CRAFT BEER SHOP TRIANGLE ~日本産クラフトとの新しい出会いを!~
店舗紹介
「いつ行っても何か新しい発見がある」。そんな期待とともに通いたくなるビアバー&ボトルショップが、神戸・湊川にあります。生タップ、ボトルショーケースともに、神戸のみならず関西一円でもあまり見かけないラインナップが目を引きます。
コンテンツ
「飲みやすさ」の先の多様性を
「クラフトビール、特にエールビールを初めて飲んだ人からよくいただくのが、“フルーティーで、驚くほど飲みやすい”という感想。それもいいんですけど、その先の景色を伝えたいんです」と、店主の前村芳秋さん。
地元神戸のブルワリー「六甲ビール」で3年間、醸造や営業職などに従事したあと、ブルワリーとお客さんをつなげる側に回りたい!と、2022年7月に店を構えました。
”麦”を感じるスタイルに注目
ラインナップは日本産のビールに特化。7つのタップは、いわゆるビアギークではなく、一般の方でもスタイルごとの違いがわかるようなメニューになっています。
地元兵庫のブルワリーを最低1タップと、ラガー系が1タップ。カクテルやサワーなどを好む方も楽しめるよう、フルーツ系ビールも1タップ常備しています。そのほか、“カリフォルニアコモン”など、生産量が少なく、日本ではあまり知られていないスタイルも積極的につなぐようにしているのだとか。
一杯(280ml)700円から、ほぼ1,000円以下で収まる価格も魅力的。価格もばらつくよう設定されているので、選びやすいんです。
また、ブルワリーのカブリがないように、というのも基本ルール。ひいきにしているブルワリーはあるものの、できるだけ前とは違うアイテムを並べるようにしているのだとか。
約70種類揃うビン・缶と相まって、定期的に通っても、常に何か発見がありそうです。
県名・地名をきっかけに
クラフトビールの中でも、まずは日本産の充実っぷりを紹介したいというのがコンセプト。
前村さん
日本のブルワリーは、今や海外にひけを取らないくらいの技術力を持っているところも多いんです。
クオリティもさることながら、ビアスタイルや、味わいのバリエーションも、かなり出揃ってきている印象ですね。
海外産より総じて安く提供できるので、一杯1,000円以下が実現できているというのもあります。
「地ビール」としてのアプローチ
日本産クラフトビールの利点は、もう一つあるのだそう。
前村さん
やっぱり、英語とかカタカナ表記の海外産よりも、初めて飲んだ人に覚えてもらいやすいんですよね。
たとえば“湊川”とか“せとうち”とか、ひらがなや漢字、日本の地名が入っている。すると、実は地元がこのビールと同じで~、など会話のきっかけになることも少なくないんです。
まずは地元のビールから、クラフトビールに親近感を持ってもらう、ということですね。
おすすめのブルワリー&ビール
取材時のラインナップの中から、おすすめのビールを4点選んでいただきました。
TENYA STEAMING MODE(あおぞらブルワリー/福岡)
ラガーとエールビールのいいとこ取りのスタイル「カリフォルニアコモン」。
ラガーらしいシャープな口当たりがありながら、麦芽の甘みとエール特有のフルーツのニュアンスが爽やかに広がります。余韻にはキリッとした苦みも。
スモークエール(丹波路ブルワリー/兵庫)
お次は地元兵庫、山間部に広がる丹波市の醸造所から。ブナの樹で燻製した麦芽を使用したエールビールです。
モルトをスモークするスタイル自体が珍しく、意外と食事にも合わせやすいのだとか。麦芽の味わいの表現に長けたブルワリー。
Pacifica(Let’s Beer Works/東京)
こちらは、関西での流通が非常に少ないブルワリー。どんなスタイルでも、王道を現代的にアレンジするのが上手いオールラウンダーなのだそうです。
選んでくれたウエストコーストIPAは、麦芽の甘みとホップの苦みの調和が見事。
恒河沙〔ごうがしゃ〕10^52(HORSEHEAD LABS/静岡)
最後を飾るのは、2022年1月創業と新参ながら、全国から注目を集めているブルワリーの一本。
古風なスタイルに独自の解釈が光ります。甘いイメージの強いNE IPAを、オーツ麦と小麦でなめらかかつドライな、食中酒でもOKな仕上がりに。
地域・素材をフィーチャーしたイベントも
前村さん
わざわざ来てもらうにはどうすればいいかを常に考えています。そのためにも、面白いなと思ってもらえることをやりたいんですよね。
全タップを兵庫など地名で揃えたり、桃を使ったビアスタイルオンリー、つまり素材縛りなども構想中。
2023年には、1月17日の阪神淡路大震災と、3月11日の東日本大震災の時期に合わせて、それぞれ兵庫産、東北産のブルワリーでタップを統一する、チャリティーも兼ねたフェアが催されました。
今後は、グラウラーやサーバーの貸し出しなど、量り売りやシェアを通してクラフトビールに親しんでもらう試みも行なっていくそうです。
コンビニで買える、安価なクラフトビールからでOK!
最後に、筆者の取材記事では定番になりつつある、初心者へのアドバイスを伺いました。
前村さん
まず、週末の贅沢としてクラフトビールを開けませんか? ビールって、日常的に飲む酒のイメージがあるんですが、それと分けて考えてみるという。
ワインやウイスキーのように、酒単体でじっくり味わう楽しみを覚えてもらうのがいいのではないでしょうか。
前村さん
本当に、コンビニで買えるような安価な一本でいいんですよ。それが美味しいと感じたなら、ちょっと違うのも飲んでみようかな、と思うタイミングが来るはずです。
新たなビールとの出会いを求めて、穏やかな時間が流れる神戸・湊川にぜひ足を運んでみて。
店舗情報
- 店舗名:CRAFT BEER SHOP TRIANGLE(クラフトビールショップ トライアングル)
- 住所:〒652-0041 兵庫県神戸市兵庫区湊川町5‐1‐6
- TEL:なし(予約不可)
- 営業時間:13:00~21:00(CLOSE)
- 定休日:月曜
- 席数:スタンディング8席
- たばこ:禁煙
- 交通アクセス:神戸市営地下鉄湊川公園駅、神戸電鉄湊川駅より徒歩8分。神戸市バス⑦⑨系統熊野前駅より徒歩2分
- SNS:公式Instagram @craftbeershoptriangle
- オープン年月日:2022年7月1日
前村さん
ビールって漢字で書くと麦酒、やっぱり麦の酒なんですね。最近はホップに注目されることが多いですが、麦の味わいの出し方が上手なビールに個人的には目がいきがちです。