全国屈指の米どころ、”秋田県”|伝統技術が生み出す上質な日本酒5選
酒造・メーカー紹介
秋田県は全国的に有名な米どころです。良質な酒米と清らかな伏流水に恵まれたこの地は、美味しい日本酒の宝庫としても知られています。
伝統的な日本酒造りを継承する、老舗の酒蔵も多く、創業100年を超える酒蔵も少なくありません。ここでは古くから培われた技術や知識が大切に大切に守り続けられており、秋田の味わい深い日本酒が醸されています。
本記事では、秋田の日本酒について、風味の特長や代表的な酒蔵、おすすめの銘柄などを解説します。
なお新政酒造については、以前の記事で解説しているため、今回はあえて除外しています。新政のおすすめ銘柄を知りたいという方は、以下をチェックしてください。
人気の日本酒「新政」とは?愛好家をも唸らせる魅力に迫る。
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秋田の日本酒の特長
寒冷地である秋田は、雪解けの清らかな伏流水に恵まれた地域です。この気候は米作りに非常に適しており、高品質な酒米の産地として知られています。
そのため国内における、日本酒の出荷量や生産量、消費量でも、常に上位に上がる県です。さらに秋田は、酒米の品種改良にも積極的に取り組んでいます。1998年に開発された「秋田 酒こまち」は、現在では県を代表する酒米となりました。
秋田では「秋田流低温長期醗酵」という醸造方法が受け継がれている地域です。低温でゆっくりと醗酵させることで、きめ細かく清潔な味わいの日本酒が誕生します。
秋田の酒米
寒冷な気候を活かした米作りがおこなわれる秋田。豊かな酒米の栽培地である秋田では「秋田酒こまち」「美郷錦」「吟の精」などの酒米が造られています。秋田で誕生する酒米の特長は、米粒の中心部にある「心白」。密度が低く、もろみによく溶ける性質を持っており、上質な日本酒を生み出します。
秋田を代表する酒蔵
酒どころで知られる秋田には、実に多くの酒蔵があります。なかでも一度は試したくなる、ハイクオリティなお酒を醸すのは「齋彌酒造」「日の丸醸造」「刈穂酒造」です。それぞれの魅力を本章で解説していきます。
齋彌酒造
齋彌酒造は、自家培養した酵母と職人の技術を組み合わせによって生み出された、高品質な酒造りを続ける酒蔵です。酒蔵自体も歴史的な価値を持ち、店舗や蔵など11棟が国の登録有形文化財に登録されています。
主に、地元の契約農家や自家栽培によって造られる「秋田酒こまち」や、兵庫県で最高級とされる「山田錦」のような酒米を使用。日々、香り豊かでコク深いお酒が誕生しています。
同蔵の代表銘柄は「雪の茅舎」。純米酒や大吟醸など、さまざまな特定名称の日本酒が揃っています。
日の丸醸造
日の丸醸造は、秋田県横手市に蔵を構える酒蔵です。創業は1689年であり、建物は国指定の重要文化財となっています。
その代表銘柄である「まんさくの花」は、NHK連続テレビ小説「まんさくの花」の舞台となった横手市をイメージして言われました。
日の丸醸造では、主に秋田県内の契約農家が栽培する酒米を使用。さまざまな品種が使われており、精米作業から自社でおこなっています。
また15種類もの酵母が使用されていることも日の丸醸造の特長です。
刈穂酒造
刈穂酒造は、熟練の杜氏と新進気鋭の若手蔵人、繊細な感性を持つ女性蔵人の3者が日々酒造りに励んでいる酒蔵です。刈穂の酒造りは山廃仕込み。伝統技術を活かした日本酒が造られています。
また圧力をかけずに時間をかけて丁寧に搾られていることも特長。力強さと繊細さが、絶妙なバランスで感じられる仕上がりとなっています。
秋田のおすすめ日本酒5選!
後半からは、数ある秋田で生まれた日本酒のなかでも、筆者が特におすすめしたい銘柄を紹介していきます。
厳選された5種の日本酒は、いずれも一度は試して欲しいものばかり。ぜひ酒選びの参考にしてください。
まんさくの花|日の丸醸造
NHKの朝の連続テレビ小説「まんさくの花」をきっかけに、この銘柄が誕生しました。
日の丸醸造から誕生した「まんさくの花」には、それぞれの搾り方の違いを楽しむ、究極の飲み比べシリーズがあります。
同蔵では醪を詰めた酒袋を積み重ね、上から圧力をかけて搾る、伝統的な槽搾りを採用しています。約48時間かけて搾り出す方法ですが、どのタイミングで瓶詰めされるかによって、味わいが変化するのです。
写真はタイミングとしては中間にあたる「中汲み」。バランスの整った風味が感じられます。
雪の茅舎|齋彌酒造
こちらは「雪の茅舎」の純米吟醸です。心地よい口当たりと香りを追求する酒蔵によって、自社培養された酵母が使われています。
写真に写っているのは、定番の純米吟醸。香りは控えめでありながら、マスカットのようなフルーティさと大人の渋みが感じられます。
甘さと渋み、酸味のバランスが絶妙であり、さまざまな料理にぴったりなお酒です。
刈穂 kawasemi|刈穂酒造
刈穂の「kawasemi label」は、酒槽で丁寧にしぼった新酒をそのままボトリングしています。ラベルの由来は、桜が咲く時期、蔵周辺に戻ってくるカワセミだそう。ラベルや風味から、しぼりたての新酒が持つ春の味わいを感じられるでしょう。
写真には「刈穂 カワセミ」の限定春バージョンである「さくらラベル」が写っています。秋田で開発された酒造好適米である「秋田酒こまち」を、丁寧に磨いて作られたお酒です。
クリアな香りと爽やかさを持ち、その季節だけの特別な一本となっております。
ど辛|山本酒造店
長期低温発酵により日本酒度+15まで上げた、超辛口のタイプのお酒です。低精白でありながら、雑味のない爽やかな風味が特徴。また驚くほど鋭いキレも感じられます。
超辛口に分類される日本酒でありますが、余韻には微かな甘さを感じます。すっきりとしつつも、米の甘みを感じられるでしょう。
福小町|木村酒造
開栓すると甘く蜜のような香りを纏った、リンゴや洋梨の華やかな吟醸香が漂います。飲み口はラムネや青リンゴのような爽快感。そしてメープルシロップのような濃厚な甘みが続きます。
芳醇な甘さが口いっぱいに広がり、舌の上で変化しながら旨味を増していく様子がなんとも楽しい一杯。
またふくよかで濃厚な甘みとラムネを思わせる爽快感のバランスも絶妙。軽すぎず、重すぎない余韻が残ります。