「焼酎でみんなを笑顔にする」地酒業界の未来を垣根を超えて発信、焼酎を世界の蒸留酒へ。-鹿児島県 小牧醸造-
酒造・メーカー紹介
小牧醸造の歴史
「小牧醸造」は明治42年(1909年)に創業した鹿児島県薩摩郡さつま町に蔵を構え、石蔵貯蔵と和甕(わがめ)による仕込みが特徴の焼酎蔵です。蔵の横を流れる「川内川」は豊かな水の象徴として、この地に恵みをもたらせてくれます。
川内川の支流には天然記念物である「カワゴケソウ」が生息し、きれいで豊かな水の象徴となっています。その水質は超軟水であり、やわらかな焼酎の味わいをつくり出す大きな役割を担います。
復興と再建
豊かな水は時に蔵の存続を脅かすほどの災害をもたらしました。蔵は過去に3度の洪水に見舞われ、甚大な被害を受けました。
「小牧醸造」の歴史は災害からの復興と再建の歴史とも言えます。とりわけ2006年の「鹿児島県北部豪雨災害」で蔵は洪水の被害に遭いました。それは私たちの記憶に新しく自然の脅威を改めて思い知ることになりました。
そんななか、大勢の支援者の復興支援のおかげで焼酎造りを再開、復活させることが可能になり、人と繋がることの大切さを改めて感じるとともに私たちが造るべき焼酎の方向性を示してくれたような気がしました。
これまでの100年とこれからの100年
水害から3年後の2009年、蔵の創業100年を迎えるにあたり、小牧の新ブランドをつくるプロジェクトを立ち上げました。その焼酎には100年前の創業の想いとこれから100年の焼酎造りへのチャレンジという想いをこめた焼酎をつくるというものでした。
焼酎のテーマは「これまでの100年とこれからの100年」
使用する麹菌と酵母菌は創業時の113年前から存在していた「秋田今野商店」の「黒麹菌」と日本酒用酵母「1909江戸酵母」を使うことになりました。
しかし「1909江戸酵母」は日本酒に使われるものだったため、温暖な鹿児島での仕込みではもろみの低温管理を徹底して行わないと腐造してしまうとてもデリケートなものでした。
幾度となく試行錯誤をおこない、完成した焼酎は麹由来のスモーキーなかおりに甘いミルキーな風味を帯びたこれまでの芋焼酎にはない新しい香りでした。
これが小牧の新ブランド「一尚」の始まりです。「一尚(いっしょう)」とは「一生=一尚」の意味も含んでいます。
小牧醸造のチャレンジ
人との絆を一生大切にしたいという想いを込めた焼酎は、造りを初めて10数年、今では小牧のフラッグシップと呼ばれるまでの銘柄に成長し、現在もさらなる進化を求めて日々チャレンジを行っています。
現在は日本酒と焼酎を含む地酒業界の未来へつなげる取り組みとして一般社団法人J.S.P(ジャパン・サケ・ショウチュウ・プラットフォーム)に参加するなどジャンルの垣根を越え、多くの方に知って頂ける情報発信を行っています。
また、今後は焼酎を世界の蒸留酒に押し上げるべくアジア、欧米をはじめアフリカ市場へも視野を広げ、焼酎の品質の高さを発信していきたいと考えています。
文:小牧醸造
協力:日本酒鑑定士協会 瀧村健治
編集:LIQLOG