焼酎ってどんな酒? Vol.09 「初心者におすすめの米焼酎 10選」
焼酎の知識
芋・麦焼酎と続いて今回は米焼酎。熊本県人吉・球磨地方で造られる「球磨焼酎」が代表的です。
また、日本酒に通じるところを多く持つのも特徴。アルコール度数の高さだけに留まらない、米焼酎ならではの多様性を感じてもらえるよう選定しました。
コンテンツ
初心者におすすめの米焼酎 10選!
銘柄・商品名と酒造名、そのあとにデータとして、「アルコール度数/米の品種名/麹(麹菌の色)/常圧蒸留or減圧蒸留/熟成期間」を記載しました。
並び順は、ベーシックなものから下にいくにつれ個性的な銘柄を配置してあります。最後の2つは、日本酒粕を主原料とする「粕取り焼酎」をセレクト。
よかいち 米(宝酒造/京都府京都市)
【度数:25%/品種:国産米/米麹(黄)/減圧蒸留/熟成:非公開】
米焼酎の中でも有数の知名度。黄麹の採用や低温発酵、米と米麹を三回に分けて加える三段仕込みなど、日本酒さながらの丁寧な仕事が光ります。独自開発の「香り酵母」による華やかな香りと、雑味のないクリアな飲み口で初心者にもおすすめ。
マイルドな仕上がりなので、ロックか水割りでシンプルに味わって。パックで気軽に買えるのもうれしいところ。
白岳 KAORU(高橋酒造/熊本県人吉市)
【度数:25%/品種:国産米/米麹(白)/減圧蒸留/熟成:非公開】
球磨焼酎をリードしてきた酒造が「若者や初心者にも、もっとカジュアルに楽しんで欲しい」とリリース。
米の発酵工程を二回に分ける、独自の「三次仕込み」を採用しています。焼酎特有のクセを抑えながらも、メロンなど贅沢な果実のような香りを実現。
アウトドアシーンなどにも持ち歩きしやすい、200mlペットがあるのも気軽に味わえるポイントです。※下記リンクは30本入り。
吟香 鳥飼(鳥飼酒造/熊本県人吉市)
【度数:25%/品種:麹米‐五百万石(精米58%)、掛米‐ヒノヒカリ(精米78%)/吟醸麹(黄)/減圧蒸留/熟成:1年】
まるで完熟したリンゴのような吟醸香は、さながら日本酒のよう。
日本酒原料として重宝される酒造好適米「五百万石」を、大吟醸と同等の精米歩合まで磨き上げ仕込まれています。黄麹と酵母を自家培養するなど、数ある球磨焼酎の中でも異彩を放つ存在です。
アルコール感が極めて少なく、それでいて日本酒にはない芳醇な味わいは体験の価値あり。
特酎米製 天草(天草酒造/熊本県天草市)
【度数:25%/品種:熊本県天草産西海134号/米麹(白)/減圧蒸留/熟成:1年以上】
全工程手作業と、原料の自社生産にこだわる酒造。天草の豊饒な自然が育んだ米焼酎からは、飲みやすいだけではない、芯の通った米の存在感・ボディを感じてもらえるはず。
セレクトした一本は、米のふくよかな甘みが後を引き、ついもう一杯と手が伸びます。同じく自社生産のさつまいもから造る芋焼酎シリーズ「池の露」にも定評あり。
よろしく千萬あるべし(八海醸造/新潟県南魚沼市)
【度数:25%/品種:国産米、清酒粕/米麹(黄)/減圧蒸留/熟成:2年以上】
日本酒「八海山」で名を馳せる新潟の酒造。清酒酵母と黄麹を使い、さらに蒸留前のもろみは三段仕込み――日本酒のノウハウをいかんなく発揮しながら、発酵途中に清酒粕を加え、二年以上熟成させるなど、米焼酎ならではの工夫が随所に光ります。
フルーティーで心地よい吟醸香と爽やかなキレに杯が進む、米処・新潟の品格漂う一本です。
武者返し(寿福酒造場/熊本県人吉市)
【度数:25%/品種:熊本県産ヒノヒカリ/米麹(白)/常圧蒸留/熟成:2年】
常圧蒸留一筋を貫く蔵元の代表銘柄。ヒノヒカリの新米100%で工程は全て手作業、手間ひまかけて常圧蒸留した原酒をさらに二年寝かせるという、精魂込めた一本です。
米のまろやかな甘みとコク深さがしっかりと感じられる、まさに常圧球磨焼酎の王道をいく味わい。焼酎をそのまま温める直燗〔じきかん〕か、そこに氷を落とす「燗ザロック」がおすすめ。
野うさぎの走り(黒木本店/宮崎県児湯郡)
【度数:37%/品種:宮崎県産ヒノヒカリ/米麹(白)/常圧蒸留/熟成:3年以上】
スモーキーさやナッツのニュアンスなど、複雑な香味が感じられる長期熟成酒。「㐂六〔きろく〕」や「中々」など、芋・麦焼酎でも銘酒を生み出す蔵の一本です。
一次仕込みを甕、二次仕込みを木桶で行なうなど、伝統的な手法を守り抜いて生まれる、複雑味と透明感のバランスが見事。ロックまたは水割りで、じっくりと堪能して。
明治波濤歌(大和一酒造元/熊本県人吉市)
【度数:35%/品種:熊本県人吉産玄米/玄米麹(黄)/かぶと釜式蒸留/熟成:1年】
明治の文献に遺された手法を現代に再生。精米した白米ではなく玄米を採用し、約50日もかけて一度で仕込みを終わらせる「どんぶり仕込み」、そして薪を焚く「かぶと釜蒸留」――先人の知恵に支えられた手法は、玄米の独特の芳しさと、品のある甘みを併せ持った、現代に類を見ないオリジナリティを生み出しました。ぜひ直燗か燗ザロックで。
獺祭 焼酎(旭酒造/山口県岩国市)
【度数:39%/品種:清酒粕、清酒/常圧蒸留/熟成:非公開】
山口が世界に誇る清酒「獺祭」を搾る際に出た酒粕を、その日のうちに蒸留。特殊な製造方法ゆえに稀少な粕取り焼酎です。
アルコール度数が高めに設定されているのは、獺祭の日本酒が持つ香り高さが最も美しく表現できるから。
ロックで飲むとその凝縮感をダイレクトに味わえるほか、お湯割りにして、ふくよかな香りを日本酒の熱燗感覚で楽しむのもよいでしょう。
石鎚 純米粕取り焼酎(石鎚酒造/愛媛県西条市)
【度数:25%/品種:清酒粕/真空減圧蒸留/熟成:非公開】
「3杯目からじわじわと旨くなる食中酒」をコンセプトに掲げる日本酒造の、粕取り焼酎。食事との相性もさることながら、純米吟醸と、純米大吟醸酒の高級酒粕のみを蒸留しているのが一番の特長です。
さらに独自の「真空減圧蒸留」により、雑味をカットしながらも豊かで気品ある香りを残しています。アルコール度数40度で、濃密な原酒タイプも。
次回は、黒糖焼酎&泡盛!
いかがでしたか? 次回は、サトウキビ由来の深いコクを持つ「黒糖焼酎」と、米を原料にしながらも独自の方向性を打ち出している「泡盛」をセットでお届けします!
焼酎ってどんな酒?
|