日本ワインはどんなブドウから造られている? ~ワインの味の違いのもと、ブドウの話④~

ワインの知識

日本ワインはどんなブドウから造られている? ~ワインの味の違いのもと、ブドウの話④~

お店に行くと、たくさん並んでいるワインをどのように選んでいいか?そんな悩みを持っていらっしゃる方は多いと思います。

大きな違いは、ワインの原料であるブドウによって変わります。では、日本ワインはどのようなブドウから造られているのでしょうか?

 

4回目の今回は、「アメリカ系品種」です。生食用として造られることが多い品種で、日本でも聞いたことがある名前も多いと思います。日本でもたくさん使われているブドウ品種です。

日本ワインはどんなブドウから造られている? ~ワインの味の違いのもと、ブドウの話③~ 

 

アメリカ系品種(ヴィティス・ラブラスカ)黒ブドウ

コンコード

原産地はアメリカ系だけあって、アメリカのマサチューセッツ州。コンコードという場所エフライム・ウェールズ・ブルさんによって作出されました。

今でもブルさんが住んでいた家には採種して苗木にした、原木があるそうです。

 

アメリカ

 

果皮は濃い青か紫色で白っぽい蝋により覆われています。果肉は果皮から簡単に離れ、容易に剝くことができます。果実は濃厚な香りを持ちます。

ただし一般的に「狐臭い(フォクシー・フレイバー)」と呼ばれる香りなので、ワインにはあまり向かないとされ、生食またはジャムなどに使われてきました。

 

ちなみに「フォクシー・フレイバー」はワインの香りでは良く出てくる表現です。主にアメリカ系品種(ラブルスカ種)に見られる香りで「グレープジュース」のような甘い特徴的な香りです。

特にラブルスカ種からワインを造らないヨーロッパから見ると、このフォクシー・フレイバーはネガティブな印象となります。

 

これもブドウ、そしてそこから造られるワインの「個性」の一つですから、「味わい深い」と感じることもできます。

コンコードの香り・味わい

ブドウジュースさながらのフルーティーな香り。基本は甘口が多いですが、最近では食事に合わせる辛口ワインとしても造られています。

渋みは少なく、酸味がしっかりしたものやふくよかな味わいのものまでバリエーション豊富です。

 

コンコード

 

日本ではどこで造られる?
明治初期にアメリカから生食用として伝来。全国で8.3%を占め、赤用品種では第2位です。そのほとんどが長野県で造られています。

「味わい」でも述べたように、コンコードは様々なスタイルに造られます。

長野県のワイナリーを訪問したら、それぞれの違いを楽しんでみるのもお勧めです。

キャンベル・アーリー

原産はアメリカのジョージ・キャンベルさんがムーア・アーリーに(ベルビダー×マスカットハンブルグ)を交配して育成した品種です。

果実は大きく、紫黒色で厚めの果皮です。こちらもコンコード同様に皮が剝きやすく、フォクシー・フレイバーがあります。

早生種で成熟日数が75日と早いので、寒い地域でも栽培可能です。土壌は選びませんが、乾燥には弱いです。

キャンベル・アーリーの香り・味わい

イチゴキャンディのような香りです。甘口・辛口両方が造られますが、酸味が豊かで、フレッシュな若飲みタイプです。

ロゼワインやスパークリングワインも造られています。

 

ロゼワイン

 

日本ではどこで造られる?
1897年に川上善兵衛が日本に導入しました。全体では2.4%を占めて、赤用品種では第4位。

北海道を代表する品種で、全体の約5割を北海道で造られています。北海道に次いで「2位 岩手県」「3位 宮崎県」と続きます。

アメリカ系品種(ヴィティス・ラブラスカ)白ブドウ

ナイアガラ

ナイアガラといえば「ナイアガラの滝」を思い出しますね。まさにそのアメリカ側、ニューヨーク州ナイアガラでコンコード×キャサディの交雑種として誕生しました。

 

ナイアガラの滝

 

果実は中程度の大きさで、でやや黄色がかった緑色です。非常に糖度が高く、甘味が強いです。皮離れもよく、果汁も豊富です。

芳醇な香りから「芳香ブドウ」とも呼ばれています。

果皮が非常に薄いので、長距離の輸送には適していません。

ナイアガラの香り・味わい

非常に華やかな香りでマスカットのようなフルーティーな香りがふんだんに感じられます。甘口から辛口まであり、甘口だとデザートワインとなります。

辛口だと香りとは違いスッキリとした味わいとなり、食事を邪魔しません。

スパークリングワインも多く造られています。

 

ナイアガラ

 

日本ではどこで造られる?
明治時代に日本に伝来。生食用でもあり、ジュース、ワインの原料として使われています。日本ワイン全体では11.4%で第3位。白用品種としては第2位です。

寒さに強い品種なので、主な生産地は北海道で全体の45%を占めています。次いで長野県で合わせると75%となります。その他、山形県、岩手県、秋田県と寒さが厳しい土地での栽培が主流です。

デラウェア

日本では生食用として有名で、人気ですね。これはアメリカで偶発的に発見された品種です。オハイオ州デラウェア市で発見されたので、命名されたとも言われていますが、詳しいことは分かっていません。

粒は小さめで赤みがかった灰色で、ワインでは白ブドウ品種に分類されています。小粒で甘味が強いです。その甘味からアイスワインにも用いられます。

 

デラフェア

デラウェアの香り・味わい

アプリコットやパイナップルのようなふくよかな香り。クミンや黒コショウのようなスパイシーな香りがするものも。

味わいはフレッシュな果実味と生き生きとした酸味が感じられます。

 

日本ではどこで造られる?
明治初期に伝来し、山梨県で栽培。全国では5.6%で白用品種で第4位。生産県は「1位 山形県」「2位 山梨県」3位はなんと「大阪府」となっています。

生食用のデラウェアは種無しブドウのイメージが強いですが、山形県ではワイン造りのために、種ありブドウも造っています。

大阪では「たこ焼き」に合わせるワインとして「たこシャン」も存在しています。

 

「たこ焼き」に合わせるワイン「たこシャン」

 

いかがでしたか?

次回は日本固有のブドウ品種をお届けします。

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