CRAFT BEER BASE ~伝統から、日本独自の“地ビール”を見据える~

酒造・メーカー紹介

CRAFT BEER BASE ~伝統から、日本独自の“地ビール”を見据える~

ビアパブ、ボトルショップ、醸造所、セミナールームを全て備えたワンストップショップ「MOTHER TREE」を“発信基地”に、「ビールを正しく広める」ことをミッションとして掲げる「CRAFT BEER BASE」。

加えて駅前第一ビルに「BUD〔バド〕」、阪神梅田本店地下に「BRANCH〔ブランチ〕」と、大阪中心地にビアパブを2店舗展開しています。

大阪を代表するブルワリーの熱い想いと見据えるビジョンを代表取締役社長・谷 和〔たに あい〕さんに伺いました。

 

株式会社CRAFT BEER BASE 代表取締役社長:谷 和氏

 

「ビールを正しく広める」とはどういうことか

「ビールを正しく広める」とはどういうことか

 

創業は2012年。酒販兼ビアカフェとして開業し、醸造所を始動させたのは2019年ながら、これまでに約200種類を醸造してきました。コンセプトは、創業当時から全くブレていないのだそうです。

 

谷さん

“正しく”とは、つまり伝統と基礎から発展させていくということです。

ルーツから無数に枝分かれしてきたビールの足跡を辿ることで、その先の可能性を展望する。流行で終わらない、豊かで多様な文化の創造には、これが欠かせないと考えています。

 

“正しく”とは、つまり伝統と基礎から発展させていくということ

 

現在、日本ではIPAスタイルが盛り上がっていますが、「シーンがファッションに偏っている」と谷さんは言います。より強いインパクトを求め、果汁を大量に使うなど奇抜さがもてはやされる風潮。

 

谷さん

自分たちは、次のステップを見ていかないといけない。それが、伝統やルーツから、ビールを掘り下げる楽しみを知ってもらいたい。ということなんです。

伝統を“構造分解”する

伝統を“構造分解”する

 

本店の「MOTHER TREE」では、2022年末のベルギーフェアを皮切りに、ビールのルーツである4か国の代表的なビアスタイルを自社醸造して発信する企画が進行中です。

2023年3~5月はイギリス、6~8月はアメリカ、9~11月はドイツがテーマ。

 

谷さん

伝統を掘り下げる、ということを具体的にご説明します。

そのスタイルが生まれた歴史背景だけでなく、それが広まり、現在どのような環境のもとで飲まれているのか。そして、なぜそのような軌跡を刻んできたのかをビールを実際に造ることで、構造分解して理解するということです。

 

醸造所には1.3kℓの大タンク8基と、実験的な醸造に用いる250ℓの小タンク5基を完備。

 

やはり、実際に醸造することによる発見はとても多いのだとか。知識としては知っていることでも、醸造することによって「なぜこのビアスタイルはこのような味わいで継承されてきたのか。なぜこういう機材・工程なのか」といったことに対する解像度が格段に上がるのだそうです。

 

谷さん

具体的には、ベルギー発祥の“修道院スタイル”をデュッペル、トリペル、クアドルペルと濃度を変えて造り分けたり、イギリス伝統の“ビター”を伝統的な機材であるハンドポンプで提供するなど。

全国的に見ても、非常に珍しい取り組みを行なってきました。

展開する3つのブランド

ここで、こちらのブルワリーが展開する“3つのブランド”をご紹介しておきましょう。それぞれに、明確な役割と個性があるんです。

 

CRAFT BEER BASE
「街のビール」。街に溶け込むカルチャーとして、日常的に楽しめる定番シリーズ

CRAFT BEER BASE

CBB Brewing Lab
「ビールを知る」をテーマに、様々な実験を行なうブランド。先述の4か国フェアも、このラインにあたります。ホップの加工形態や、用いるガスの違いを打ち出すなど、マニアックな「比較醸造」がタップに並ぶのも大きな特徴です。

CBB Brewing Lab

醸馥〔じょうふく〕Olfactory works
「香りを飲む」がコンセプト。五感の中で唯一、理性ではなく“本能”に直接訴えかけると言われる「嗅覚」にフォーカスして、ハーブやスパイス、フルーツなどを用いたスタイルを展開しています。

醸馥〔じょうふく〕

日本独自の「地ビール」を目指して

海外と同じ土俵で戦うのではなく

 

谷さん

伝統を構造分解することで、それを応用し、日本独自のスタイルを生み出したいんです。

日本はクラフトビールにおいては、やはり後進国と言わざるをえません。追いつけ、追い越せでトップの国々と同じことをやって競っても正直勝てません。

文化背景も、積み上げてきたものも違いすぎます。

 

この場所、この街でしか飲めない価値をいかに提示していくか

 

谷さん

ではどうするか。技術力はやはり先決ですが、この場所、この街でしか飲めない価値をいかに提示していくかが肝要だと思います。

国内なら、出来立て、詰めたてのフレッシュな状態で届けられる。輸送によるコストも低いので、良いものを安く提供することもできます。

私たちCRAFT BEER BASEが目指すのは、日本独自のクラフトビール、ではなく、あくまで“地ビール”です。

大阪万博を見据えて

大阪万博を見据えて

 

谷さん

日本人にとって、ビールはやはり食中酒というイメージがいまだに根強い。海外産ビールと同じインパクトを求めるのではなく、なんというか、“地味な着物のかっこよさ”、のようなものが表現できないかなと考えています。

枯淡の美、というのか。国内流通用と、海外輸出用をはっきりと造り分けるという案もあります。

これまでには、おもに日本酒で用いられる白・黒・黄麹をそれぞれ使用したオリジナルスタイルなど、日本の食文化とビールをつなげる取り組みを行なってきました。

 

白・黒・黄麹をそれぞれ使用したオリジナルスタイル

 

谷さん

麹など日本土着の原料を用いたり、日本酒の発酵法を取り入れるとか。やはり日本発の原料や手法には注目していますね。

かと言って、日本酒に寄せすぎると吟醸香が目立ってハイアルコールになりがちで、逆に和食に合わなくなってしまう・・・難しいところです。

 

と、試行錯誤を重ねる日々なのだそうです。

 

日本文化として誇れるビール

 

キリン、サッポロをはじめ、ビール業界の著名人たちとのトークセッションなども通して、探究を続ける谷さん。

 

谷さん

2025年には大阪万博が開催されるので、そこで“日本文化として誇れるビール”を模索するイベントを開催しようと思っています。

全国から集まった醸造家の考える、日本ならではのビールを飲み比べ、セッションする。そうすれば、日本のビールのその先が、今よりもクリアに見えてくるはずです。

 

本店「MOTHER TREE」の詳細も、ぜひ合わせて読んでみてくださいね!

 

CRAFT BEER BASE MOTHER TREE ~関西が誇るビールの“テーマパーク”!~

メーカー情報

 

株式会社CRAFT BEER BASE

 

CRAFT BEER BASE ~伝統から、日本独自の“地ビール”を見据える~

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