複数の酒蔵の思いを伝承!七色に光る酒造りを行う蔵元。 ~静岡県 駿河酒造場~

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複数の酒蔵の思いを伝承!七色に光る酒造りを行う蔵元。 ~静岡県 駿河酒造場~

この十数年、静岡県の酒飲みの間でいつの間にか、自然な形で定着していた日本酒があります。銘柄「天虹」。こちらを生み出す駿河酒造場の歴史は若く、静岡市駿河区西脇でスタートさせたのが2010年のことです。専務兼杜氏である萩原大吾さんにお話を伺いました。

 

専務兼杜氏:萩原大吾さん

専務兼杜氏:萩原大吾さん

 

老舗の酒蔵から受け継いできた酒造りの魂

老舗の酒蔵から受け継いできた酒造りの魂

 

萩原杜氏

立ち上げ当初、萩の蔵事業部として、菊川市の森本酒造で間借りをしながら酒造りの指導を受けました。その後、掛川市の休眠蔵「曽我鶴」の場所や設備をお借りして、曽我鶴・萩の蔵酒造を始めたんです。

6、7年経った頃、「忠正」で有名な静岡市内の老舗吉屋酒造が後継者や杜氏の高齢化問題のためやめてしまうことになり、設備を譲ってもらって2010年駿河酒造場としてスタートしました。商業施設だったこの場所が空いていたのもちょうど良いタイミングだったんです。

お米と微生物が生み出す酒造りに挑戦!

お米と微生物が生み出すお酒造りに挑戦!

 

大吾さんの叔父にあたる萩原吉宗さんが森本さんから指導を受けてきた流れや江戸時代から続く忠正、曽我鶴の味わいなどを受け継ぎながら、辛口でキレのある酒造りを目指していると話してくれた萩原杜氏。

 

萩原杜氏

今の場所に越してきたことをきっかけに造り手としてやってみたいなという思いがあって。岩手の南部から経験豊富な杜氏が来ていたので色々聞きながら。最初は何も分からず作業しているだけだったけど、徐々に面白くなっていったんです。

それまで「にしきや」で小売業をずっとやってきました。酒造りは分からない世界だったので、覚えることなど必死な部分も多かったんです。お米と微生物だけでお酒ができるのが不思議で、小売の時は出来上がったお酒を味見するだけだったけど、こうやって造っているんだなぁ、大変だなぁと思いましたね。

キレのある飲みやすい味わいを目指すための努力

キレのある飲みやすい味わいを目指すための努力

 

控えめながらも、酒造りに対して真っ直ぐで純粋な思いを感じさせる萩原杜氏の眼差しが印象的です。日々、酒造りを積み重ねていく中で、どういったお酒を造りたいと思ったのでしょうか。

 

萩原杜氏

基本的にキレのある酒が好きというのが自分の中であって、そこに対してどういう風に、今風な感じというか、綺麗なお酒にするにはどうしたら良いのかというのを色んな話合いをしながら考えました。

お米洗いや原料処理など、そういうところをきちんしないと綺麗なお酒にならないよと教えてもらったので、そこは今でも大事にしています。まずは、米の洗いからスタートする。神経を使っているところはあちこち笑。

安倍川の伏流水がもたらす柔らかな水

安倍川の伏流水がもたらす柔らかな水

 

安倍川の伏流水を使用したかったのもこの地で始めた理由の一つ。小売業を営む「にしきや」本店の店内には、酒造りに使われている鮮度あるお水を安価で購入できるサービスが実施されています。お茶を淹れたり、お米を炊いたりと一度使うと元には戻れなくなるくらい違いがあるとのこと。

 

萩原杜氏

柔らかい水なので、その感じがお酒にも出ている。締まった感じや柔らかいお酒。現状は綺麗なお酒ですけど、ちょっと味わいも出すようなスタイルにしているので、そこも相まってトゲのない、柔らかくてキレのあるお酒ができているのではないかと思っています。

遊び心と実直さの両立

遊び心と実直さの両立

 

掛川時代に造られ始めた「天虹」は、多彩なラベルや絞り方の違いなど細やかな楽しみ方ができるブランド。どんな味わいの違いあるのだろうと消費者をワクワクさせる遊び心を感じさせます。

 

萩原杜氏

遊びと言ったらおかしいですけど、自分達の新しいことをやりたいような形で上手く色々やらしてもらっているブランドなのかな。基本はブラさずにやりたいなと。実験的に、基本の幅、経験値の幅を増やしていければなぁと。それが主流になってくれればと思うところもある。

造り方はだいぶ変わってきているというか、米を洗うなど基本全部手作業。人の手でやる作業は以前よりも増やしている。自分がやり出して2年目くらいから搾り方も全部大吟醸の搾り方に変えました。袋で取って槽で搾るに変えたり、酒母の造り方も色々とお試しな形でやってみたり。

料理との好相性は濃いめの魚の煮付け

料理との好相性は濃いめの魚の煮付け

 

気温の変化や高温障害によるお米の質など山積する問題と丁寧に向き合いながら、「今あるものをありがたく使っていきたい」と謙虚に話される萩原杜氏。駿河酒造場が醸す美味しいお酒と料理の相性を伺いました。

 

萩原杜氏

キレのあるお酒を造っているので料理全般に合うのかなぁと。主流は味の濃いものや油っぽいものというのが皆さん食べているのかなと。そこにも合うタイプではあるかな。キレのある辛口。自分は、魚なら味のしっかりした煮付けとかをつまみながらお酒を飲む。その辺を意識して味わい造りをしています。

守りたいもの、チャレンジしたいこと

守りたいもの、チャレンジしたいこと

 

綺麗な飲みやすさで、若い方にも受け入れられているのが駿河酒造場のお酒。日本晴や美山錦などを酒米として主に使用しています。また、小売業を営むことでお客様から生の声を伺えるというメリットを活かし、酒造りに反映されているとのこと。最後に、守りたいものチャレンジしたいことをお伺いしました。

 

萩原杜氏

伝統ある職業、仕事だと思うので、そこには誇りを持ちながらやっていきたい。そういうつもりでやってきてはいたけれど、より意識しながらやっていこうかなと。忠正から受け継いだものとか、森本さんからの流れ、さらに自分達のものも含め色々あるので、そういう思いを含めてより色んな表現をしていきたいと思います。

自分の後を継いでくれる人がいれば、そういう思いを伝えながらやっていってもらえれば良いかなと思いますし、日本酒が無くなることはないと思うのでそこに残れるように細々とはやっていきたい。

今あるスタイルをブレさせるのではなく、広げていけるような要素というのを取り入れながらやっていければと思っています。

 

 

とても控えめながら、丁寧に、実直に酒造りと向き合う萩原杜氏。一つひとつの工程を大事に扱う姿勢が垣間見えます。大切に生み出されたお酒を購入できるのが、おいしい酒たのしい酒の専門店「にしきや」。2店舗とも取扱のラインナップが違う面白さがあるので、一度訪れて、比べてみるのがおすすめです。

 

様々な酒蔵の魂を受け継ぐ七色の酒「天虹」

様々な酒蔵の魂を受け継ぐ七色の酒「天虹」

 

そこでご紹介。お客様の声を活かしながら、柔軟な遊び心も持ち合わせた「天虹」の一部です。どれにしようか迷った時は店内の素敵なポップが参考になります!自分にぴったりな一本を選んでみませんか。

複数の酒蔵の思いを伝承!七色に光る酒造りを行う蔵元。 ~静岡県 駿河酒造場~

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