花酵母が織りなす美酒3選|心踊る華やかな日本酒を紹介!
日本酒の知識
もうすっかり紫陽花の季節ですね。ところで花と日本酒は、深い関連があることをご存知ですか?ラベルに花が描かれていることが多いのはもちろん、酒造りにも深く関係しています。
その代表例が花酵母を使った日本酒です。本記事では酵母についての解説から始まり、花酵母とはどのようなものなのか、おすすめの銘柄には何があるのか紹介していきます。
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日本酒の酵母とは?
酵母はお酒の製造において不可欠な存在です。特定の条件下で原料に酵母を加えることで、糖分がアルコールと炭酸ガスに変わるプロセスが行われます(アルコール発酵)。
アルコール発酵には、お酒の種類に応じて異なる酵母や条件が必要です。
例えば、日本酒造りには清酒酵母が使用されます。この酵母は低温で発酵する特性を持ち、高いアルコール度数の17〜18%までアルコール生成を促します。
花酵母とは?
昨今、注目を集めている花酵母。では、花酵母とは一体何でしょうか。
花酵母は一般的な酵母とは異なる、独自の特性を持っています。まずその種類には、様々なバリエーションがあります。本章では、花酵母によって生み出される日本酒について解説します。
花酵母ってなに?
通常、私たちが楽しんでいる日本酒は、酒造りの過程で生じた酵母を使用しています。
しかし、花酵母は人工的に作り出されたものです。東京農業大学短期大学部醸造学科酒類学研究室の研究により、自然界から採取した花を用いた花酵母が誕生しました。
現在、花酵母として特定されているのはナデシコやカーネーションなど、14種類の花です。イチゴやマリーゴールドなど、どんな風味が楽しめるのかを想像するだけで、わくわくしますね。
花酵母の多様性は、日本酒の世界に新たな驚きと喜びをもたらしてくれるでしょう。
花酵母の種類
ここでは花酵母の種類やその特長を、一気に紹介していきます。
種類 | 特徴 |
ナデシコ |
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ベゴニア |
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ツルバラ |
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アベリア |
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シャクナゲ |
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日々草 |
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カーネーション |
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ヒマワリ |
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コスモス |
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ツツジ |
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イチゴ |
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月下美人 |
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カトレア |
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マリーゴールド |
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花酵母を使ったお酒の特長
花酵母を活用した日本酒は、一般に香り高く上品な味わいが特徴とされています。しかしながら、個々の分離花によって異なる風味が生まれるため、「花酵母を使用した日本酒はこのような味」と断定することはできません。
そしてまだまだ少数であり、一般的にはあまり接点がありません。しかしこれからの花酵母の発展に期待が寄せられており、今後の成長が楽しみな酵母と言えます。
新たな風味を追求する酒造業界の挑戦に、期待が高まりますね。
花酵母の日本酒3選!
花酵母を使った日本酒は、まだまだ数が少なく全体的に希少です。しかし酒蔵によっては、花酵母を積極的に使っているところもあります。
本章では花酵母を使った日本酒として、おすすめな銘柄を3つ紹介していきます。
天吹 いちご酵母|天吹酒造/佐賀県
佐賀県に拠点を置く天吹酒造は「純米吟醸 いちご酵母 生」という、甘酸っぱいイチゴ酵母を使用した日本酒を手掛けています。
同蔵元は300年以上の歴史を誇り、伝統的な日本酒造りを守りながら新たな花酵母を取り入れた酒造りに取り組んでいます。
こちらのお酒は、程よいお米の旨味と爽やかな甘酸っぱさが特長であり、その印象はやはりイチゴのような甘い香りが際立っています。軽快な飲み口でありながら、後味には瑞々しいイチゴの風味が広がります。
来福 超辛口 ベゴニア花酵母|来福酒造/茨城県
来福という酒蔵は、花酵母を用いた香り高い日本酒を得意としています。その中でも例外的な存在が「超辛口」です。この超辛口とは言っても、アルコール添加酒のようなピリ辛ではありません。
控えめな香りを持ちつつも、吟醸酒らしい深い味わいが特徴の日本酒です。また香りを極力抑えた本格的な超辛口酒は、料理との相性も抜群であり、シャープな辛さが料理を引き立てる印象的な上級酒となっています。まさしく至高の酒と言えるでしょう。
石鎚 純米吟醸 プリンセスミチコ(バラ酵母 PM-1)|石鎚酒造/愛媛県
1966年に、上皇后美智子さまが皇太子妃時代に英国から贈られたバラ「プリンセス・ミチコ」。この花から東京農業大学が分離、培養した酵母を使用して醸されたのがこの純米吟醸酒です。
プリンセスミチコ酵母は華やかな果実香が特徴的であり、マンゴーやリンゴ、バナナのような香りが漂います。また味わいも豊かでやわらかな口当たりが調和し、純米吟醸の風味を引き立ててくれるでしょう。ぜひ、華やかな香りと柔らかな味わいをお楽しみください。
花ラベルの日本酒もおすすめ
花ラベルの日本酒にも、おすすめな銘柄は複数あります。厳選した2銘柄を紹介していきます。
阿櫻|阿櫻酒造/秋田県
麹の香りと微かな柑橘香を感じると、口に含むと爽快なガス感が広がります。酸味を中心とした旨味が心地よく広がり、すぐに辛味とわずかな渋味が口いっぱいに広がります。日本酒度は+10で確かに辛口ですが、アルコール感よりも完全発酵による爽やかさが印象的です。
もちろん余韻は、鮮やかに切れます。伝統的な辛口とは異なり、バランスの取れた辛口で米の旨味も楽しめるでしょう。燗にすると米の旨味と広がりが増し、熱燗でお楽しみいただけます。
天寶一 SPICY夏潤|株式会社 天寶一/広島県
こちらは夏の陽気な季節にふさわしい、ひまわりのような明るさをイメージしながら醸された、限定の辛口純米酒です。
穏やかな香りと軽快で柔らかな口当たりが広がり、ふくよかな旨みが感じられます。辛さだけでなく潤いもあり、中盤には少し甘みとコクが現れますが、口に含んだ瞬間の感覚が最後まで続きます。
程よい辛さと柑橘系の酸味が調和し、丁寧で鋭さのない後味が印象的。味わいは爽やかで引き締まり、すっきりとしています。