オナジアナノムジナ~ホップマシマシビールでハッピーに☆~
店舗紹介
2023年1月末に、神戸にニューオープンしたタップルーム。「コンセプトはずばり、ホップを楽しんでもらうこと!」と、店主の中林慎太郎さん。
7つのタップは、ホップの印象をしっかりと感じられるものばかり。特に注力しているのはヘイジーIPA。比較的ドライなスタイルも、ペールエールやIPAがほとんど。ラガー系やエール系、濃淡でバランスを取るセオリーを、あえて無視した構成となっています。
コンテンツ
初心者入門にもおすすめしたいヘイジーIPA
そもそもヘイジーIPAって何? という方のために、少しだけ補足しておきましょう。
ビールの苦みや香りのもととなるホップの、フルーティーさを際立たせたビアスタイル。IPAというスタイルの苦みを抑え、果実感を前面に押し出しているんですね。「ヘイジー」とは英語で“もやのかかった”という意味で、色味が濁っているのも特徴。
ビールの苦みが嫌いでも、トロピカルフルーツや柑橘の甘みが立ったヘイジーなら飲める!という方も多いんですよ。
「ホップの新鮮さ」は樽生でこそ際立つ
そして、「ヘイジーIPAは樽生で真価を発揮する」と中林さん。
いつ、どこでも同じ味が飲めて、さらに常温保存できる。そんな大手ラガービールとは対照的に、クラフトビールは冷蔵保存必須で、しかも賞味期限が早いものが主流。
でもそれは裏を返すと、ビン缶や樽に詰めたての、新鮮な状態だからこそ体感できる味わいがあるということなんです。
特にホップの香りは、詰めたての香り高さや、ビン缶と樽の違いがはっきりとわかるくらい、フレッシュさに左右される側面が大きいんです。
鮮度がバッチリ管理された樽生のビールがいかに美味しいか、その魅力はラガービールよりも明確に感じられるのではないでしょうか。
中林さん
帰ってなんとなく物足りないから、家の冷蔵庫のビールもう一本開けちゃう・・・みたいなのを本当になくしたいんです!
ウチの店で満足して気持ちよく寝てもらって、何なら次の日にも副鼻腔内(鼻の奥あたり)にホップの余韻がなんとなく残ってる。
それで、昨日楽しかったな、また行きたいなあって思ってもらう。そんな店を目指しています。
これを飲みに通いたい! と思える二枚看板
取り扱うブルワリーは日本の10社ほどがメイン。現地に直接足を運び、試飲したものばかりです。日本産でも、海外産にひけを取らないパワーを持った銘柄がたくさんある! ということをまずはアピールしていく構え。
特に “Y.Market” と “鬼伝説” は、「ここに来れば飲める!」という二枚看板ブルワリーです。
ルプリンネクター(Y.Market/愛知)
「いつ、どのタイミングで飲んでも、ホップの芳しさが感じられる」と中林さん。
アメリカ系ホップが織りなす、桃や柑橘類、トロピカルフルーツを思わせる香りと甘みはまさにネクター!これだけフルボディな味わいの銘柄を、常設指定しているタップルームは稀です。
金鬼シリーズ(鬼伝説/北海道)
こちらはシングルホップ、つまり単一のホップのみで造られるシリーズ。
ホップごとのキャラクターを知るのに、シングルホップはうってつけ。透き通ったペールエールスタイルながら、香り高く満足感のある仕上がりです。
年間のうち、毎回異なるホップで醸造されるものを、ほぼ全て仕入れているのだとか。
金鬼は、スタートの一杯として想定。淡麗な味わいの基準値にもなっていて、これより濃密で厚みのあるものを重ねていくように、樽の選定が行なわれています。
金鬼から、ルプリンネクターを絡めつつプラス1、2杯飲んでもらう、というのが理想の流れなのだとか。
中林さん
そのほかには、東京の「Inkhorn」や愛知の「Totopia」、あと忘れちゃいけないのが地元神戸の「open air」ですね。どこもひとひねり利いた液種が多くて、いい意味で、あ~造ってる人はヘンタイなんだろうなあ、といつも感じます(笑)。
飲んでると、造り手のストーリーが頭の中に流れ込んでくるというか。そういうものを選んでいきたいですね。
海外産のフルボディ缶も
店内でのみ味わえる(持ち帰り不可)の缶メニューは、海外産中心。IPAだけでなくスムージーサワーやスタウトなど、こちらも濃厚なスタイルがずらり。
海外で人気の高いビールレビューアプリ「untapped」で星4.0以上(星5が最高)の高評価のものをメインに、品質が劣化しにくいコールドチェーンで製造一ヵ月以内のものを中心に仕入れています。
稀少な品も頻繁に登場するので、とどめの一杯はもちろん、SNSでチェックして狙い撃つのもアリ。
また、現在はフードメニューはなく、フードの持ち込み自由。ただしカレーなど、匂いのきつすぎるものは避けてほしいとのこと。
今後は、近隣の飲食店と連携したアテの提供や、ケータリングサービスなどを構想しているそうです。
楽しい!という感覚こそが正解
最後に、初心者の方へのアドバイスを伺いました。
中林さん
頭でっかちになるのは良くないかな、と思います。このホップを使ってるからどうだとか、この色・スタイルだからこんな味に違いないとか。知識に引っ張られて、実際の感覚がお留守になってしまうのはむしろ不幸です。
それよりも、自分の美味しい、楽しいという気持ちを信じてもらって。好きになって、ほんとに沼にハマりたいなら知識を欲するタイミングが自動的に来ます。
それまでは、美味しいビールをSNSでチェックして実際に飲んで、店の人や居合わせたお客さんと意見交換したりして、自分が楽しいと思う方向にただ進んでいくのが大事かなと。楽しめなくなってきたら、飲みすぎかもしれないので休み休みで(笑)。
樽生ヘイジーIPAの美味しさは、一度知るとヤミツキになりそう。ほら、あなたも同じ穴の狢に・・・。
店舗情報
- 店舗名:オナジアナノムジナ
- 住所:〒650-0004 兵庫県神戸市中央区中山手通1-5-9 港都会館1F
- TEL:078‐381-9323
- 営業時間:18:00~23:00(LO22:15)
- 定休日:不定休(SNSでご確認ください)
- 席数:スタンディング9席
- たばこ:禁煙
- 交通アクセス:各線三ノ宮駅より徒歩7分
- SNS: 公式Instagram @taproom_oam
- オープン年月日:2023年1月30日
中林さん
ビールの好みを麦芽(モルト)で判断できるようになるまでには、かなりの種類を飲まないといけないし時間がかかる、と思っていて。それよりも、やっぱりわかりやすいのはホップ。
クラフトビールは高い! ってよく聞きますが、ホップがガツンと来るビアスタイルは、居酒屋で400~500円で飲める大手ラガーとは違った飲み物なんだということが、一杯ではっきりとわかってもらえるんじゃないでしょうか。