異国の香りを楽しめるチーズとビールが秀逸!~静岡県 GARCIA CHEESE & GARCIA BREWING~
酒造・メーカー紹介
雄大な富士山を目の前に眺める静岡県清水区の三保街道沿いに、チーズ工房とブルワリーを構えるGARCIAがあります。シンプルな佇まいの中に夢や情熱が凝縮された空間が広がっており、素敵な笑顔でビール好きを出迎えてくれます。
GARCIAを立ち上げたのが、南米ペルーのリマで育ったジャン(兄)とフレディ(弟)の兄弟。きっかけは、ペルーの会社運営のために日本へ出稼ぎに来たことから始まります。ジャンを父に持つ専務取締役・喜納誠侍さんにお話を伺いました。
コンテンツ
出稼ぎから生まれた新たなストーリー
良いモノを作りたいという熱意
チーズ工場から始めますが、当時は言語の壁が高く、テナントの問題や資金繰りなど苦労も多かったとのこと。自動車工場や水産工場などでこつこつと働き、一から資金を貯めて機材を買うなどしながらビール工場を立ち上げていきます。
喜納さん
自分たちの手で何か良いモノを作って、良いモノを提供して。それを仕事にしていきたいという想いが強かったです。もちろん商品に対しての情熱もありますし、技術的な部分も物凄く繊細にやっています。
実は牧場を作ることが夢なんです。南米で人気のあるケソフレスコ(フレッシュチーズ)を作りながらチャンスを狙っていました。そのチーズづくりが一つの形として、今仕事になっています。
縁が繋がった日本の清水という土地
ジャンとフレディが時間やお金、労力をかけ積み上げてきたチーズ&ビール造りは、二人の愛着や情熱と共に知名度も上がり、全国でも販売されるようになっていきます。清水という土地を選んだ理由をお伺いしました。
喜納さん
清水に同じ国の知り合いが居たんです。清水の25年前を考えるとマグロとか工場が盛んで、外国の方がすごく多かった。その繋がりがあって本当にたまたま清水に辿り着きました。
兄弟が描く夢は牧場を持つこと!
夢の牧場を考えた時、富士宮市の朝霧高原が候補にありましたが資金的な問題が浮上。チーズづくりに欠かせない上質な牛乳は取りに行くこととなり、そのまま清水に留まり続けます。清水区三保の土地とチーズ&ビール造りの相性をお伺いしました。
喜納さん
始めづらいという感覚はあまりなかったように思います。地方の中でも意外と外国人が近くにいる環境で、リマと気候もさほど変わらない。それにペルーに比べたら日本は静かなので。
夜も全然クラクションの音が鳴らないとか笑。そういう意味ではすごく穏やかで、相性的にはむしろ良い!良かったからこそ、20年以上の今もここで続けられています。
GARCIAが造る魅力的な味わい
ビールを担当するフレディはアメリカンやベルギー系、ドイツ系など全般的に各スタイルの味わいが好きとのこと。自分が美味しいと思う味わいを目指し、それはお客様にも伝わるはずと感じていらっしゃいます。
喜納さん
定番が4種類あって、全部違う国のスタイルを幅広く提供しています。飲むものによって本当に味が違う。他のお店だと一定の味が好きなお客様が集まるんですけど、うちのお客様は全員が一緒というよりも、好みの違う各スタイルのビールを飲みに来てくれるというのが面白い。
ビール造りとチーズづくりの二刀流
その時の気分で選べるのも一つのポイント。さっぱりしたい時やガッツリ系を選びたい時もGARCIAに行けばその時の欲望が満たせるのが最大の魅力です。さらに、筆者もいただいたチーズ(ケソフレスコ)とビールとの相性が最高に素晴らしく、旨さが倍増するように感じました。
喜納さん
ケソフレスコは南米やスペインでよく食べられているチーズです。日本でいうフレッシュチーズはモッツァレラが有名ですが、そういう感覚でチーズといえばこれみたいなイメージ。
味は向こうの方がもう少ししょっぱいかもしれませんが、うちは日本向けに塩味を抑えているんです。
意外にも日本的な料理に合う懐の深さ
幅広いスタイルが楽しめるGARCIAのビールは様々な食事との相性を楽しめます。喜納さんのおすすめをお伺いしてみました。
喜納さん
IPA系には肉料理が合います。他にも日本平やラガーには日本の家庭料理。肉じゃがや野菜炒めとか。他にも全般的に合うかもしれません。IPA HAZYにはジャンクフード系が合う。
難易度の高いペアでおすすめなのが、IPAと静岡おでん!うちはガッツリ苦味が残るタイプではなく、後味がすっきりしているので相性は良いと思います。
新たな領域のビールを楽しむ!海底熟成プロジェクト
注目すべきは、全国で一番最初にビールを沈めたという海底熟成プロジェクト。三保の先端にあるゴーシーズという施設のダイバーたちと協力して挑戦している海底熟成のビールです。バーレーワインというビールを造り、冷蔵庫・ワインセラー・海底と3パターンの熟成を試作されたとのこと。
喜納さん
瓶で約3ヶ月熟成しています。造った時の最初のテイスティングと一番近かったのが冷蔵庫。飲み比べると、海底の方がセラーより丸くて飲みやすかった。なんか想像と違う感じに出来上がっていて、これはこれで面白いと感じました。味も違うし、香りも違う。
自信を持って海底熟成ビール超うまいです!どうぞ。まではもう少し後の話で、今は面白半分で飲んでくださいみたいな、一つの話題のきっかけになればいいかな。
守りたいもの、チャレンジしたいこと
喜納さん
環境の変化に柔軟に対応するためにも常に地に足をつけ、こつこつと上を目指す!上には上が絶対たくさんいるので、天狗にならないこと。何かあった時にも踏ん張って、少しずつ少しずつ‥とみんなで考えています。
例えばイベントを開いて、全国のブルワリーをビアフェスに呼ぶとか、商品を通して全国の方に清水を知ってもらうとか、清水、静岡といったらGARCIAとなるように地元を盛り上げることがチャレンジしたいことです。
ラベルに清水の景色や風物詩を入れるようにしたり、商品名に地元の名前を入れたりとかしていますが、それだけで出来ているかと言ったらそうじゃないと思っていて。「県外に、全国に、世界に」を目指したいというのが目標なので意識してチャレンジしていきたい。GARCIAがクラフトビールの入り口になってもらえたらと思います。
黄金の組み合わせ!「BUENAVISTA 日本平」×「ケソフレスコ」
最後にご紹介!チーズでビールが進み、ビールでチーズが進む。酒好きのエンドレスを十分にサポートしてくれるのがこちらの組み合わせ。
ケソフレスコは両面をこんがり焼いて食べても美味しいですよ。と喜納さんに教わりました。南米ペルーに思いを馳せながら、絶妙な味わいを是非お試しあれ!
喜納さん
ペルーにあった会社に資金を送るため、ジャンが出稼ぎとして来日していました。その後を追ってフレディが来た。ただ、ペルーも不景気で会社運営の状態も良くなかったため、日本で会社を作ることにシフトチェンジしたんです。