本当にすっきり爽快な日本酒とは?|清涼感溢れる日本酒5選
酒造・メーカー紹介
日本酒の風味を表す言葉として、辛口・甘口に続いてよく目にするのが「淡麗(たんれい)」です。日本酒の説明書きなどで頻繁に使われており「淡麗な味わい」「淡麗辛口」と表記されます。
「淡麗」とは余分な味がなく、飲んだ瞬間にスッと喉を通るような味わいのこと。よりシンプルに言い換えると、すっきりとした日本酒というニュアンスになります。
つまりすっきり系の日本酒が飲みたい時には「淡麗」なお酒を選べばよいということ。
本章では「すっきり系の日本酒」をテーマに、日本酒の風味のタイプや選び方、おすすめの銘柄を紹介していきます。
コンテンツ
日本酒の味のタイプとは?
日本酒のタイプは「甘口」と「辛口」の2種類に分けられます。この2つは、日本酒の味わいを表現する際に使用されますが、実際には明確な定義は存在しません。
糖度(糖度)と酸度によって判断されるのが一般的であるものの、明確に「数値がいくつ以上は辛口(甘口)」と決まっているわけではありません。
とは言っても日本酒度(糖度)が、甘口・辛口を区別するための一つの指標となることには違いありません。糖分を中心とした成分が多い場合、数値はマイナスで表現されます。
逆に成分が少ない場合は、プラスの数値となり「辛口」と判断できるのです。
もちろん甘口と表現される日本酒であっても、後味によってすっきりと感じられることはあります。ただしこの場合は、飲んだ人によって感じ方に違いが生じます。
そのため本記事で言うところの「すっきり」とは、あくまでも淡麗辛口であると認識してください。
すっきりとした日本酒の選び方
すっきりとした日本酒を探している方は「精米歩合」「酒蔵があるエリア」「味のタイプ」といった3点に注目して、飲む銘柄を決めましょう。
本章ではすっきりとした日本酒を選ぶ方法(探し方)について解説していきます。
精米歩合をチェック
精米歩合が50%以下であれば大吟醸酒、60%以下であれば吟醸酒となります。すっきりとした日本酒を探している方は、ひとまず精米歩合の低いお酒を選んでみてください。
精米歩合とは、米の外側を削り落とし、使用する原材料の割合を表した表記です。つまり精米歩合が低いほど多くの部分が取り除かれており、すっきりとした味わいと華やかな香りの日本酒を作れるのです。
また精米歩合は低いお酒は、飲み方もポイントです。しっかり冷やした冷酒として楽しむことで、爽やかな香りが一層引き立ちます。
酒蔵のあるエリアをチェック
北海道といえば、冬は厳しい寒さが続くことでしょう。気温の低い地域は、酒造りに適しており、北海道では淡麗辛口の日本酒が人気。
秋田や宮城、山形、福島でも、基本的に淡麗辛口が主流であり、青森県ではすっきりとした淡麗甘口の日本酒も造られています。
中部地方(新潟・福井・山梨・静岡・岐阜)では、キリッとした飲み口の日本酒を多数製造。日本海側では、吟醸酒や純米酒などの高級酒の生産比率が高く、銘醸地域として知られています。
すっきり系のおすすめ日本酒5選!
すっきり系(淡麗辛口)の日本酒は、数多く流通しています。お店で「すっきりとした日本酒はどれですか?」と尋ねると、おすすめの銘柄をいくつも紹介され、結局選べないこともあるでしょう。
本記事の後半からは、筆者がおすすめしたいすっきりとした日本酒を5つ、紹介していきます。
北雪|北雪酒造(新潟)
北雪を開封すると、まず感じるのはフルーティーな香り。ワインを思わせるマスカットの香りが漂ってきます。
ひと口飲むと、口いっぱいにその香りと甘みが広がるものの、大吟醸らしい後味の引き締まりも感じられます。吟醸酒らしい豊かな香りと米の甘みがありながらも、後味はすっきりに。
全体の風味が引き締まっており「甘さとすっきりさ、どちらも欲しい」という方におすすめです。
白川郷|三輪酒造(岐阜)
ユネスコ世界文化遺産である白川郷。この地名が付けられた、三輪酒造のにごり酒もすっきり系のお酒としておすすめです。濃厚なイメージの強いにごり酒ですが、意外にも飲んでみるとすっきりとした甘さが伝わります。
こちらの純米にごり酒は、甘味と酸味のバランスがとにかく絶妙。米の自然な旨味を豊かに味わえるにごり酒らしさと、爽やかさを兼ね備えた1杯が楽しめます。
にごり酒でありながら甘ったるくない、かといってよくある淡麗でもない、個性的な風味のお酒です。他にはない味わいであり、一度は飲んでみる価値があります。
阿部勘|阿部勘酒造(宮城)
こちらは阿部勘から登場した、夏にぴったりな夏季限定の純米吟醸。もっとも印象的なのは、さらさらと飲みやすい口当たりです。暑い夏をイメージして酸味を高められており、爽快な味わいをお楽しみいただけます。
宮城県を代表する酒米「ササニシキ」と「蔵の華」を、55%精米して醸造されています。
ラベルは一見シンプルですが、裏側から見ると驚きがあります。なんと、涼しげに泳ぐ金魚が描かれているのです。ぜひ金魚を眺めながら味わってください。
別嬪|鯉川酒造(山形)
従来の吟醸香のような甘い香りは感じられないものの、熟成した香りがあります。口当たりはさらっとしており、すっと口に広がるでしょう。日本酒度は+6であり、酸度も1.6とやや高めです。この数値通り、しっかりとした辛口であり、酸味も感じられる日本酒です。
また、アルコール感も強く感じられます。熟成した味わいもあり、太さの中に複雑な味わいが感じられることも特徴。濾過はできるだけ控えめにおこない、多くの旨味を残すようになっています。
淡麗のすっきりと飲み応え、どちらも兼ね備えたお酒です。
三井の寿|みいの寿(福岡)
「三井の寿」は遊び心に満ちた魅力とキレのある味わいが特徴のお酒です。昨今話題となっている、スラムダンク風のラベルが目を惹く日本酒。
流通仕立ての頃は、試験的な位置づけでしたが、大変な好評を受けて定番商品となったのが、写真に写っている「ダブルA面ラベル(片面は「スラムダンク」風ラベル)」です。
山田錦と9号酵母を使用した、王道の組み合わせとなっています。日本酒度+14のキレと、三井の寿らしい旨みが残された風味。
どこまでもすっきりとしているお酒なので、飲み飽きしない晩酌のお酒としておすすめです。