飲むたびに、日常に小さな輝きを添える。「一石投じる一杯を。」-茨城県 森嶋酒造-

酒造・メーカー紹介

飲むたびに、日常に小さな輝きを添える。「一石投じる一杯を。」-茨城県 森嶋酒造-

森嶋酒造について

日本酒醸造という伝統を大切に受け継ぎながら、いまを生きるつくり手として、 よりこの時代に合う味わいを追求したい。

蔵元杜氏が自らの心に一石投じながら、 つくりあげる一杯を通して届けたいのは、みなさまの心にも一石投じるような体験です。

飲むたびに、日常に小さな輝きを添える。「森嶋」はそんな存在でありたいと願っています。

 

震災で崩れ落ちた、大谷石蔵の石片

歴史を刻む大谷石の酒蔵

2011年。不運にも、苦難に向き合うことになりました。東日本大震災です。

津波の浸水被害からは免れたものの、敷地内を横断する激しい地割れが起こり、出荷を待っていた多くの酒瓶が割れてしまいました。さらに、大谷石蔵の壁にまで大きな亀裂を入れたのです。

 

震災により大きな亀裂のは行った大谷石蔵の壁

未来のために、くだした決断。

続く余震のなか、石壁の裂け目から差し込む陽の光。それを見つめていたのは、六代目「森嶋正一郎氏」でした。

茨城県出身者として初の南部杜氏資格に合格を果たして数年、跡継ぎとして蔵の未来を模索していたところの衝撃的な出来事だったのです。

突然、つきつけられた厳しい現実。石蔵の完全修復は難しく、移転や廃業も考えましたが、悩んだ末にできる限りの修理を施し、この地で酒づくりを継続することを決意しました。

そして歴史を刻んできた石蔵の壁に、「森島酒造」の復興と飛躍を誓ったのです。

 

六代目「森嶋正一郎氏」

 

新たなブランドづくりの道のりは険しく、自分のなかにある酒づくりの常識を一度すべて見直し、自問自答する日々の連続でした。なかでも大きな覚悟を持って刷新したのが、醸造設備です。

味わいの基礎となる理想の蒸し米をつくるため、四角のこしきを特注。さらに、0.3℃の微細な温度差を見極め、精密な温度管理を行える麹室を整備しました。

とくにこだわったのは、冷蔵設備です。発酵過程で生まれる自然で繊細な香味を、そのまま酒にとけこませるために、搾り機を冷蔵室の中に設置。搾った酒の風味を損なわずベストな味わいで愉しんでいただくために、冷蔵タンクや保管庫を一新。

「旨い酒をつくりたい」その想いで、気がつけばほとんどの設備が入れ替わり、森島酒造の歴史のなかでも短期間で最大規模の設備導入となりました。

時代に合う味わいを、基本に忠実な製法で。

新たな酒づくりをするからには、自分だからできることを追求したい。食事に寄り添うきれいな“透明感”と“フレッシュ”な味わい。そして、口のなかをリセットし、いつまでも飲み続けられる“程良い酸”。自分がつくりたい「時代に合う味わい」は、これだ。

そのために取り組んだのが、「勝木慶一郎先生」からご指導いただいた基本に忠実な酒づくり。食事に寄り添う面から、香り高すぎず、甘すぎない酒質とするため、あえて伝統的な麹菌と酵母を選択。

そして、時間をかけて一つひとつの普遍的な酒づくりの工程を理解し、身体に覚え込ませることによって、はじめてその味わいが表現できる。こうした研鑽を重ね、自分が本当に納得する「時代に合う味わい」に仕上げていきました。

 

「時代に合う味わい」を求めて

構想から約10年の月日を経て、ついに皆さまにお届けできるとき。

覚悟を込めて命名したのは、自らの姓「森嶋」。飲む方のなかに新しい気づきがある一杯であってほしい。

そして、つくり手である自身にも一石投じる姿勢を忘れずにいたいという想いから、ラベルデザインも実際に震災で崩れ落ちた、大谷石蔵の石片を使用しました。

 

森島酒造の不屈の精神のシンボルの「石片」

 

この石片は、どんな困難をも乗り越えていく、森島酒造の不屈の精神のシンボルとして大切にしているものです。

今まで以上に日本酒の深遠さを感じていただけるような一杯へ。

受け継がれてきた150年の伝統を守りながら、「森嶋」はこれからも挑戦と進化を続けます。

 

文:日本酒鑑定士協会 瀧村健治
編集:LIQLOG

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