”徳島県”の三芳菊酒造を知ろう。おすすめの日本酒5選!
酒造・メーカー紹介
徳島県にある「三芳菊酒造」という酒蔵をご存知でしょうか。独特なラベルが目を惹く日本酒を、数多く醸造している酒蔵です。もちろん三芳菊酒造が醸すお酒の特徴は、ラベルデザインばかりではありません。一つひとつの銘柄は、独特で個性的な風味に仕上がっています。
本記事では、他のどの酒蔵とも違った味わいを堪能できる三芳菊酒造について、その魅力やおすすめの銘柄を紹介します。
コンテンツ
三芳菊酒造とは?
徳島県三好市に蔵を構える三芳菊酒造。江戸時代から引き継がれている、歴史ある酒蔵です。本章では、酒蔵の誕生から現在までの歴史や、蔵が醸すお酒の特徴を解説します。
三芳菊酒造の歴史
三芳菊酒造の歴史は、江戸時代初期まで遡ります。赤穂出身の武士である馬宮家が創業し、蜂須賀小六とともに阿波に入国。その後、馬宮家は徳島県西部の池田地域に配置されました。この時の痕跡は、今でも武家門や武家屋敷として残っています。
1903年(明治36年)になると、酒造事業が始まりました。そして2007年(平成19年)、日本各地の約百の銘柄が競う「純米酒バトル」で、三芳菊酒造の「阿波 山田錦 特別純米 生原酒垂れ口」が最優秀純米酒に輝きました。
三芳菊酒造が醸すお酒の特徴
三芳菊酒造のお酒を飲んだことがある人は、同酒蔵が醸すお酒の特徴は、甘さだと感じているかもしれません。しかし実際に酒蔵が目指している風味は、少し異なります。
三芳菊酒造が酒造りにおいてもっとも重要視しているのは、水とアルコールです。そして香味成分の調和を目標としています。シンプルに言い換えれば、アルコール感を感じずに楽しめる日本酒を追求しているのです。
三芳菊酒造では、このような日本酒を造るため、どのようなアプローチが適しているか長年模索しています。そして最初に注目したのが酵母。徳島県では独自の酵母を開発しており、芳香も非常に強い点が特徴です。
ただし香りが現れるだけでなく、適切な含み香も持っています。香りが非常に濃厚で、甘さがありつつも、味のバランスを保っていることにこそ、酒蔵の技術力が感じられます。
酒造りの手法について
三芳菊酒造が採用している酒造りは、伝統的な製法の逆をいくもの。その理由の1つに、徳島酵母がやや弱い性質を持つため、非常に高温で仕込まなければならないためです。そのため添え麹と仲麹が完全に溶けるよう、総ハゼ麹を使用しています。
発酵の段階でも比較的高い温度を維持します。徳島酵母はもともとわずかに酸性の性質を持つため、酸度を高めるべく温度を上げ、麹を溶かし、酸度を調整します。
酸味を持たない酵母から酸を引き出すことで、従来の乳酸よりもリンゴ酸などの酸が多く生まれるのが特徴です。
もろみの発酵日数を短くすることも重要。弊蔵では、もろみ日数を25日間としています。30日間以上の長期間発酵させると、意図しない風味や味わいになってしまう可能性があるためです。
仕込みの配合が確定したら、もろみに水を加え、追い水はおこなわない方針を採用しています。またタンク内での混合もおこなわず、自然な発酵を促す工程を取っています。
三芳菊酒造のおすすめ銘柄5選!
ワイルドサイドシリーズを代表に、三芳菊酒造では数々の日本酒が誕生しています。本章では、三芳菊酒造から生まれた銘柄の中でも、筆者が特におすすめしたい、以下の5つを紹介していきます。
綾音 純米大吟醸 無濾過生原酒
当社の純米大吟醸は、徳島県で育まれた山田錦を100%使用しています。濾過せずに仕込んだことで、新鮮な風味と香りが際立った逸品です。独自の酵母を用いた発酵により、特有の風味がお楽しみいただけるでしょう。
ワイルドサイドを歩け! 妬み
こちらは岩手県喜久盛酒蔵とのコラボレーションによる酒です。喜久盛酒造の銘酒「嫉み」と掛け合わせたプロジェクトであり、三芳菊酒造が通常使用する徳島酵母と、喜久盛酒蔵が通常使用する「ゆうこの想い」という酵母を交換することで誕生しました。
お互いの酵母に対する深い興味や共感から命名されたともされています。しかしネガティブな意味ではなく「妬んでしまうほど良い」など、相手への敬意を表したネーミングと考えておくと良いでしょう。
通常の徳島酵母を用いて醸造される三芳菊と比較すると、この酒は甘みが鮮明でありながらも酸味は穏やか。非常に飲みやすい仕上がりとなっております。なお『ゆうこの想い』とは、「you」と「この想い」を組み合わせた言葉であり、様々な思いや願いが込められています。
ワイルドサイドを歩け! 楽器×トランプラベル
新酒である「WILD SIDE 袋吊り雫酒」。もろみを袋で吊って、自然にしずくが垂れた部分を採取して誕生した、袋吊りしずく酒です。「壱 生原酒」と比べても、より味わいが伸びやかであり、口の中に広がる瑞々しいパイナップルのような旨みが特徴です。
その衝撃は、通常のお米で造られたお酒とは比較できないほどです。酸味も活発であり、トロピカルな雰囲気を醸し出しています。
三芳菊の商品ラインアップの中でも、もっとも軽快な風味が楽しめる1杯であるため、初めての方にもおすすめです。
ワイルドサイドを歩け! 雄町60
ワイルドサイドを歩け!シリーズの「雄町60」です。これまでの三芳菊とは異なる素晴らしい風味が広がっています。口に含んだ瞬間に広がるジューシーな香りがあり、後味にはドライでキレのある旨味が、絶妙なバランスで組み合わさっています。
余韻にはお米の複雑な味わいも微かに感じられ、それもまた楽しいポイントでしょう。
ワイルドサイドを歩け! 責めブレンド 無濾過生原酒 残骸2
その名に相応しく、責めの要素が集約されてブレンドされたお酒です。その内訳は、阿波山田錦が30%、岡山雄町が30%、五百万石が40%。残骸という言葉は、ネガティブな印象がついてしまいがちであるものの、どこか「カッコいい」と感じるのが三芳菊の特徴です。
写真は第二弾と称して販売されたものです。ラベルもより深みのある雰囲気を醸し出しています。複雑な旨味が段階的に調和していくお酒です。