「受け継いできた貯蔵熟成技術を次世代へ…」世界に誇れるような蒸留酒造り。-福岡県 ゑびす酒造-
酒造・メーカー紹介
ゑびす酒造について
山紫水明の地にある蔵「ゑびす酒造」
「ゑびす酒造」は明治18年(1885年)の創業以来、福岡県中南部の朝倉市(旧杷木町)に蔵を構え、本格焼酎をつくり続けています。
代表銘柄「らんびき」などの長期熟成麦焼酎を中心に、地元で昔から親しまれている米焼酎の「福徳戎」も製造しています。
緑豊かな山々に抱かれた、山紫水明の地にある蔵は、すぐそばを筑後川が流れ、ミネラル分豊富でもろみの発酵に適した美しい地下水が湧き出ます。
川沿いには九州の大穀倉地帯である筑紫平野が広がり、麦焼酎造りには欠かせない良質な麦や米を実らせてくれます。
世界中の人たちに「うまい」と認められる酒にしたい。
「ゑびす酒造」の最大の特長といえる樫樽長期貯蔵の熟成焼酎は、より高品質な焼酎造りを目指し、昭和30年代にスタートしました。
そして昭和44年(1969年)、初めて樫樽貯蔵の麦焼酎を世に出します。「ゑびす酒造」の代表銘柄「らんびき」シリーズの幕開けです。
名は、中世アラブで原型ができた蒸留器「アランビック」から、ブランドを名付けました。
樽貯蔵や蒸留器など海外から取り入れた技術を発展させた上で、当時安酒と言われた焼酎をウイスキーなどと同じ土俵で、世界中の人たちに「うまい」と認められる酒にしたい。そんな先人たちの熱い想いが、「らんびき」の名に込められています。
熟成とは「時がなせる技」
薄暗い蔵の中に入ると、甘い、バニラを思わせるような香りが鼻を抜けていきます。
フランス産オーク樽のほか、シェリー、コニャック、ラム製造で使用されていた古樽が並び、その樽の中に入った麦焼酎が「らんびき」になるまで静かに熟成の時を刻んでいます。「ゑびす酒造」の蔵で60年以上前から続いている光景です。
代表/杜氏「田中 健太郎」氏
私自身、個性の全く違う樽1本1本の熟成具合を確かめるのが、とても楽しみです。
特に、淡い黄金色でありつつも、すばらしい芳香を放つ原酒と巡り会えた時、暗い貯蔵庫の中にパッと花が咲いたかのようなまばゆい光明を感じることがあります。
そんな感動を多くの方と共有したくて、「らんびき」をつくり続けています。
この土地で収穫される麦、米、そして水。寒暖差のある気候。この土地ならではの特徴を活かしながら、醸造、蒸留、熟成の調和を図り、世界に誇れるような蒸留酒造りに努めて参ります。
文:日本酒鑑定士協会 瀧村健治
編集:LIQLOG