ウイスキーってどんな酒? Vol.01「ウイスキーは、“蒸留酒”である!」

ウイスキーの知識

ウイスキーってどんな酒? Vol.01「ウイスキーは、“蒸留酒”である!」

代表的な種類のお酒について、飲んだことがない初心者の方にもわかりやすくイチから解説していく「どんな酒?」シリーズ。ウイスキー編の開幕です!

第一回目はまず、いきなりハイボールとチューハイ、サワーの違いからはじまります――。そのほうが、「蒸留酒」に対してのイメージをより具体的につかんでもらえると思います。

蒸留酒と、醸造酒。今回は、これらが具体的にどういうものなのかをメインに解説。最後にはウイスキーにしっかり着地しますので、どうぞ安心してお読みください!

 

「ハイボール=ウイスキーのソーダ割り」なのはわかるけど・・・

「チューハイ」の語源はハイボール

「チューハイ」の語源はハイボール

 

現在、日本で最もよく親しまれているウイスキーの飲み方は、「ハイボール」で間違いないでしょう。語源は諸説あるとはいえ、ハイボールがウイスキーのソーダ割りであるということは、お酒を飲んだことがない方にもわりと多く知られていると思います。

では、「チューハイ」は何のことでしょう? これ、お酒初心者の方は意外と知らないと感じます。レモンチューハイとか近年流行ってますし、アルコール度数低めで飲みやすい炭酸入りの酒、という認識の人もいらっしゃるかも。

“酎ハイ”と書くとちょっとわかりやすくなる。――そうですね、チューハイとはつまり、「焼酎ハイボール」のことです。この呼び方は、ウイスキーのハイボールから来ているんですよ。

サワー=炭酸で割った酒。ではない!

もうひとつだけ、回り道をしましょう。

では、「サワー」って何かご存じですか? これも炭酸で割った酒だということはわかるけど、チューハイとの違いがよくわからない・・・。それなりにお酒を飲んできた方のなかにも、相当数いるんじゃないでしょうか。

 

サワー=炭酸で割った酒。ではない!

 

サワーとはひと言で言うと、「スピリッツをベースとするアルコール飲料」のこと。サワーとは英語で“すっぱい”という意味で、酒を割るものはソーダじゃなくてもいいんです。

柑橘類などの酸味と、砂糖やシロップといった甘味を、スピリッツに加えて完成させるのがむしろ世界的には主流。そこに、さらにソーダをはじめ炭酸水を加えるのが一般的なのは、日本やアメリカぐらいなのだとか。

ウイスキーも焼酎も「蒸留酒」

スピリッツとは「蒸留酒」のことで、たとえばウォッカやジン、テキーラ、ラムなど。ちなみにこれら4つは“四大スピリッツ”と呼ばれています。

ウイスキーや焼酎、ブランデーもこの蒸留酒に当たります。つまりスピリッツの仲間。余談ですが、蒸留酒を薬草や香草、果実などで風味付けをしたものが、“リキュール”なんですよ。

蒸留=液体を気化させて、冷やして液体に戻す

理科の授業で習ったっけ?

理科の授業で習ったっけ?

 

はい。ここで、ようやく「蒸留酒」という言葉が出ました。今回は、この話がメインです。寄り道が長くてすいません。

メインのターゲットが見えましたが、ここも落ち着いてまいりましょう。では、「蒸留」って、何かわかりますか? 中学の理科で習うことですが、もう憶えてないですよね・・・?

蒸留とは、「ある液体を主に熱する(沸騰させる)ことで気体にして、それを冷やして液体に戻す」こと。戻してどうすんねん、と、思ったあなたは鋭い。この蒸留、真価を発揮するのは、「複数の物質が混ざった液体」に対して行なうときなんですね。

水よりもアルコールが先に気体になる

水よりもアルコールが先に気体になる

 

物質はそれぞれに、気体になる温度“沸点”と、液体になる温度“融点”が決まっています。水の沸点は100℃で、アルコールの沸点は約78℃(1気圧の条件下)。つまりアルコールと水が混ざった液体を熱すると、アルコールが先に気化する。この気体を集めて冷やし、液体に戻してやると、より一層アルコール度数の高い液体が出来上がる

これが、蒸留酒の最も基本的なメカニズムなんです。そもそも、純度の高いアルコール飲料を生み出すことが目的なので、一般的に焼酎は20~25度、ウイスキーは40~43度と、蒸留酒のアルコール度数は総じて高い、というわけ。ビールの度数は4~5度くらいですからね。

ビール⇒ウイスキー。ワイン⇒ブランデー

ビール⇒ウイスキー。ワイン⇒ブランデー

 

ウイスキーを簡単に表せば、「主にモルト(麦芽)などの穀物を糖化、発酵させたのちに蒸留する。それを木樽で貯蔵熟成した酒」ということになります。この、モルト(麦芽)などを糖化、発酵させるという部分だけを切り出すと、実はビールとおんなじなんですね。ビールをはじめ、酵母による発酵を利用して作られるアルコール飲料は、蒸留酒に対して「醸造酒」と呼ばれます。

かなり雑なまとめ方をすると、ビール的な液体を蒸留するとウイスキーになるし、ワイン的な液体を蒸留するとブランデーになる、ってことです。実際には原料の品種や工程に違いがありますが、ひとまずこのようにとらえておくと、お酒の二大区分「醸造酒」と「蒸留酒」の違いが理解しやすいと思います。

「ビールってどんな酒?」の下記記事をご覧いただくと、醸造酒のことも絡めて一層理解が深まるはずです。ぜひ目を通してみてくださいね。

ビールってどんな酒? vol.1 「麦芽とホップと水と。」

ビールってどんな酒? vol.2 「製造工程をざっくり解説」

次回は「モルト(麦芽)」など原材料について!

いかがでしたか? 筆者はお酒を学んでいく過程で、この蒸留のイメージがうまくつかめずに一度つまずいたことがあるので、今回は丸々ひと記事使って解説させていただきました。

次回は、まず原材料からウイスキーを紐解いていきます。どうぞご期待ください!
 

ウイスキーってどんな酒?

ウイスキーってどんな酒? Vol.01「ウイスキーは、“蒸留酒”である!」

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