焼酎ってどんな酒? Vol.07 「初心者におすすめの芋焼酎 10選」
焼酎の知識
今回からは銘柄ガイド。まずは焼酎の大定番、芋焼酎からまいります!
コンテンツ
初心者におすすめの有名銘柄 7選
銘柄・商品名と酒造名、そのあとにデータとして、「アルコール度数/さつまいもの品種名/麹(麹菌の色)/味わいが濃醇or淡麗」を記載しました。
並び順はベーシックなものから、下にいくにつれ個性的な銘柄を配置しています。上から順に読むもよし、気になったものにジャンプしてみるもよし。カタログ感覚で、気軽に眺めてみてくださいね。
黒霧島(霧島酒造/宮崎県都城市)
【度数:25%/品種:九州産さつまいも/米麹(黒)/濃淡:淡麗】
愛称は「黒キリ」、焼酎売り上げナンバーワンを走り続ける一本です。さつまいものとろっとした甘みと黒麹のコク、さっぱりとした後口で、初心者のはじめの一杯にもおすすめですよ。
酵母由来のまろやかさが活きた「白霧島」、紫芋のムラサキマサリを主原料にした「赤霧島」、断面がオレンジ色のさつまいも・タマアカネを使った「茜霧島」との飲み比べもぜひ。
赤兎馬(濵田酒造/鹿児島県いちき串木野市)
【度数:25%/品種:鹿児島県産 コガネセンガン/米麹(白)/濃淡:中間】
淡麗な味わいと芳醇な香りが同居する、非常にバランスの取れた仕上がり。名前は、三国志の猛将・呂布が駆った「一日に千里を走る」と言われた名馬から。
ロック、ソーダ、水割りと割り方を選ばず、和洋の様々な料理に合わせられる懐の深さも魅力です。さらに価格も良心的なので、常飲酒として重宝しますよ。
赤だけでなく、紫、黄、橙、青とラインナップも豊富。
佐藤 黒麹(佐藤酒造/鹿児島県霧島市)
【度数:25%/品種:鹿児島県産 コガネセンガン/米麹(黒)/濃淡:中間】
コガネセンガン×黒麹という、芋焼酎の黄金パターンの魅力がしかと感じられる銘酒。後述するプレミアム焼酎「3M」に匹敵する支持を得ています。
2年半~3年間、しっかりと熟成させることで、角が取れた上品な味わいに。お湯割りにすると、なめらかな飲み口の内から複雑味がじわじわとあふれ出します。豚の角煮などの甘辛料理と合わせてみて。
富乃宝山(西酒造/鹿児島県日置市)
【度数:25%/品種:鹿児島県産 コガネセンガン/米麹(黄)/濃淡:淡麗】
「爽やかな芋焼酎」の地平を切り拓いた一本。この銘柄の登場したことから、すっきりとした芋焼酎を「宝山系」と呼ぶことも多いんですよ。その秘密は、おもに日本酒に使われる「黄麹」の採用。まるで大吟醸酒のようなフルーティーな香りを生み出すことに成功し、それまでの“芋くさい”というイメージを一新しました。ぜひほかの芋焼酎と飲み比べて。
不二才(佐多宗二商店/鹿児島県南九州市)
【度数:25%/品種:鹿児島県南さつま産 コガネセンガン/米麹(白)/濃淡:濃醇】
名前は、「無骨で実直な男」を意味する鹿児島の方言。男くささを感じるほどに力強い、さつまいもの風味と濃厚な甘みに、虜になる人も多いんです。
焼き芋のような昔懐かしいニュアンスもあり、余韻は柔らかいので思わず杯を重ねてしまいます。お湯割りにすると、持ち前の香りを存分に堪能することができますよ。ナッツやチョコと合わせるのもおすすめ。
爆弾ハナタレ(黒木本店/宮崎県児湯郡)
【度数:44.1~44.9%/品種:宮崎県児湯郡産 コガネセンガン/米麹(黒)/濃淡:極濃醇】
ハナタレとは「初垂れ」と書き、蒸留時に一番初めに出てくる原酒のみを集めた稀少な焼酎。
熟したバナナやメロンのような香りが、まさに爆弾のように鮮烈に立ち上ります。フルーティーなインパクトは記憶に刻まれることうけあい!
可能ならボトルごと冷凍庫でキンキンに冷やし、ストレートの状態から好みで加水しつつ味わうのが通の愉しみ方。
やきいも黒瀬(鹿児島酒造/鹿児島県阿久根市)
【度数:25%/品種:鹿児島県産 コガネセンガン/米麹(白)/濃淡:濃醇】
独自の香り高さとやさしい甘みの、「焼き芋焼酎」の元祖。通常は仕込み前のさつまいもを蒸すところを、じっくりと焼き上げることで、芋の香りをさらに強調しているんですよ。
ロックにするとほっとするような甘さが感じられ、お湯割りだと豊かな香りに満たされる――飲み方による大きな味わいの変化も特徴です。
プレミアム芋焼酎「3M〔スリーエム〕」
芋焼酎には、2000年代前半に巻き起こった「本格焼酎ブーム」をリードした「3M」と総称されるプレミアム銘柄があります。
該当する3銘柄の頭文字が全てMであることからこう呼ばれており、なかなか高額ですが、一度は体験する価値のあるものばかり。機会があれば、チャレンジしてみてくださいね。
魔王(白玉醸造/鹿児島県肝属郡)
【度数:25%/品種:鹿児島県産 コガネセンガン/米麹(黄)/濃淡:淡麗】
尻込みしてしまいそうな名前とは裏腹に、3Mの中では最も安価な価格で取引されることが多い一本。
味わいの特徴は、芋焼酎らしからぬ穏やかなフルーティーさ。黄麹による吟醸香に似たリンゴのような香りと、減圧蒸留によるクリアな飲み口で、飲み疲れしません。
芋くささに抵抗のある人ほど試してほしい一本です。その魅力はぜひオンザロックで味わって。
村尾(村尾酒造/鹿児島県薩摩川内市)
【度数:25%/品種:鹿児島県南さつま産 コガネセンガン/米麹(黒)/濃淡:濃醇】
さつまいもの香り高さを、このうえなく上品に表現。一次、二次仕込みを伝統の「かめ壺仕込み」で行ない、ほぼすべての工程を手作業でこなすなど、繊細な仕事が光ります。
小規模生産かつ、年間で仕込んだ焼酎を翌年までに売り切るスタイルが、プレミアがつく要因。芋のパンチに、ほどよくドライな飲み口とキレの良さが同居する味わいは、体験の価値あり!
森伊蔵(森伊蔵酒造/鹿児島県垂水市)
【度数:25%/品種:鹿児島県曽於産 コガネセンガン/米麹(白)/濃淡:中間】
焼酎ファン垂涎の一本といえばやはりこちら。荒々しいイメージを持たれがちな芋焼酎において、きめ細やかで、美しい味わいを提唱しブームを巻き起こしました。
低農薬で作る厳選したさつまいもを、かめ壺仕込みで丁寧に醸します。上述の村尾と違い、マイルドに仕上がる白麹を採用している点もポイント。芋くささを感じさせない、絶妙なバランスです。
次回は「麦焼酎銘柄ガイド」!
今回はこれまで。次回は、芋焼酎よりはぐっと飲みやすく、それでいてキャラクターもしっかりと立った麦焼酎をご紹介していきますよ!
焼酎ってどんな酒?
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