初の二日間開催!「ウイスキーフェスティバル 2024 in OSAKA」をレポート
イベントレポート
6月29日、30日の二日間にわたって催された「ウイスキーフェスティバル 2024 in OSAKA」。日本産ウイスキーを中心に、国内外のスピリッツ(蒸留酒)が一堂に会し、ボトルの展示・即売だけでなく、さまざまな無料試飲が提供されるのが魅力です。飲食関係者だけでなく一般の愛好家も参加できるとあって、会場は大いに盛り上がりを見せました。
今年はなぜ二日間開催となったのかということをはじめ、主催のウイスキー文化研究所代表・土屋守さんのガイドを交えつつ、当日の様子をお届けします!
国内外企業の94ブースがずらり
それぞれ午前・午後の2部制で計4部。筆者が伺ったのは2日目午後の部だったのですが、実際に2日間とも訪れる方もちらほら見られたのだとか。「一週間やってくれてもいい!」という声もあったのだそうです。
ウイスキーファン垂涎のラインナップ!
会場には、今や世界に名を馳せるジャパニーズウイスキーの蒸溜所から、蒸溜を始めたばかりの新進のクラフト蒸溜所まで、多種多様なブースが所せましと並んでいました。なかなか列が途切れず、常に人だかりができているブースも。
土屋さん
特に今年は、ウイスキーの出展が全体の約9割と、非常に多い印象です。日本国内には現在、建設中・計画中のものを含めて100を超える蒸溜所があると言われていますが、そのうちの6~7割は、何かしらのボトルを出してくれているのではないでしょうか。
特に、新しいクラフト蒸溜所がどんどん増えてきていて、まだ自社の原酒100%でボトリングできていないものの、蒸溜したてのニューポットや、少し熟成をかけたニューボーンが試飲できるのは、本イベントの大きな魅力と言えるでしょう。
自社製造の原酒100%のウイスキーがリリースされる前に、“先にファンになっておく”というのも、ウイスキーをより深く愉しむ方法のひとつなんです。
たとえば、2021年に稼働を開始した大分県にある「久住(くじゅう)蒸溜所」は、自社蒸溜のニューボーンと、自社で追加熟成した海外原酒をブレンドした「Green Dram」を販売。また、スコットランド・フォーサイス社製のポットスチルで蒸溜されるニューポットは、蒸溜したてにも関わらず角が少なく優しい甘みを感じました。
「六甲山蒸溜所」もまた、2021年に稼働を開始。こちらは「六甲のおいしい水」でお馴染みの神戸・六甲山頂の井戸から汲み上げた天然水で、スコットランド産モルト原酒を調整したボトルを展開していました。
海外の新しい蒸溜所にも注目
土屋さん
日本だけでなく、海外にも新しい蒸溜所が増えてきています。特に比較的赤道に近い国々で造られるウイスキーは、温暖な気候のため熟成が早く進み、ダイナミックな個性を見せてくれることも少なくないんですよ。そうした海外の蒸溜所をご紹介できるのも、イベントの強みだと思っています。
「貓尾崎(MAOWEIKI)蒸溜所」は2022年、台湾に建設。標高160~180メートルの、猫の尾に似た形状のなだらかな土地で蒸溜されたニューポットが、2024年イギリスWWAワールドウイスキーアワードを受賞するなど、すでに大きな注目を集めています。
クラフトジン、泡盛など、スピリッツも充実
ウイスキー以外にも、さまざまなスピリッツ(蒸留酒)が展開され、試飲を提供していました。
2022年に稼働を開始した「神戸蒸溜所」は、道の駅・神戸フルーツフラワーパークの中にある蒸溜所。1995年の阪神淡路大震災の影響で稼働を休止した、アジア最大級の直火蒸溜器を復活させ、2026年に3年熟成のシングルモルトをリリースする予定なのだそうです。イベントではニューボーンの限定販売と、有馬山椒をはじめ兵庫らしいボタニカルを用いたジンなどを展開していました。
沖縄の「南島酒販」がリードし、2022年に立ち上げられた「simmer」プロジェクト。「実験的な泡盛を造る」ことをコンセプトに、ワイン酵母やウイスキー酵母を活用したり、マディラワイン樽やミード樽などでの熟成、ジャスミンライス仕込みといった、既成の概念にとらわれない泡盛が多数出品されていました。
来年は、大阪万博と同日程開催!
土屋さん
ウイスキーフェスティバルは、東京と横浜でも開催していますが、大阪は特に客層が若いと感じています。女性の姿も多く、飲食関係者ではない新しいファンが、たくさん来てくれている印象ですね。
来年は6月28、29日に開催することがすでに内定していて、これは大阪万博の日程とちょうど重なります。会場が近いこともあり、ぜひ一緒に大阪を盛り上げていきたいですね。
国内外のウイスキーをはじめ、スピリッツの最前線を体感できるイベント。ぜひ来年も伺いたいと思います!
土屋さん
今年は昨年より20ほど多い、94ものブースが出揃いました。新型コロナ禍を経て4年ぶりの開催となった昨年は大変盛況で、『一日じゃ回り切れない』『ぜひ行きたかったけど予定が合わなかった』という声が多く寄せられたんです。90を超えるブースを一日で全て回るのは、普通に考えて不可能ですよね。そんなわけで、大阪では初となる二日開催に踏み切りました。