伝統を大切にしながらも、時には伝統を疑いながら醸す、”やさしさ”を持つ食中酒。「より良いと思う酒を目指して…」-高知県 有光酒造場-
酒造・メーカー紹介

有光酒造場の歴史
「有光酒造場」は、創業1903年。仕込み蔵は更に古く、江戸時代の建物を修理改良しながら使用しています。
現在の杜氏(尾木芳之)は酒造りに携わって25年。手造りの特徴をいかんなく発揮できる「味わい深い酒」を目指しています。
有光酒造場の酒造り
爽やかな酸に特徴があり、造りの過程で濃い味わいを持たせることにより、料理との相性を重視する「食中酒」としての酒造りを探求しています。
高知県というと、「淡麗辛口」な酒をイメージされる方が多いかもしれませんが、「有光酒造場」はいわゆる淡麗辛口の酒というよりも「しっかりとした味わいや香りを大切に、“心の栄養”となれるようなやさしさのある食中酒」をテーマに取り組んでおります。
土佐酒ならではの後味のスッキリ感も重視していますが、あまり切らさない酒造りをしています。
数値も重要な要素のひとつですが、もっと大切なのは全体としてバランスが取れていること、そのためには正常に元気な発酵をしていること、元気なまま、発酵が終了するようにお世話することだと思っています。
また、2021年より蔵元の娘が、後を継ぎたいと高知に戻ってきました。
ちょうどその年に出来た高知県酵母「宇宙深海酵母」を使用した「安芸虎 深海の宇宙(しんかいのそら) 純米大吟醸」や、同じく高知県酵母で人気の高いCEL-24酵母を使用した「安芸虎 CEL-24 純米大吟醸」は、若い女性や日本酒に馴染みのない方にも飲んでいただきたいとの思いをこめて造りました。

左:安芸虎 深海の宇宙 純米大吟醸、右:安芸虎 CEL-24 純米大吟醸
有光酒造場の思い
伝統を大切にしながらも、時には伝統を疑いながら、酒造りを続けていきたいと思っています。
毎年同じ味を守り続ける、というよりは毎年より良いと思う酒を目指して、必要とあれば造り方を変え、造ってみたいものを造るという方が方向性としては近いかもしれません。
小さい蔵でありながら、さまざまな酒質・味幅のある酒を造っていますが、小さいからこそ小回りのきく、造りを続け、飲んでいただいた方に、ちょっとした驚きと幸せを届けていきたいと考えています。
造り手の感性を研きながら、日本酒の楽しみ方がもっと幅広い世界になるように、「食中酒の新しい味」への挑戦を続けていきます。
文:有限会社 有光酒造場
協力:日本酒鑑定士協会 瀧村健治
編集:LIQLOG