08 「アメリカンウイスキー ~バーボンetc.~」

ウイスキーの知識

ウイスキーってどんな酒? Vol.08 「アメリカンウイスキー ~バーボンetc.~」

スコッチの解説に続いて、今回はアメリカンウイスキー! スコッチ編をまだお読みいただいてない方は、ぜひそちらもチェックしてみてくださいね。

ウイスキーってどんな酒? Vol.06 「スコッチウイスキー その① ~厳しい法律が品質を保証!~」

 

アメリカンウイスキーは、モルト(大麦麦芽)だけでなく、トウモロコシ、ライ麦、小麦を原料に混ぜたものが多いです。

バーボンウイスキー、ライウイスキー、テネシーウイスキーなど、それぞれ原材料と製法による違いと、ブレンデッドウイスキーも合わせると、アメリカンという枠組み内だけで8種類に分類することができます

しかし、ひとまず入門編としては「バーボン」をおさえておけばOKでしょう。

 

アメリカンの歴史を簡単に

アメリカンの歴史を簡単に

 

植民地時代のアメリカに、スコットランド系移民の“スコッチ・アイリッシュ”が入植して蒸留酒造りを広めました

その後、ウイスキーに重税がかけられ、反発したスコッチ・アイリッシュにより1794年に“ウイスキー戦争”が起こります。しかし、暴動が鎮圧されたあとも課税は残り続けました。

税を逃れるため、当時はアメリカ政府の管轄外だったテネシーやケンタッキーに移り住んだスコッチ・アイリッシュが、その地で多く生産されていたトウモロコシを原料にして発展していったのが、かの有名なバーボンウイスキーなんですよ。

その後、世紀の悪法と言われる“禁酒法”が1920年に発効されます。アメリカ国内の蒸留所のほとんどが閉鎖を余儀なくされますが、それらを乗り越えて、アメリカンウイスキーは独自の発展を遂げてきたのです。

アメリカンウイスキーと言えば「バーボン」!

バーボンは連続式蒸留機を用いることが一般的で、大量生産が可能で比較的安価で味わえます。

そのため、日本ではスコッチやジャパニーズと並んで広く親しまれています。 ここではその原料と製法をメインにその特色を紐解き、最後に代表的な蒸留所もご紹介しますよ。

1. 原料にトウモロコシを51%以上配合

原料にトウモロコシを51%以上配合

 

バーボンは「グレーン(glain=穀物)ウイスキー」に分類され、モルト(大麦麦芽)ではなく、トウモロコシが原料のうち半分以上を占めなければならないと、アメリカの法律で定められています。

そのほかの原料として、モルト、ライ麦、小麦を採用。しかし、多くのバーボンは70%前後もトウモロコシが配合されており、その比率が多いほど、モルトとは違った、力強い独特の甘みが際立つんですね。

2. 内側を焦がした新樽で熟成

内側を焦がした新樽で熟成

 

原料のトウモロコシとともに、バーボンの二大特徴のひとつ。一般的なウイスキーの熟成には、シェリー酒やワインの熟成などで使用した樽を転用することが多いなか、バーボンは「新樽の内側を焦がして使う」ことにこだわっています。

新樽によって木材の成分がより色濃く酒に溶け出して、さらに内側をバーナーの炎で焦がすことで、いっそう木材の影響を強くしているんです。これが、バーボン特有のバニラのような香りやスパイシーなニュアンスのゆえんなんですね。

加えて、内側を焦がした新樽は、熟成を早める効果もあるんです。「ワイルドターキー8年」など、スコッチは10年や12年が多いのに対して、バーボンの熟成はほとんどが8年以下。同様の樽規定により、熟成年数の割に色が濃くなるという効用もあります。

3. 連続式蒸留でも風味豊かに

連続式蒸留でも風味豊かに

 

連続蒸留機を用いると、アルコール度数が90%を超すこともあるため、原料の成分が飛んでどうしてもニュートラルな味わいになりがちです。

しかしバーボンは、独自の技術により度数65~70%ほどに調整して蒸留します。これは、多くのモルトウイスキーの単式蒸留とほぼ同数値。つまり、没個性に傾いてしまう連続式蒸留を採用しながらも、原料の品種やその配合によるキャラクターを、原酒にうまく反映させているんですね。

代表的なバーボンの蒸留所

ジムビーム

バーボン市場の約4割を占める、「世界で一番売れているバーボン」として名高い。

ライトなボディでふくよかな甘みがあり、樽香は控えめ。ソーダ割りにすると、甘みと樽の風味が引き立ちます。

シムビーム

ジムビーム

ジムビーム

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フォアローゼズ

コーン:ライ麦の比率を各々高めた2種の原料レシピに、5種のオリジナル酵母をそれぞれ組み合わせて、2×5=10種類の原酒を製造。

それらが絶妙にブレンドされた、ライトながら奥深く、都会的な味わいが楽しめます。

フォアローゼス

フォアローゼズ

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ワイルドターキー

トウモロコシの配合比率が少なく甘さ控えめ。そのぶんライ麦の配合量が多く、スパイシーな風味が際立ちます。

「アリゲーターチャー」と呼ばれる、樽の内側をタイル状になるまで焦がす熟成法も独特で、バニラやキャラメルのようなまったりとした香り。

ワイルドターキー 8年

ワイルドターキー 8年

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バーボンと似て非なる「テネシーウイスキー」

バーボンと似て非なる「テネシーウイスキー」

 

バーボンに加えてアメリカンをもう一種だけ。「テネシーウイスキー」を取り上げておきましょう。

実はこれもバーボンと同じく、原料にトウモロコシを51%以上配合して造られるウイスキー。違いは、テネシー州で造られることと、「チャコールメローイング製法」が採用されていることだけなんですね。

この製法は、蒸留直後のスピリッツを、炭の層にくぐらせてろ過する工程のこと。約10日間もかけてゆっくりとろ過することで、荒々しさが取れた、やわらかい口当たりになるのだとか。

代表的な蒸留所

ジャックダニエル

「ジャックダニエル ブラック」は、単独銘柄では世界一の売り上げを誇るウイスキー。

フルーティーな香りとメイプルシロップを思わせる独特の甘みに、ウッディなニュアンスが重なります。

ジャックダニエル ブラックラベル

ジャックダニエル ブラックラベル

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次回は「アイリッシュ」!

いかがでしたか? 特に今回ご紹介したバーボンの銘柄は、スーパーなどでも安価で販売されていることが多く、手に入りやすいと思います。ぜひ、ロックやハイボールでその魅力を味わってみてくだいね。

次回は、ウイスキーの元祖をスコッチと争う、「アイリッシュウイスキー」を見ていきましょう!

 
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