発売25周年。スパークリング日本酒を現在の地位まで引き上げた立役者、一ノ蔵の「発泡清酒すず音」の誕生秘話。

酒造・メーカー紹介

発売25周年。スパークリング日本酒を現在の地位まで引き上げた立役者、一ノ蔵の「発泡清酒すず音」の誕生秘話。

人と自然と伝統を大切に、醸造発酵の技術を活用して安全で豊かな生活を提案することを使命として掲げる株式会社一ノ蔵は、宮城県大崎市松山で清酒「一ノ蔵」を醸す酒造メーカーです。

かつて級別制度があった時代に良い酒を鑑査に出さず2級酒として酒税分安く販売することで級別制度の是非を消費者に問うた「無鑑査本醸造」の発売や、通常の半分ほどに低いアルコール分で甘酸っぱい味わいが特長的な「ひめぜん」の開発など、伝統と革新を重んじた商品開発を推進しながら、あくまでも「手づくり」にこだわる姿勢を貫いて、手を掛け心を込めた酒造りを行っています。

 

このストーリーでは、今年で発売25周年を迎えた低アルコールのスパークリング日本酒のパイオニア「発泡清酒すず音」の誕生の裏側について振り返ります。

 

固定観念にとらわれないもっと多様な造り方、飲み方を。日本酒の未来を賭けた商品開発のはじまり。

現在のひめぜんラインナップ

現在のひめぜんラインナップ

 

現在では日本酒の1つのジャンルとして「スパークリング日本酒」が確立されつつありますが、その規模は国内清酒市場の1%程度と言われており、まだまだ伸びしろがあると期待できます。25年前に発売した「一ノ蔵発泡清酒すず音」は、このジャンルのパイオニアであると自負しており、今日に至るまですず音には様々な紆余曲折がありました。

すず音誕生に至るまでにいくつかの重要なきっかけがありました。ひとつは、株式会社一ノ蔵の創業者の一人である鈴木和郎が1982年にヨーロッパを視察旅行した際にパリで出会ったベルギーのランビックビールです。酸味と香りが高くて泡が立たない、まさにワインのような風味のアルコール飲料です。

ふたつめは、オーストリアのウィーンの居酒屋で出会ったホイリゲで、醪(もろみ)を搾ったばかりの白ワインは少し炭酸ガスを含んでおり、取手の付いた小型のジョッキでビールのように飲んで楽しむワインでありました。

その体験から「ワインとビールの垣根はないが、日本酒は一口飲めば日本酒とわかる。日本酒もワインやビールと同じ醸造酒なのだから、固定観念にとらわれないもっと多様な造り方、飲み方があってもおかしくない。」と強く感じたそうです。

帰国後、これらの体験から生まれたアイディアを具体化し、まずは「ひめぜん」に代表される低アルコールタイプ商品の開発が始まりました。これがすず音発案に至る三つめのきっかけです。

 

一般的な日本酒のアルコール度数は15%前後あり、そのことが当時の日本酒需要の伸び悩みの原因のひとつとされていました。アルコールを低く抑えながら、全体の味わいを調和させるという非常に難しい課題に立ち向かう中、従来の日本酒造りにおいては米の澱粉からいかに効率よくアルコールを回収するかが重要視されていましたが、業界内にあったこの固定観念を捨て、発酵を途中で止めて搾ることで、アルコール度数8%の甘くて酸っぱい不思議な味わいの日本酒「あ、不思議なお酒」が誕生し、さらに酒質を改良した「ひめぜん」を開発しました。爽やかな香りと甘酸っぱい味わいが特長の白ワインのような日本酒です。

この開発により低アルコールタイプの日本酒製造に関するノウハウが蓄積され、ここで培われた技術はその後の「すず音」の開発に大いに役立つこととなりました。

スパークリング日本酒開発に課された3つの条件。知恵を絞って開発を続けた。

日本酒の可能性を引き出す次の商品として、1990年から試作を繰り返し、1994年から本格的にスパークリングタイプの日本酒の開発に取り組みました。それまで発泡性の日本酒が全くなかったわけではありませんでしたが、いずれも炭酸ガスを吹き込んだもので、市場規模は小さく馴染みのないジャンルでありました。

 

そんな中、社の方針として、

  1. 原料は米と米麹と水のみ。
  2. 酵母がつくり出す炭酸ガスで発泡性を持たせること。人為的に炭酸ガスを吹き込んではいけない。
  3. 中身酒は透明であること。

という条件が与えられ開発がスタートしました。

 

