焼酎ってどんな酒? Vol.04 「焼酎の種類・特徴 ~芋・麦・米・泡盛・黒糖~」
焼酎の知識
今回は、本格焼酎の中でも特によく見かける5種について、その特徴を解説します!それぞれすぐにジャンプできるようにもなっているので、気になったものから眺めてみてくださいね。
概要・原料や工程など・味わい、と三段に分けてまとめていきますよ。
製造工程の記事を事前にご覧いただくと、原料と工程による違いがより理解しやすくなると思います。
コンテンツ
芋焼酎 ~原料品種の違いで大きく変化~
まず、焼酎と言えば「芋焼酎の芋くささ」を連想する方も多いんじゃないでしょうか?
たしかに独特な香りですが、さつまいも由来の甘さと相まって、やみつきになるんですよコレが。
さつまいも品種は40種類以上!
原料はさつまいも。使われる品種は40種類以上もあり、どれを採用するかによって味わいが大きく異なります。
原料の違いが、最もはっきりと表れる焼酎と言えるでしょう。断面が紫色の紫芋や、焼き芋が使われることも。
米麹〔こめこうじ〕を使った酒母〔しゅぼ〕で発酵させるのが一般的で、米の自然な甘みがさつまいもとマッチするんです。麦麹や芋麹で個性をプラスする場合もあります。
コク深い香りと濃厚な甘み
前述の通り、さつまいも由来のコクのある香りが大きな特徴。
しかし通り一辺倒ではなく、バナナやマスカット、柑橘系を感じさせる香りのものもあるんですよ。濃厚な甘みも、品を感じさせたりキレが良かったりと、さつまいもの甘さを越えた多様性を見せます。
“生〔き〕”と呼ばれるストレートのほか、ロックやお湯割りで、じっくりと味わって。
麦焼酎 ~軽くて飲みやすく初心者向け~
「二階堂」や「いいちこ」など、一度は見聞きしたことのある銘柄が多いのは、麦焼酎なのではないでしょうか?
ほかの焼酎と比べ安価で手に入りやすく、ライトでキレのある酒質で飲みやすいので、初心者にもおすすめなんですよ。
「壱岐焼酎」と「大分麦焼酎」
原料は、ビールに採用されることも多い「二条大麦」が主流。
長崎県の「壱岐焼酎」と、大分県発祥の「大分麦焼酎」が特にメジャーです。前者は麹の一部に米を採用するのが特徴、後者は麦100%で仕込まれます。
二階堂やいいちこは、大分麦焼酎の有名銘柄。
軽やかで食中酒にもぴったり
やはりその「飲みやすさ」が一番の特徴でしょう。
すっきりと軽やかで、キレもあるので、食中酒としても最適です。壱岐焼酎は米の甘みも感じられ、大分麦焼酎は雑味を感じないクリアな味わい。ソーダ割り、つまりチューハイにするといっそう軽快に楽しめます。
麦が強く匂いたつ銘柄や、長期熟成によって深みを増すなど、インパクトを持たせた品もあるんですよ。
米焼酎 ~日本酒よりもさらにすっきり!~
米焼酎、と聞いて馴染みがなくても、「球磨〔くま〕焼酎」なら覚えがあるかもしれません。
米特有の優しい甘みが印象的。麦焼酎よりも、ややコクのあるイメージです。それでも、やはり蒸留を経ているので日本酒よりもさらにすっきりとした味わいなんですよ。
芋、麦、米焼酎の三つは、「三大焼酎」とも呼ばれています。
米 100%「球磨焼酎」が有名
麹にも米を使うため、原料は米 100%。米の品種は、日本酒に用いられる酒造好適米だけでなく、食用米も採用されます。
精米歩合、つまり米を表面からどれだけ磨くかによって、フルーティーな吟醸香を引き出すことができる点なども、日本酒と似ています。
前述したとおり、熊本県・人吉球磨地方の「球磨焼酎」が最もメジャー。沖縄の「泡盛」も米を原料にした焼酎ですが、製法などがかなり異なるので後述します。
温度を上げて飲むのもおすすめ
日本酒よりもクリアな飲み口ですが、米本来の甘みや旨みが感じられる銘柄も多数。白ご飯に合わせる感覚で、気軽に料理とペアリングできるのもポイントです。
また、日本酒の熱燗と同じく、温度が上がると米の甘み・風味が引き立ちます。お湯割りはもちろん、米焼酎自体を温めて飲むのもおすすめですよ。
泡盛 ~濃密な味と長期熟成に注目~
焼酎のみならず、「日本の蒸留酒の元祖」は、実は泡盛。15世紀末には、すでに琉球王国で造られていたことが記録されています。
「タイ米による全麹仕込み」をはじめとする独自の製法による、濃厚かつ華やかな味わいは泡盛ならではです。
仕込みだけでなく「熟成」もポイント
黒麹菌を繁殖させた米麹のみで造る、「全麹仕込み」が特徴的。
米麹に酵母〔こうぼ〕を合わせ、そのまま発酵させていくので、仕込みは一度きり。米の品種も、麹菌が繁殖しやすい細長い米「タイ米」を使用します。
また、「泡盛は寝かせるほどに美味くなる」とも言われており、古酒のバリエーションが豊富なのも魅力。
長期熟成と定義されるのは3年以上からですが、数十年、なかには百年以上熟成させた古酒も存在します。泡盛の古酒は、「クース」の名前で親しまれているんですよ。
濃密な個性を、水・お湯割りで
黒麹の特徴であるどっしりとしたコクと、独特の酸味、華やかな香りなどほかにはない味わいを持っています。
特にクースの場合は度数が高いので、ロックをはじめ、水やお湯で割って飲むのが一般的です。
黒糖焼酎 ~甘みよりも旨みが際立つ~
なんだかすごく甘い味を想像してしまいがちですが、意外と甘さは穏やか。それよりも、独特の旨みを感じてもらえるはず。
鹿児島県奄美群島でしか製造を許されていないため、ほかと比べると出回る量が少なめ。でも、なかなかお目にかかれないというほどではないので、見かけたらぜひ試してみてくださいね。
ラム酒との違いは“米麹”
主原料は、サトウキビの搾り汁を煮詰めて作る「黒糖」。米麹で仕込む酒母を、黒糖を溶かし込んだ水と合わせて発酵させます。ちなみに、麹を使わずに酵母〔こうぼ〕と水のみで発酵させると、ラム酒に分類されます。
旨みがありながら後味すっきり
マイルドな甘みと、ぐっとくる旨みが印象的。後味のキレがよいので、飲み疲れしにくく初心者でもトライしやすいと思いますよ。ストレートやロックでちびちび楽しむもよし、水やお湯で割っても、甘みと香りがしっかりと感じられます。
次回は、3種の「麹〔こうじ〕」について!
まずは今回ご紹介した5種類の焼酎から、ぜひ好みのものを見つけてみてくださいね。
さて次回は“麹”について。ちょっぴりマニアックに感じるかもしれませんが、商品名に表記されることもわりと多いので、知っておくとさらに焼酎が選びやすくなるでしょう。
そのほか、“原酒” “熟成”など、商品名に登場しやすいキーワードも一緒に紐解きます。
焼酎ってどんな酒?
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