焼酎ってどんな酒? Vol.08 「初心者におすすめの麦焼酎 10選」
焼酎の知識
芋焼酎に続いては麦焼酎ガイド!
麦焼酎では、二種類の蒸留法が巧みに使い分けられています。減圧蒸留は味わいがクリアに。常圧蒸留すると、主原料の個性がしっかりと引き出されるんです。
また、3年以上熟成した原酒を50%以上ブレンドしたものだけが、「長期熟成焼酎」を名乗ることができるんですよ。
このあたりの内容は、下記記事でもう少し詳しくご説明しています。
焼酎ってどんな酒? Vol.05 「麹について ~焼酎の頻出キーワードとともに~」
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初心者におすすめの麦焼酎 10選!
それではまいりましょう!
銘柄・商品名と酒造名、そのあとにデータとして、「アルコール度数/麦の品種名/麹(麹菌の色)/常圧蒸留or減圧蒸留/熟成期間」を記載しました。麦焼酎は特に、麹と蒸留法、熟成期間に注目してみてください。
並び順は、ベーシックなものから下にいくにつれ個性的な銘柄を配置してあります。最後の2つは、10年以上の超長期熟成をセレクト。
大分むぎ焼酎 二階堂(二階堂酒造/大分県速見郡)
【度数:20%・25%/品種:大麦/大麦麹(非公開)/減圧蒸留/熟成:非公開】
麹も麦100%の「大分麦焼酎」の最も定番と言えばこちら。1866(慶応2)年創業で、焼酎の麹に、米ではなく麦を採用した草分け的存在です。
厳選した大麦と大分日出町の自然水を減圧蒸留で仕上げる、クリアな飲み口と優しい甘さが魅力。クセがないのでお好みの割り方で楽しめますよ。
二階堂に長期熟成をかけた銘柄「吉四六〔きっちょむ〕」も人気。
いいちこ(三和酒類/大分県宇佐市)
【度数:20%・25%/品種:二条大麦/大麦麹(非公開)/減圧蒸留/熟成:非公開】
「下町のナポレオン」という惹句があまりに有名な大分麦焼酎。焼酎デビューはこの銘柄からだった、という方も少なくないでしょう。まろやかでキレのある、安心感のある味わいです。
また、手軽に買えるパックタイプも存在。好みの割り方で飲むだけでなく、ジュース割りやコーヒー割りなど、自宅でのアレンジにもトライしやすい良心価格です。
中々(黒木本店/宮崎県児湯郡)
【度数:25%/品種:ハルシズク・ニシノホシ/麦麹(白)/常圧蒸留・減圧蒸留/熟成:約1年】
720ml 約1,000円で取引され、「圧倒的なコストパフォーマンス」と焼酎ファンのあいだで好評を博す一本。穀物の上品な香りが漂い、ほんのりキャラメルを思わせる甘みが軽やかに広がります。
麦の品種に対するこだわりや、常圧・減圧蒸留した原酒をブレンドするなど、製法の随所にオリジナリティがきらり。まずはロックで堪能してみて。
ちんぐ 白麹仕込み(重家酒造/長崎県壱岐市)
【度数:25%/品種:長崎県壱岐産ニシノホシ/米麹(白)/常圧蒸留・減圧蒸留/熟成:2~3年】
二大麦焼酎の一翼をになう「壱岐焼酎」。大分麦焼酎との違いは、麹に米を使うこと。麦100%の焼酎とはまた違った、米の自然な甘みが息づいています。
セレクトした一本は、壱岐の言葉で「親友」という意味。常圧・減圧蒸留の原酒をブレンドしているのも特徴です。
フルーティーな口当たりから、麦と米の奥深い旨み、それが爽やかに抜けていく余韻をご堪能あれ。
田苑 金ラベル(田苑酒造/鹿児島県薩摩川内市)
【度数:20%・25%/品種:大麦/大麦麹・米麹(白)/常圧蒸留/熟成:3年以上】
日本で初めて、“樽熟成”の麦焼酎を生み出したパイオニア。
まるでウイスキーのように樽の材質も選び抜き、3年以上の長期熟成をかけた原酒のみを瓶詰めした、「全量樽熟成」の焼酎が看板商品です。
また、クラシック音楽で貯蔵タンクを振動させて熟成効果を高める「音楽仕込み」も独創的。アルコールの角が取れたまろやかな口当たりと、芳醇な香味が身上です。
常圧閻魔(老松酒造/大分県日田市)
【度数:25%/品種:大分県日田市産大麦/麦麹(黒)/常圧蒸留/熟成:3年以上】
ほろ苦さも感じるほどに、麦本来のコクをいかんなく引き出した一本。
黒麹の採用と、原料の香味をしっかり抽出する常圧蒸留による濃醇な味わいが特徴です。ロックか、お湯割りで楽しむのがおすすめ。
樽熟成によりマイルドに仕上げた「閻魔(樽)」や、全量麹仕込みで深みと上品さを両立した「黒閻魔」もラインナップ。
兼八(四ツ谷酒造/大分県宇佐市)
【度数:25%/品種:はだか麦/麦麹(白)/常圧蒸留/熟成:約10ヵ月】
一般的な二条大麦ではなく、「はだか麦」という種類を採用。さらに常圧蒸留によって主原料の魅力を存分に移し取り、弾けるような麦の香りを演出しています。
「麦チョコ」と評されることもあるロースト香と甘みは、数ある麦焼酎のなかでも独自の存在感。
水かお湯で少しだけ加水して、香りを満喫するのがおすすめです。
百年の孤独(黒木本店/宮崎県児湯郡)
【度数:40%/品種:九州産大麦/麦麹(白)/木樽蒸留/熟成:3年以上】
プレミアム麦焼酎の代表格。酒銘は、ノーベル賞作家ガルシア=マルケスによるラテンアメリカ小説の傑作から。
アメリカンオークやミズナラなど、複数の樽により長期熟成した原酒をブレンドし仕上げられます。
シガーやココナッツなどを感じさせる熟成香は、まるでウイスキーのように芳醇。チョコレートなどをお供に、ストレートやロックでじっくり味わって。
らんびき GOLD(ゑびす酒造/福岡県朝倉市)
【度数:42%/品種:九州産二条大麦/米麹(白)/常圧蒸留/熟成:10年】
米麹を用いた壱岐焼酎を、樫樽でじっくりと熟成。
バニラのように重厚感のあるフレーバーと、洋梨を思わせる華やかかつ清涼感ある余韻――長期熟成だからこそなせる味わいを、ぜひ試してみてください。
そのほか、5・6・7・15年と熟成期間を変えたラインナップもあるので、飲み比べてみるのも一興。
桜明日香 パストラーレⅡ(紅乙女酒造/福岡県久留米市)
【度数:25%/品種:国産麦/米麹(白)/常圧蒸留/熟成:30年以上】
1986年製の原酒を用いた、超長期熟成銘柄。常圧蒸留による原料の豊かな個性と、熟成によるまろやかな旨みを両立しています。
ロックで味わうと、ただ飲みやすいだけではない、その風格が際立って感じられるはず。
度数が25%に調整されているので、長期熟成モノは度数が高くてちょっと・・・という方もぜひトライしてみて。
次回は「米焼酎」ガイド!
すっきりとした印象の麦焼酎にも、個性的なものがいろいろとあるのがおわかりいただけたのではないでしょうか。
次回は「三大焼酎」の最後の一つ、「米焼酎」の銘柄を見ていきましょう!
焼酎ってどんな酒?
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