最初に取り組んだ発泡性を持たせる方法の検討では、シャンパンのように活性酵母を含む酒を瓶に詰めて発酵させ、生成した炭酸ガスを酒に溶け込ませる方法を採用しました。中身酒については、従来の日本酒とは違った味わいが必要という理由から「ひめぜん」の製造方法を基に施策に着手し、発泡清酒においてはひめぜんよりもさらに低いアルコール分4~5%に目標を定め、日本酒らしさの排除を目指しました。アルコール感の弱さは特徴的な甘みと酸味、炭酸ガスの刺激で十分にカバーすることが出来ました。これにより与えられた条件はほぼクリアすることができましたが、当時の技術では叶えられなかったことがひとつあります。それは、中身酒を透明にすることでした。瓶内発酵に必要不可欠な活性酵母を得る方法として、中身酒が濁ることは避けられず、ならば、これを強みに変えることは出来ないだろうかと知恵を絞ることになりました。

見た目に伝統的なにごり酒という印象を持たれるとターゲットとなる若者や女性に敬遠される恐れがあると考え、淡雪のように軽いにごりを表現することにしました。解決できなかった課題は、やがて商品特性へ変化しました。

いよいよ試験製造を開始。瓶内発酵の個体差の課題をクリアし、品質管理と量産体制を両立。

発売初期のすず音

発売初期のすず音

 

かくして、淡雪色の中に細かく涼しげな泡が立ち上がり、やわらかな甘酸っぱさが口中に広がる発泡性の低アルコール清酒のプロトタイプが出来上がりました。依然として耐圧性の高い容器開発は課題を残したまま、試験製造分は地元宮城県大崎市(旧松山町内)にある「華の蔵」1店のみの試験販売とし、問題点の洗い出しと、お客様の声を活かしたより良い商品づくりにつなげることを目標としました。

何よりも優先すべきは中身酒の品質と安全であることから、試験販売と同時に容器開発にも着手し、耐圧性を考慮した容器とキャップを採用して、現在の姿に近いデザイン性と機能性を兼ね備えた専用瓶を作りました。

 

本格デビューに向け生産体制の整備にも取り組みました。瓶内発酵は瓶1本1本が独立して発酵しているため、個体差をいかに小さくするかといった点も安定生産のカギになると考え、瓶内発酵室の室温を一定に保ち、ガス圧計で圧力の変化を確かめ瓶内発酵の進捗をモニターしました。地道な作業の積み重ねではありますが、現在では一度に数万本の瓶内発酵を管理し、均質な状態で出荷することが可能となっています。

本格販売後、人気を博すも「冷蔵流通」に立ちはだかる壁。

1998年、パッケージデザイン、ネーミングも新たに、ついに「すず音」が誕生しました。ところが店頭での厳しい品質管理に対応して頂ける酒販店は我々の予想よりもはるかに少なく、宮城県内ではわずか1店舗、全国を回って20店舗を集めるのが精一杯でした。

市場の反応を見ながら徐々に生産量を増やし始めた1999年頃、テレビ番組で「すず音」が取り上げられ、一気に注目を浴びることになった途端、今度は商品の供給が間に合わず、ご注文をいただいたお客様にご迷惑をかける事態となりました。

また、蔵元で味わうフレッシュな状態でお客様に商品をお届けしたいとする蔵元の使命感から、出荷してからお客様の口に入るまで、理想の品質をいかにして保つかが大きな課題となり、流通と販売を担っていただくお取引先様をも巻き込む大きな問題となりました。

 

当時提示した品質保持の方法とは、

  • フレッシュ感を長持ちさせるため冷蔵流通でなければならない。
  • 品質を劣化させる光を当ててはならない。
  • 蔵元で味わうフレッシュな状態でお客様に提供するため、店頭での長期滞留は避ける。

の3つでした。

 

すず音

 

相当な反発はありましたが、普通の日本酒ではない「すず音」の良さを最大限に引き出すには必要なことであり、この風変わりな日本酒の未来を明るくする重要なポイントだと考えていたからです。

実際に「すず音」をお飲みいただいたお客様から寄せられた「これ本当に日本酒?」「甘酸っぱくて、シュワシュワして美味しい」「日本酒は苦手だけど、これは美味しく飲める」といった感想を大きな励みに、全社員が一つになって取組を続けた結果、現在では本格発売当初の80倍を超える生産規模まで拡大しました。

加えて、「花めくすず音」と「幸せの黄色いすず音」という「すず音」の姉妹品も開発されました。

 

左から、花めくすず音、発泡清酒すず音、幸せの黄色いすず音

左から、花めくすず音、発泡清酒すず音、幸せの黄色いすず音

 

また、「すず音」の開発時にどうしても叶えられなかった「中身酒は透明であること」を実現する商品の開発と商品化にも取り組み、「すず音」の味わいや5%と低いアルコール度数を踏襲しながら、より軽やかでフルーティに仕上げた「すず音Wabi」と、甘酸っぱい味わいでは物足りなく感じるお客様に対し、「すず音」よりもアルコール度数が高めで、甘さでボディ感を補うのではなく、高めの酸や麹の風香味、熟成感でインパクトとまとまりを表現した「すず音GALA」も誕生しました。

