仲間と共に抱く「イタリアで日本酒を造りたい」という夢。自由な発想で醸す ”クラフトサケ” -福岡県 LIBROM Craft Sake Brewery-
酒造・メーカー紹介
LIBROM Craft Sake Breweryについて
- 2020年7月 「株式会社 LIBROM」設立
- 2021年5月 「LIBROM Craft Sake Brewery」オープン
- 2021年6月 製造開始
代表取締役「柳生 光人」氏
2015年の夏に「イタリアで日本酒を造りたい」という夢を抱き、当時大学4年生だった私は、大学の教授を説得し、東京のアパートを引き払い、山口県に移り、「新谷酒造」に見習い修行へ。
3月の卒業式だけ出て、そのまま4月から正式に「新谷酒造」で修行。同じ時期に中学からの同級生で同じサッカー部として汗を流した穴見(LIBROM醸造責任者)はドイツに3年間サッカー留学しており、帰国したタイミンングで私の夢を語ったところ「俺も一緒に夢を追いかけたい」と。
最終的にイタリアで一緒に酒造りをするなら、それぞれ別々の酒蔵で修行しようと話し、穴見は広島へ。
私は1年間の「新谷酒造」での修行後、石川県の農口尚彦研究所の1期生として3年間農口杜氏のもとで学び、穴見は広島の次に新潟県の「阿部酒造」で3年間学び、それぞれ4年間づつ酒造りに従事し、いざイタリアかと思った時にコロナウイルス感染拡大が流行し、「今はまだイタリアに行くタイミングではない。まずは地元福岡で酒造りをしよう」と話合い、福岡の中心地、博多、天神から徒歩圏内の街中にマンション1階で醸造所とPubを併設したお店を立ち上げました。
しかし日本国内で日本酒を造る場合、新規に「清酒製造免許」を取得することはほぼ不可能。そこで日本酒の醸造過程で副原料を添加する製造方法(その他の醸造酒)でお酒造りをすることにしました。
原料は福岡県産にこだわり、水は水道水をフィルター濾過し、副原料は福岡県産の果物やハーブ、お花を使用しております。
副原料は農家さんと直接お取引し、こだわりや想いを聞いて、その想いを反映させたお酒造りを心がけています。
実は私も穴見もお酒は弱く、穴見はおちょこ一杯で酔っ払うほどです。
日本酒にあまり馴染みのない方や、アルコールが得意でない方にも日本酒文化を知ってほしい、日本酒の入口となるようなお酒を造りたい。そんな想いから日本酒らしさはありながらもフルーツやハーブによって香りや味をつけ飲みやすく、アルコール度数も低めになっています。
使う副原料によって製造方法を変え、白麹を使用したり、黄麹と白麹の比率を変えたり、人工乳酸を添加せず、白麹を使用せず、レモンのクエン酸だけで速醸酒母を立てる「レモン酒母」も確立させたり、自由な醸造スタイルでお酒造りをしております。
目指していることはイタリアでのお酒造りですので、イタリアを想定したお酒づくり。例えばイタリア米で仕込んでみたり、飯米、低精白で仕込んでみたり、山廃、生酛も挑戦したいと思っております。
文:日本酒鑑定士協会 瀧村健治
編集:LIQLOG