「酔い」とは何か? ~楽しいお酒にするために~

お酒の基礎知識

「酔い」とは何か? ~楽しいお酒にするために~

今回は、お酒全てに共通する基礎知識をひとつ。

特にお酒を飲んだことがない方にとっては、「酔う」というのがどういう状況なのか、話には聞いたことがあるけど実際はよくわからないですよね? せいぜい保健体育の授業で習った記憶がうすぼんやりとあるぐらい。

そもそも「酔い」とは何で、どうなることなのか。それを理解すれば、対策も立てやすく、もっと心地よく酔えて次の日もシャッキリするはず!そうなることを願って、まずは酔いそのものについて学び、次回の記事で具体的な対策を紹介したいと思います。

それではどうぞ!

 

酔い=アルコールが脳に達すること

酔い=アルコールが脳に達すること

酒は身体中を駆け巡りながら、分解されるのを待つ

いきなりこわいキャッチコピーですいません・・・。でも、これを知っておくことが楽しく酔うには大切。

“血中アルコール濃度”という言葉、見たり聞いたりしたことありませんか? これは何なのかというと、肝臓で分解されるはずのアルコールが分解されずに血液内に残っている、要はその濃度のことなんです。

アルコールは胃で5%、小腸で95%が吸収されます。そこから血流に乗って主に肝臓に送られ、分解されるんですね。でも、肝臓が時間当たりに処理できる量は限られている。分解され尽くすまでのあいだ、アルコールは血流とともに体内を駆け巡りながら、順番を待つ。そんなイメージを持ってもらうといいでしょう。

 

酒は身体中を駆け巡りながら、分解されるのを待つ

 

そしてその循環したアルコールが、脳細胞や神経細胞に影響をおよぼすことを「酔い」と呼んでいるというわけ。血中アルコール濃度が上がれば上がるほど、この作用は強まるので、酔いが深くなるんですね。

「お酒に強い人は肝臓が丈夫」というのは、肝臓におけるアルコール(厳密にはアセトアルデヒド)の分解能力が高い、という理屈が、これでかなりはっきりとおわかりいただけたかと思います。

本来の体質に合った量を知ろう

ここからお酒を楽しく飲むための、具体的な解説に移りましょう。

「鍛えて強くなった」すぐ元に戻る

「鍛えて強くなった」はすぐ元に戻る

 

周りにこう公言している人、いませんか? 元々は弱かったのに、飲んでるうちに強くなった、というやつですね。実はこれ、数日で効果は薄れて、一週間もお酒を飲まなければ本来の体質に戻ってしまうのだとか。

さらに、「鍛えて酒に強くなる」ことは薬の作用にも悪影響をおよぼします。詳しいメカニズムは割愛しますが、薬を適量飲んでも効きにくくなったり、逆に効きすぎてしまったりするんです。

なので、「酒は鍛えて強くなるものではなく、本来の体質に見合う範囲で楽しく味わう」ものだと心得ましょう。

アルコール酩酊期

アルコール酩酊期

 

では、“本来の体質に合った量”をどう見極めるのか。

血中アルコール濃度に応じて心身にどのような兆候か出るのかをまとめた「アルコール酩酊〔めいてい〕期」というものがあります。この二段階目の“ほろ酔い期”のあたりで留めておくのが、良い酔い方だと言えるでしょう。

具体的な兆候を、ステージ1~4を比較しながら見てみます。

1. 爽快期

  • 陽気になる。
  • 皮膚が赤くなる。

2. ほろ酔い期

  • ほろ酔い気分。
  • 手の動きが活発になる。
  • 体温が上がり、脈が速くなる。

3. 酩酊初期

  • 気が大きくなる。声が大きくなることも。
  • 立てばふらつく。

4. 酩酊極期

  • 何度も同じことをしゃべる。
  • 千鳥足。
  • 吐き気をもよおす。

 

はい、いかがでしょうか。見覚えのあるワードがいくつか並んでいると思います。本当はステージ6まであるのですが、4以降はもう、「それ以上いけない」とだけ言っておきます。

ほろ酔い気分ははじめのうちはわかりにくいと思いますが、暑くなってきた・話しながら身振り手振りが大きくなっている、と感じたら、そろそろやめておくか、せめて水を挟んで休憩することをおすすめします。

声が大きくなったり、トイレなどに立ったときにふらつくようなら、もう酔いすぎです。

純アルコール量20g

純アルコール量20g

 

アルコール酩酊期では、けっきょく自分の感覚に頼る部分が大きくてわかりにくい。そういう方は、厚生労働省が定めた一日のうちでの「節度ある適度な飲酒」量を参考にしてみてもいいでしょう。

“純アルコール量20g”は、主要なお酒に換算すると以下のようになります。

 

  • ビール/5%/ロング缶 1本(500ml)
  • 缶チューハイ/7%/缶1本(350ml)
  • 日本酒/15%/1合(180ml)
  • 焼酎/25%/ロックグラス半分(100ml)
  • ワイン/12%/グラス2杯弱(200ml)
  • ウイスキー/43%/ダブル1杯(60ml)

※酒種/アルコール度数目安/量目安

 

一般的に女性のほうが男性よりもアルコール分解速度が遅く酔いやすい、とされているので、女性は上記の1/2または2/3程度が適量と考えられています。

血中アルコール濃度を急激に上げない

お酒を実際に飲む場では、これを意識しましょう。具体的なコツはこんな感じ。

① 空腹で飲まない

①空腹で飲まない

 

すきっ腹にアルコールは効く、とよく言われますがこれは本当のようです。空腹で飲むと、アルコールの大半が吸収される小腸に、酒がすぐに達してしまい、血中アルコール濃度がまたたく間に上昇してしまいます。胃のなかに食べ物があることで、お酒も胃に留まり、アルコールの吸収が穏やかになるというわけ。

特に「油分を含む食べ物」が最適。揚げ物も悪くはないですが、おすすめはチーズや、オリーブオイルなど油を含んだドレッシングのサラダ、魚介のカルパッチョ、アヒージョなど。はじめに食べる前菜に少し気を配るといいですね。

② 一緒に水を飲む

②一緒に水を飲む

 

これもやはり効果があります。特にアルコール度数が10%を超える酒はもうじゅうぶんに高アルコールと呼ばれるので、特にそれらを飲む場合には、チェイサーとして水を忘れないようにしましょう。

③ 一気飲みは厳禁!

③一気飲みは厳禁!

 

最後にこれも念のため。ここまで読んでいただいた方なら、一気飲みがいかに悪い飲み方かわかってもらえたはず。水を常にかたわらに置いておきながら、一杯分をできるだけゆっくり飲むこと。特にお酒に弱い人はこれを心がけてみてください。

 

次回は実践編。すぐに取り入れられる酔い対策と、飲酒計画の立て方、飲みすぎてしまったときの対処法も併せてご紹介します。ぜひ一緒に読んでみてくださいね!

 
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