4年ぶりの開催!「SAKE COMPETITION(サケコンペティション)」が帰ってきた! ~前編~
イベント情報
日本酒の美味しさを競い合い、順位を付ける催しは複数あります。しかし、日本酒を作る蔵元と一般消費者とで「美味しい」と感じるお酒に、差が生じることがしばしばあるでしょう。
このギャップを埋めるべく、2012年から始まったのが「SAKE COMPETITION(サケコンペティション)」。ブランドに左右されることなく、お酒の味だけを評価する点がこれまでの品評会との大きな違いです。
感染症の影響によって4年間、開催できずにいた同コンペが2023年、満を持して開催。決審会に参加したので、前後編に分けてコンペの概要や当日の様子を解説していきます。
本記事(前編)ではそもそも「SAKE COMPETITION」とは何なのか、過去にはどのようなお酒が受賞しているのかといった点を中心にお話します。
コンテンツ
「SAKE COMPETITION」とは?
まずはコンペの理念や審査方法について説明していきます。どのような理念の元、何を目的に開催されるコンペなのか、ざっくりとお分かりいただければと思います。
「SAKE COMPETITION」の理念とは?
「SAKE COMPETITION」は、世界一美味しい市販の日本酒を決める品評会です。そして世界で唯一、消費者のために開かれる日本酒コンペであり、以下の理念を元に開催されています。
ブランドによらず消費者が
本当においしい日本酒にもっと巡り会えるよう、新しい基準を示したい
同じく日本酒のクオリティを競い合う大会には「新酒鑑評会」というものがあります。しかし新酒鑑評会の場合は、蔵の技術力をアピールできる特製の1本で順位を決めます。対して同コンペには、市販酒のみが出品されます。
つまり前者の場合は、グランプリを獲得した=技術力の高い蔵は分かるものの、実際に受賞したお酒を一般の消費者が飲むことはできません。しかし後者であれば、すでに販売されているお酒が対象となるため、受賞したお酒と全く同じものが飲めるのです。
「SAKE COMPETITION」の審査方法と部門
「SAKE COMPETITION」では、独自の審査方法を採用しています。本章ではコンペの審査方法や、審査の対象となる部門を紹介していきます。
審査方法
「SAKE COMPETITION」の審査員たちは、審査対象のお酒がどこの蔵の何の銘柄なのか分かりません。審査対象のお酒にはアルミホイルが巻かれ、完全に銘柄が隠されています。
つまり酒の中身のみで競うということ。言い換えれば、知名度があまりない酒蔵であっても、受賞のチャンスがあるのです。
さらに味や香りといった品質に加えて、飲みやすさや料理との相性なども審査基準となっています。一般消費者が楽しむお酒として優れていることが、同コンペで勝ち進む条件というわけです。
審査される4部門
SAKE COMPETITIONにて審査される部門は、大きく4つに分かれます。
開催年によって異なる場合もありますが、基本的には
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の4部門です。
上記に加えて、日本酒ソムリエアプリ「Sakenomy」が選ぶ『Sakenomy Best Brewery of the Year』と、次世代の若き杜氏を応援する『ダイナースクラブ 若手奨励賞』そして、JAL機内酒として提供される『JAL 空飛ぶSAKE 賞』も授与されます。
各部門の対象となるお酒
では上記で解説したそれぞれの部門では、どのようなお酒が審査対象となるのでしょうか。以下の一覧をご覧ください。
- 純米酒 部門
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- 特定名称酒「純米酒」の日本酒
- 特別純米酒や山廃純米酒、生酛純米酒も含む
- 純米吟醸 部門
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- 特定名称酒「純米吟醸酒」の日本酒
- 山廃純米吟醸酒や生酛純米吟醸酒も含む
- 純米吟醸酒と判断できる表示でも可
- 純米大吟醸 部門
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- 特定名称酒「純米大吟醸酒」の日本酒
- 山廃純米大吟醸酒や生酛純米大吟醸酒も含む
- 「大吟醸純米」なども出品可能
- 吟醸 部門
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- 特定名称「吟醸」または「大吟醸」の清酒
- 山廃吟醸・大吟醸や生もと吟醸・大吟醸も含む
- SUPER PREMIUM 部門 ※1
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- 720mlで10,000円以上のお酒
- 1,800mlで15,000円以上のお酒
- スパークリング 部門
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- 清酒ベースのお酒
- 飲用時に炭酸ガスのある活性清酒
※概ね3.0ガスボリューム以上が目安
- ダイナースクラブ 若手奨励賞 ※2
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- 40歳以下の最上位受賞酒蔵
- JAL 空飛ぶSAKE 賞
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- 各部門の入賞蔵の中から厳選
※1:2016年に中田英寿の発案で設立。受賞酒は海外への輸出されるため、外国人審査員を含むゲスト審査員で評価する
※2:次世代の造り手を応援する目的で2016年より創設
受賞までの流れ
「SAKE COMPETITION 2023」は上記のようなスケジュールで進みます。5月9日(火)に予審会、5月10日(水)と11日(木)に決審会を実施。そして6月14日(水)に最終結果の発表・表彰式がおこなわれます。
筆者が今回参加したのは5月10日(水)の決審会です。この日は「純米吟醸部門」「SUPER PREMIUM 部門」の審査がおこなわれました。
ちなみに前回受賞したお酒は…
「SAKE COMPETITION」は2012年の第1回に始まり、回を重ねるごとに規模が拡大しているコンペです。
前回(第8回目)の開催は2019年。この年は総出品数1,919点と過去最多となったと同時に、世界最大級のコンペティションともなりました。ちなみに受賞酒は、以下の通りです。
- 純米酒 部門
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- 宝剣酒造 株式会社
- 宝剣 純米酒 レトロラベル
- 純米吟醸 部門
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- 合資会社 廣木酒造本店
- 飛露喜 純米吟醸
- 純米大吟醸 部門
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- 清水清三郎商店 株式会社
- 作 朝日米
- 吟醸 部門
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- 株式会社 中勇酒造店
- 天上夢幻 大吟醸 山田錦
- SUPER PREMIUM 部門
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- 高木酒造 株式会社
- 十四代 龍泉
- スパークリング 部門
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- 秋田清酒株式会社
- 出羽鶴 awa 酒 明日へ
- 海外出品酒 部門
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- Sequoia Sake Company
- Coastal Ginjo
後編ではいよいよ、審査の様子をレポ!
前編では「SAKE COMPETITION」について解説しました。
消費者のために開かれる同コンペ。ブランドに左右されず、純粋にお酒の味だけで順位を決める競技会です。
後編ではいよいよ、5月10日(水)に開催された決審会の様子をご覧いただきます。