第7次ワインブームの要因は日本ワインだった! ~日本ワインの歴史~
ワインの知識
ワインの消費量は平成の30年間で3倍以上になりました。そして、2012年あたりから日本では第7次ブームを迎えたと言われています。
こういったお酒の「ブーム」といわれているものは、焼酎やクラフトビールが第3次までが確認できるので、ワインの7回は多いです。
ではその歴史をたどってみましょう!
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日本のワインとの歴史
始まり
本格的なワイン造りの始まりは、日本が鎖国していた江戸から明治となり日本全体が西洋文化を取り入れ始めた頃。政府も日本の近代化推進した政策、殖産興業の一つとしてワイン造りがありました。
1877年には民間の大日本山梨葡萄酒会社(通称:祝村葡萄酒醸造会社)ができました。
この会社ではワイン造りを学ばせるために二人の青年をフランスへ派遣します。1年半の修行は今のお留学とは違い生半可なものではなかったと思われます。写真はフランス・シャンパーニュのトロワ市でとられたものですが、被っている帽子は明治天皇からもらったものだということです。
二人に託された思いが大きかったことが分かります。
この会社も殖産興業としてのワイン造りも市場開拓ができていなかったことから、道のりは厳しく、成功にはいたりません。
それでも二人の青年をはじめとしたワイン造りの先駆者たちのフロンティア精神は、語り継がれ、ワイン造りへの情熱を持った人々により歴史は続いていきます。
戦争の悲劇
戦争は日本ワインへも影を落とします。
1940年代半ばの太平洋戦争末期には潜水艦や船に搭載された音波によって相手機器を探索するいわゆる「ソナー」の原料の酒石酸がワインに含まれていることから、本来敵国の飲み物であるはずのワインの生産が奨励されます。
しかし、飲み物としてのワイン造りではなかったために、品質はどんどん落ちていきます。
戦争が終わると国からの援助も打ち切られ、戦争へ協力していたという罪悪感もぬぐえず、ブドウ造りそのものを放棄してしまう人も多かったようです。
それでも元々ワインを造っていた作り手たちは、本来の「美味しいワイン」を造るために細々と生産を続けていました。
7回もあったブーム
そして、いよいよ日本の市場はいくつもの「ブーム」を生み出していくのです。
第1次 食の欧米化によるもの
- 1972年頃
- 1964年の東京オリンピック、1970年の大阪万博を得て、食の欧米化が一気に進みます。ワインの輸入自由化が起こり、日本初のワインブームとなりました。
第2次 1000円ワイン
- 1970年代後半
- 1000円ワインがサントリーから売り出され、手軽にワインが楽しめると人気になりました。家庭でもワインの飲む習慣が生まれ始めたのです。
第3次 地ワインブーム
- 1981年頃
- 地酒ならぬ、地ワインブーム。山梨ではよく見かける、一升瓶ワインのブームでした。山梨では今でも一升瓶ワインを湯飲みで飲む文化も残っているようです。
第4次 高級ワインブーム
- 1989年頃
- 世はまさにバブル全盛期!バブルの要因でもあった1985年のプラザ合意により円高が進み、高級ワインが比較的手に入りやすくなりました。そして、ボージョレ・ヌーボーもこのころ大ブームとなりました。
第5次 低価格ワインブーム
- 1994年頃
- 500円などワインが注目されます。メルシャンのボンマルシェやサントリーのデリカメゾンなどがその代表格。日本の生活にワインが根付きましたね。
第6次 赤ワインブーム
- 1997年頃
- 当時、最大のワインブーム。赤ワインが健康にいいということで起こりました。
ワインに含まれるポリフェノールが心臓疾患の予防になると言われ、皆こぞって赤ワインを飲みました。より西欧化した食文化にはやはりワインが合いますね。
そしてこの時にワインに魅了された人たちが造り手となり、第7次ブームを生み出すのです。
第7次ブーム
- 2012年から
- 今までのブームと違うのは、ワインの消費量が格段に上がったことです。これだけ消費量が上がったのですから、理由は一つではなく、複合的であるとされています。
その中で日本ワインブームのもその一因だとされています。
2020年、輸入ワインは12.3%減少したものの、国内ワインは5.4%増加しています。さらに、「日本ワイン」の出荷量は2014年と比較すると約6%増です。
日本ワインが多様化し、特徴がはっきりしたことが日本ワインブームの要因でしょう。
かつて、明治時代にフランスに渡った二人の青年から本格的なワイン造りが始まった日本。
第6次にワインブームを経験した人たちが、今は造り手となり、日本のワインを格段にレベルアップさせました。日本ワインの歴史は、ワインに魅せられ、ワイン造りに奔走する人々によって支えられているのですね。
今や食生活に欠かせなくなったワイン。
そして日本のバラエティーに富んだ食文化に日、本ワインは寄り添ってくれているのです。