4年ぶりの開催!「SAKE COMPETITION(サケコンペティション)」が帰ってきた! ~後編~

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4年ぶりの開催!「SAKE COMPETITION(サケコンペティション)」が帰ってきた! ~後編~

世界一美味しい、市販の日本酒を決める品評会「SAKE COMPETITION(サケコンペティション)」。前編ではコンペの理念や審査方法といった、概要にあたる説明をしました。

4年ぶりの開催!「SAKE COMPETITION(サケコンペティション)」が帰ってきた! ~前編~

 

後編ではいよいよ、ライターが参加した決審会1日目(5月10日)の様子をご覧いただきます。

 

おさらいになりますが、5月10日(水)に審査されるのは「純米吟醸 部門」「SUPER PREMIUM 部門」の2部門。会場となったのは、東京・有楽町にあるザ・ペニンシュラ東京です。

緊張感のある会場の様子と合わせて、審査基準なども解説していきます。

 

決審会、初日(5/10)の様子は?

決審会、初日(5/10)の様子は?

 

前述したように、この日に審査されるのは「純米吟醸 部門」「SUPER PREMIUM 部門」の2部門です。会場内では、審査員それぞれの席が用意されています。そして室内後方をみると、アルミホイルの巻かれた日本酒が、ずらりと並びます。

日本酒の甘い香りが漂う会場ですが、場に流れる空気感は厳粛そのもの。香りと雰囲気のミスマッチに、思わず入場を躊躇ってしまうほどでした。

気になる審査の様子は…?

お酒の銘柄が分からないよう、ラベルが隠されています。

 

前編でも解説したように、「SAKE COMPETITION」は、ブランドによらず、消費者が本当においしい日本酒にもっと巡り会えるよう、新しい基準を示したい。という理念の元に誕生したコンペです。

この理念に沿って、コンペの審査員たちには飲んでいるお酒の銘柄が分からないよう、ラベルを隠すといった工夫が施されています。

 

純粋にお酒の味だけで受賞酒を決める日本酒コンペなので「酒蔵が有名である」「規模が大きい」といった要素は、結果に一切反映されません。どんな酒蔵にも平等に、受賞のチャンスがあるということです。

詳しい審査方法

評価シート

 

写真は、当日審査員が受け取る評価シートです。このように審査員には、お酒の味や香り、色といった情報しか伝えられません。

審査は予審、決審と2回にわけて開催されます。完全に銘柄が隠されたうえ、並び順までもパソコンでシャッフルされるという厳正な環境下で、審査が進みます。

 

審査には「5点法」という独自の基準を採用。テイスティングをしたお酒が、以下の5項目のうちいずれに該当するのか、評価していきます。

 

  1. 香味の調和や特徴が清酒の品格および、飲用特性から特に良好である
  2. 香味の調和や特徴が清酒の品格および、飲用特性から良好である
  3. 香味の調和や特徴が清酒の品格および、飲用特性から普通(平均的)である
  4. 1~3に該当せず、やや難があるもの
  5. 1~3に該当せず、難があるもの

予審を通過したお酒は?

ちなみに決審会の前におこなわれた予審を通過したのは、次のとおりです。

純米酒部門は出品数273に対し、予審を通過したのは138種。純米吟醸部門は343種が出品されたのち、175種が通過しました。そして純米大吟醸部門には333種が出品され、そのうち171種が予審を通過しています。

決審会を通過したお酒は、6月14日(水)の表彰式にて発表されます。どのようなお酒が選ばれるのか、今からワクワクしますね。

受賞酒を決めるのは10名の審査員

受賞酒を決めるのは10名の審査員

 

「SAKE COMPETITION 2023」では、以下の10名によって受賞酒が決まります。

 

  • 広島県立総合技術研究所食品工業技術センター 生物利用研究部長 大土井 律之
  • 高知県工業技術センター 醸造技術企画監兼食品開発課長 上東 治彦
  • 株式会社新澤醸造店 代表取締役 新澤 巖夫
  • 来福酒造株式会社 代表取締役 藤村 俊文
  • 株式会社はせがわ酒店 代表取締役 長谷川 浩一
  • 磯自慢酒造株式会社 製造部頭 山田 英彦
  • 月桂冠株式会社 醸造部グループリーダー 高垣 幸男
  • 京都電子工業株式会社 勝木 慶一郎
  • 司牡丹酒造株式会社 杜氏 浅野 徹
  • 株式会社みいの寿 専務取締役 井上 宰継

 

近年の傾向やコンペへの思いなどを、審査員に直接伺うべく、インタビューを申し込みました。10名のなかで今回ご協力いただいたのは、株式会社はせがわ酒店の代表取締役「長谷川 浩一」氏です。

まず初めにお伺いしたのは、今年の出品酒全体を通しての感想。すると、次のようなコメントが返ってきました。

 

長谷川氏

実は去年のお米は、豊作とは言い難い出来だった。しかしいずれのお酒も、そのことを一切感じさせない、素晴らしい仕上がりだったように思う。これは偏に、酒蔵の努力の賜物でしょう

 

次に、今年出品されたお酒の傾向についてもお伺いしました。

 

長谷川氏

全体を通して、フレッシュなお酒が増えた。もちろんフレッシュなお酒は、口当たりがよく第一印象が良くなる。しかしフレッシュさだけではごまかせないのが、余韻を含めたお酒全体の風味である。この点から言っても、今年は非常にハイレベルなお酒が揃っていると感じた

 

また「SAKE COMPETITION」への思いを尋ねると、注目してもらいたいという気持ちが強い」とおっしゃいました。日本酒を広く知ってもらいたいという一心で、「SAKE COMPETITION」に携わっているのだそうです。

近年日本酒は、海外からも注目されているお酒ですが、国内での注目度はまだまだかもしれません。

ライターも日本酒の魅力に取り憑かれた者の一人であるからこそ、長谷川氏と同様に、きっかけさえあればもっと多くの人にその魅力が伝わると考えています。

日本酒界への入り口となるコンペ

日本酒界への入り口となるコンペ

 

「SAKE COMPETITION 2023」の決審会(1日目)の様子をご覧いただきました。後半では、実際に審査をおこなった長谷川浩一氏のお話も紹介しました。

日本酒は安価な銘柄も多く、ハイクオリティ=高額というわけでもありません。長谷川氏は日本酒の価格について、ニコニコと笑いながら次のように語りました。

 

長谷川氏

酒蔵さんは(良い意味で)価格の付け方がヘタ。だから1,000円ちょっとで良いものがいくらでも飲めるから、大金をかけなくても気軽に試せる。(日本酒は)そういうことができるお酒だ(と知ってほしい)

 

自分では選べない、好みがよく分からないという方は、まずは「SAKE COMPETITION」で受賞したお酒を試してみるのも一つの手です。

今回は決審会の様子を紹介しましたが、気になる2023年の受賞酒は6月14日(水)の表彰式にて発表されます。そちらの様子も公開していくので、乞うご期待ください。

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