2つの海に面した自然豊かな”山口県””|大地の恵を活かした5つの日本酒とは?
酒造・メーカー紹介
日本海と瀬戸内海に面していることから、山口県は酒造りに適したエリアとして知られています。
山口の日本酒は、淡麗旨口な銘柄が多く造られていることが特長。また山口では、蔵元と酒造組合が協力し、積極的に技術の伝承をおこなっています。ベースは淡麗旨口でありながら、個性豊かな日本酒が生まれています。
本記事では山口県をテーマに、地酒の特長や代表的な酒蔵、おすすめな銘柄をご紹介。お酒選びの参考にしてください。
コンテンツ
山口から生まれる日本酒の特徴
山口県にはたくさんの銘酒が存在しています。伝統を重んじながらも、常に技術を進化させてきたエリアでもあります。県内には複数の蔵元があり、各酒蔵が個性豊かな日本酒をかもしているのです。
山口の酒は、中国四国地方の酒蔵のなかでは初めて「地理的表示(GI)」の指定を受けていることも特徴。「地理的表示」は、地域の風土と密接する特産品を国が保護するための制度です。
規定をクリアした日本酒は、地域ブランドを独占できます。
酒造りのこだわり
山口県は、豊かな自然と清らかな水に恵まれた地域です。また寒暖差の激しい地域であることからも、米の栽培に非常に適した環境であることがわかります。山田錦をはじめとした、日本酒のクオリティを底上げする品種も、盛んに栽培されています。
山口は三方を海に囲まれており、地酒は海の幸との相性がよく、スッキリとした「淡麗旨口」が主流です。さらに県内でも地域ごとに特徴があり、それぞれの味の違いを比較することも楽しみの一つでしょう。
山口を代表する3つの酒蔵
山口には多くの酒蔵があると説明しました。その中でも、特に注目したいのが「永山本家酒造」「八百新酒造」「はつもみち」です。
本章では各蔵の特長を、代表銘柄とともに紹介していきます。
永山本家酒造
永山本家酒造は、秋吉台のミネラル分を含んだ東川の伏流水をゆっくりと濾過して、酒造りをおこなっています。同蔵の代表銘柄は「貴」。控えめな香りと米の旨味が特徴であり、瀬戸内で獲れる青魚と相性がよいです。
この酒蔵は、事務所の2階部分が温かみのあるカフェ「フタマタセコーヒー」となっていることもポイントです。そこにはくつろげるソファ席や広々とした円卓、窓際のカウンターテーブルがあり、どこに座っても特等席のような雰囲気。
ハンドドリップで一杯ずつ丁寧に淹れられる、スペシャルコーヒーが提供されています。また酒蔵ならではの酒粕や麹を使用したスイーツとフードも非常に人気です。
八百新酒造
八百新酒造は、錦川本流と今津川に面した、歴史ある蔵です。岩国の街並みに調和する重厚な建物は、明治初期に建てられたものであり、昔ながらの雰囲気が懐かしさを感じさせます。
同蔵の代表銘柄として知られている「雁木」は、素材の可能性を最大限に引き出した風味が特徴的です。醸造アルコールは使用せず「最後の1滴まで飲みたくなる」ような、高い品質が追求されています。
各種の受賞歴に加え、ANA出発ビジネスクラスの機内提供酒にも選ばれるなど、輝かしい実績を持つ「雁木」。その歴史に思いを馳せながら、ゆっくりと味わってみるのがおすすめです。
はつもみぢ
はつもみぢは、周南市の中心部に位置し、JR徳山駅から徒歩約10分の距離にある酒蔵です。こちらの酒蔵は、山口県で生産される山田錦を使用した純米酒ブランド「原田」シリーズを造る蔵元。いつでも新鮮な搾りたてのお酒を楽しめることも魅力です。
同蔵では酒蔵見学では、試飲やお土産が含まれた充実したプランが用意されています。実際の設備を見ながら、醸造過程について学べます。
地域に寄り添い、地域から愛される歴史ある酒蔵として長年、変わらない人気を誇る酒蔵です。
山口のおすすめ日本酒5選!
それではいよいよ、山口の日本酒から、筆者がおすすめしたい5つの銘柄を紹介します。前章で紹介した3つの酒蔵のお酒についても解説しているので、ぜひ参考にしてください。
雁木|八百新酒造
雁木の中でも「ノ壱」は、最初に造られた銘柄です。口に含むとパッと香りが広がり、しっかりとした旨みを感じられます。米の旨みが力強く押し寄せてくるため、飲み応えもバッチリです。正しく、次から次へと盃が進むお酒といえるでしょう。
写真の無濾過生原酒は、生原酒ながら飽きることのない、安定した美味しさが感じられます。また開栓直後と時間が経ったあとでは、全く異なる表情を見せてくれるお酒でもあります。熟成とともにうまみが増し、より味わい深い味わいが楽しめるでしょう。
原田 弦月|はつもみぢ
こちらは「はつもみぢ」から誕生した、香り高い旨口の純米吟醸酒。昔ながらの木製の搾り器である「槽(ふね)」を使い、手作業で丁寧に搾ります。瓶詰め後は、低温の2℃で保存されるなど、細部まで手間をかけて醸造されるお酒です。
写真の「弦月」は、飲むと舌先で炭酸ガスを感じるプチプチとした爽快な口当たりが特長。メロン系のフルーティーな甘味とスッキリした後味のバランスが絶妙です。爽やかさとともに、豊かな果実の味わいも楽しめます。
長陽福娘|岩崎酒造
こちらのお酒は、基本に忠実に作られた「生酛仕込み」です。少量仕込みであり、総米量は630kgです。
生酛によって無加圧で汲み上げられたため、どっしりとした味わいと爽やかさを併せ持った味わいが特徴的。辛口ながらも、米の旨み=日本酒らしさを心地よく感じられる、心地良い一本となっています。
天美|長州酒造
こちらは天美の代表的な酒である純特別米酒です。このお酒は麹米に山田錦を、掛米には西都の雫・山田錦を使用しています。
山口県オリジナルの酒米であり、酒蔵のある下関市の山間部で栽培される地元の米です。「穀良都」と西海222号(山田錦の交配種)を掛け合わせて作られています。
天美の特別純米酒は、フレッシュで穏やかな香りを持ち、優しくて優しい香りと酸味が特徴です。
貴|永山本家酒造
写真の「貴」は、ボトルを開くと一瞬シュッという音が聞こえてくる新酒です。新酒の勢いをストレートに感じられるでしょう。香りは控えめながらも、淡いマスカットや白ワインのようなニュアンスが漂います。
口に含むと爽やかな香りが広がり、やや辛口でさっぱりとした口当たり。初めから終わりまで、非常に飲みやすいお酒です。
開栓から数日経つと、白いブドウの果肉のような味わいが広がります。