 

左から、すず音Wabi、すず音GALA

左から、すず音Wabi、すず音GALA

 

「すず音Wabi」はInternational Wine Challenge2015及び2018のスパークリングSAKE部門において、部門最高賞であるトロフィーを受賞することが出来ました。「キレの良い甘さ」「低アルコール原酒での上槽」「程よい酸味」「華やかな香り」「微発泡」、これらの風味を「米と水のみ」で造り上げた点に諸外国の審査員も驚き、上記受賞の栄誉を得たのではないかと推測しています。

 

ロンドンでのIWC表彰式には㈱一ノ蔵代表取締役・鈴木が出席。

ロンドンでのIWC表彰式には㈱一ノ蔵代表取締役・鈴木が出席。

 

「すず音」シリーズでは、酒類の枠を飛び越え、様々なチャレンジを重ね、1つ1つの課題を解決しながら今日に至りました。これまでの日本酒のイメージを完全に覆す風変わりな商品であっても、その根底には伝統的な日本酒醸造の知識と優れた技術、そして日本酒に対する深い愛情が脈々と流れています。これからも「すず音」のみならず、一ノ蔵清酒全体の品質向上にたゆまぬ努力を続け、私たちの愛する日本酒がより多くの方々にお飲み頂けるよう精進して参ります。

商品情報

一ノ蔵 発泡清酒すず音

一ノ蔵 発泡清酒すず音

 

一ノ蔵スパークリング酒の始まりであり、現在も根強いファンに支えられている商品。米だけを原料としながらまるでフルーツのような甘酸っぱさと瓶内二次発酵によるきめ細やかな泡が最大の特長。喉越しが良く、アルコール分5%ながら清涼飲料のような爽やかさです。良く冷やしてお飲みください。

  • 容量:300ml
  • 原材料名:米(国産)、米こうじ(国産米)
  • アルコール分:5%

https://ichinokura.co.jp/pickup-product/suzune

 

宮城県 一ノ蔵 発泡清酒 すず音 300ml×12本

宮城県 一ノ蔵 発泡清酒 すず音 300ml×12本

10,300円(05/05 17:56時点)
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一ノ蔵 花めくすず音

一ノ蔵 花めくすず音

 

発泡清酒すず音に、地元産の黒豆と紫黒米から抽出した天然色素を加えて可憐なピンク色に仕上げました。心和む優しい香りとベリー系を連想させる甘酸っぱさが特長です。良く冷やしてお飲みください。

  • 容量:300ml
  • 原材料名:米(国産)、米こうじ(国産米)
  • アルコール分:5%

https://ichinokura.co.jp/pickup-product/hanamekusuzune

 

一ノ蔵 幸せの黄色いすず音

一ノ蔵 幸せの黄色いすず音

 

発泡清酒すず音に、山形産の紅花の花弁から抽出した天然色素を加えて優しい黄色に仕上げました。清涼感ある香りと軽快でフレッシュな甘味、サッパリとした酸味が特長です。良く冷やしてお飲みください。

  • 容量:300ml
  • 原材料名:米(国産)、米こうじ(国産米)
  • アルコール分:5%

https://ichinokura.co.jp/pickup-product/kiirosuzune

 

宮城県 一ノ蔵 幸せの黄色いすず音 300ml×6本

宮城県 一ノ蔵 幸せの黄色いすず音 300ml×6本

5,940円(05/05 17:56時点)
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一ノ蔵 すず音Wabi

一ノ蔵 すず音Wabi

 

清らかに澄んだお酒の中に繊細な泡が立ちのぼるスパークリング酒。マスカットのような上品な香りと甘味、軽快な酸味が爽やかなクリアな味わいです。良く冷やしてお飲みください。

  • 容量:375ml
  • 原材料名:米(国産)、米こうじ(国産米)
  • アルコール分:5%

https://ichinokura.co.jp/pickup-product/suzunewabi

 

宮城県 一ノ蔵 すず音 Wabi 375ml×12本

宮城県 一ノ蔵 すず音 Wabi 375ml×12本

13,700円(05/05 14:11時点)
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一ノ蔵 すず音GALA

一ノ蔵 すず音GALA

 

瓶詰め後に熟成をかけて旨味を引出し、凛とした落ち着きのある酸味とほのかな甘みを調和させました。薄い琥珀色も美しい、エレガントでボディ感のある味わいが特長です。良く冷やしてお飲みください。

  • 容量:375ml
  • 原材料名:米(国産)、米こうじ(国産米)
  • アルコール分:9%

https://ichinokura.co.jp/pickup-product/suzunegala

 

 

※この記事は[PR TIMES]のプレスリリース情報提供をもとに制作・配信しています。

発売25周年。スパークリング日本酒を現在の地位まで引き上げた立役者、一ノ蔵の「発泡清酒すず音」の誕生秘話。

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